ヘンリー・キング監督
音楽 アルフレッド・ニューマン
冒頭 馬に乗って旅する男
字幕はー1880年代の南西部 生死は一瞬で決まった
英雄ワイアット・アープすらも(ワイアット・アープは当時有名な保安官 実在の人物)
その一瞬で生まれた
だが 証言によれば 史上最高の早撃ちは
長身のテキサス人だ
名をリンゴと言ったー
馬に乗って旅してきた男は 酒場の前で馬からおりる
「ジミー」と声をかけられ挨拶を返す
彼こそ早撃ちで有名なジミー・リンゴ(グレゴリー・ペック)
彼が入ってきたことで酒場の男達はざわつきます
「ジミー・リンゴだ こいつはたまげたな」
見るからに生意気そうな男が 早撃ちで名前を売った男らしくないーと軽くみた発言を
「タフに見えねえ」
他の男は教えます「奴の通ったあとは死人だらけだ」
「早撃ちならアープ」という者も
他の男は止めます「バカな考えは起こすな やめておけ」
しかし このエディという若者は自分も早撃ちにそこそこ自信があるのでしょう
「おっさんに見えるぜ」などといきがっており
席を立ち ジミーに絡んでいきます
カウンターの中の男も「相手はジミー・リンゴ 礼儀を弁えろ」と注意するのですが
からみつづける駄々っ子のようなエディに ジミーが言います
「俺は一人静かに飲みに寄っただけだ 君はいっぱいおごってくれた
俺も一杯おごる それで終わりだ」
終わりにできないエディ銃に手をかけ
一瞬 倒れます
早撃ちではジミーの敵ではありませんでした
愚かなガキの末路です
他の男がジミーに忠告「俺があんたなら早く町を出る
エディには荒くれ者の兄貴が3人いる」
聞き届けて去って行くジミー・リンゴ
日が変わり エディの兄たち ジミーの後を追っています
既に待ち構えていたジミーに先手を打たれ 銃も馬も奪われます
ジミーとしたら 自分の後を追うことを諦めさせようとしたのでしょうか
エディの兄たち3人は 去っていくジミーの進む方向を見定め 「カイエンへ行くぞ」と
歩き始めるのでした
カイエンの町の保安官はマーク・ストレット(ミラード・ミッチェル)
かつてはジミーと一緒に無茶した仲間でした
現在は足を洗い頼れる保安官になっています
揉め事を嫌い ジミーに町を出ていくように言います
ジミーはこの町に戻ってきたのは 愛する女性ペギ―⦅ヘレン・ウェスコット)と二人の間の息子に会う為でした
ペギーは名前を変えて 学校の教師になっています
マークはペギーの気持ちを聞きにいきます
そして厄介を起こしそうな人物ハントを連れてくるように保安官助手のチャーリーに言いつけるのでした
男の子たちは 有名なジミー・リンゴが町にきたという噂に 学校を抜け出し酒場の外で見物に
授業にならず学校は休校に
またジミーを息子の敵と勝手に思い込んでいる男は酒場の向こう側の二階から ジミーが姿を現わしたら撃とうと銃をかまえています
(後で これはこの男の誤解であったとわかります)
妻は「馬鹿なことはやめて」と止めているのですが
今は堅実な暮らしをしているペギー
ジミーには会わないと言います
息子のことを考えるのです
「いえ 会わないわ 断っておいて」
「ごめんなさい」ただ それだけ伝えてほしいと
酒場でペギーを待つジミー
そこへ現れたのは昔の知り合いのモリー
彼女は 酒場で歌い男達に酒をねだる生活をしていると
ジミーの仲間でモリーの恋人だったバッキーは 夜 後頭部を撃たれて死んでしまったと
モリーにペギーの様子を尋ねるジミー
ハントって男が近付くけれど ペギーは迷惑している
そして必ずペギーを連れてくるからとジミーに約束し ペギーを迎えに行きます
その頃 噂のハントは床屋に入ってきて ジミー・リンゴが町の酒場にいることを知ります
ハントも半端な早撃ち自慢の若者だったのでした
「ただの人間だと 誰かが証明してやらないと」
