夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

京極夏彦著「後巷説百物語」角川文庫

2009-07-27 19:43:34 | 本と雑誌

京極夏彦著「後巷説百物語」角川文庫
京極夏彦著「後巷説百物語」角川文庫
京極夏彦著「後巷説百物語」角川文庫
明治維新後 若者達が訪れる隠居がいる

それこそ かつて又市 おぎん達と一緒に旅もした山岡

彼は小夜という若い娘と暮らしている

おじいちゃんと孫のように

若い頃 又市やおぎんと過ごした時間がかけがえのない宝物である

山岡は 訪ね来る四人の中の一人に かつての自分に共通するものを感じる

ここから ネタばれのようになります

今回 娘の持つ文庫版は 小野不由美さんの解説があり ちょっと得した気分です

再読になります

そして私はシリーズに馴染み深いある人物が 物語の最後に死んでいたことを すっかり忘れておりました

おとなしい山岡百介が 孫娘のように思う小夜の為に
その昔 幾度となく助けられたおぎんの惨殺された娘おりんの為に

そして百介の本に書かれていた又市の言葉
「信用できるご仁也 窮した際は頼るべし」 そう百介の事を

ゆえに枯れかけた命を賭け 燃やし 仕掛けた

百介は 思ったように 仕掛けを終わらせることはできなかったが
最後の最後に

本望であったろうと思う

何よりも おぎん 又市 百介に もう逢えないことが ひどく寂しい


黒川博行著「螻蛄」 新潮社

2009-07-27 08:24:04 | 本と雑誌

黒川博行著「螻蛄」 新潮社
黒川博行著「螻蛄」 新潮社
黒川博行著「螻蛄」 新潮社
黒川博行著「螻蛄」 新潮社
黒川博行著「螻蛄」 新潮社
週刊「新潮」に連載された作品

ちなみに著者は現在週刊 サンデー毎日にも作品を連載中

書店で単行本を手にとると「螻蛄」という字と蓮の花
まず これに目を奪われます

装画 黒川雅子とあります

同じ黒川?あれ?と思う方もおられるかもしれません

日本画家として活躍される著者の奥様の描かれたものです

その楽しい人となりは「大阪ばかぼんど」にて少し伺えます
今は亡き作家鷺沢 んのエッセイなどにも登場されます

夫の本を妻の愛情込めた画が飾る

羨ましいなーと思います

この美しいカバーを外すと 本の直接の表紙には お札が
表には一万円と裏には数字で10000と 札の