他の男達が止めますが ハント酒場に入っていきます
そしていいようにジミーにあしらわれるのでした
踏んでいる場数が違います
厄介事が起きるのを案じて 保安官は留置場に入ってるか 町を離れるか選べーとハントに言います
ジミーを追うエディの兄たちは牧場で馬と銃を手に入れることに成功
馬ならあと1時間で辿り着く
モリーに連れられ やっとペギーが会いにきました
実はずうっとジミーを思い続けていたんです
その頃 やんちゃなペギーの息子は 閉じ込められた部屋の窓から抜け出し町へ
他の男の子たちと同じで撃ち合いが見たいのです
ジミー「君に会いたくてきたんだ」
こう言葉を続けます「南西部を出て 小さな牧場を買って一緒に暮らす
そうすれば過去は関係ない
今はこれが唯一の願いだ」
家族と一緒に平穏に暮らすこと
やっとやすらげる場所がほしいーそう願うようになっていたジミー
ペギー「素敵な計画 でも夢物語だわ
一生逃げ続ける人生 私だけなら一生無法者でもかまわない」
だけど彼女は母親 息子の将来を考えます
めげないジミー「いいか 俺が生きて戻ったら 1年あればいろんなことが起きる
いいねペギー」
牧場を手に入れて迎えにくるーそうジミーは言うのです「きっとうまくいく」ーとも
そして息子に会わせてくれ
会ったら出て行くからーと
息子には父親としてでなく風来坊として会い
強いのは保安官だと教えます
ワイアット・アープもたいしたことない
この頃 やっと町に着いたエディの兄たち3人
ジミーの馬を捜してて 保安官助手のチャーリーに見つかります
保安官のマークに挨拶し町を出て行くために馬に乗って 後ろ姿のジミー
そこに町を出ないで ずっと隠れていたハント
軽くあしらわれ恨みに思うハントは 卑怯にも そのジミーの背中に声をかけ撃つのです
ええ いわば騙し討ち
正面切っては勝てない弱い薄汚い卑怯者のすることです
実力も根性も無いのにいきがるだけの愚か者
ジミーは苦しい息の下から こう言いました
「先に銃を抜いたのは自分だ」
そう言えばハントは人殺しとして処刑されない
庇ったのでしょうか
いいえ 実はもっと残酷な やり返しです
ジミー「その男 ハントだな
俺が先に銃を抜いた そういうことにしてくれ
そして
思い知れ
タフなガンマンの生きざまをな
だから感謝は無用だ
いつか 分かる
苦しみに
待ってろ」
早撃ち王と怖れられ 早撃ち自慢の人間達に命を狙われ続けた日々
本人が望まずとも 争いごとがやってくる
そっとしておいてはくれない もらえない
安住の地はない
ジミー・リンゴは死にました
保安官はハントに町を出ていくように言います
逆らおうとするハントを叩きのめして
ジミーと同じにかつては無法者の世界にいた人間
保安官も強いのです
なんだかんだ言ってもジミーは旧友
背中を預けられる相手
殺されて 保安官は怒っています
「よく聞け 臆病者
貴様はリンゴと同じようにくたばる運命だ
今後は薄汚い同類どもが こぞって彼を撃った男を殺しにくる
だが 私の管轄でやられるのはごめんだ
さっさと行け!
よそで殺されろ」
それからジミー・リンゴの葬式が教会で行われ
集まった人々でいっぱい
保安官助手のチャーリー
やってきたペギーと息子に「ウォルシュさん あいにく席がいっぱいで」
教会には入れないーと教えます
するとペギーは中にいるという保安官に「リンゴ夫人だと伝えて」と自分の本名を明かします
チャーリー確認します「ジミー・リンゴの?」
リンゴの「妻です」「息子だ」と それぞれ誇らしげに口にするのです
チャーリー「承知しました」
ペギーと息子は保安官の隣の席に案内されました
映画の中でジミーのセリフ「35歳にもなって時計も買えない」
グレゴリー・ペックは1916年生まれ 映画公開の1950年にはほぼ同年齢でしょうか
身長190cm
役柄の長身ーという言葉に説得力があります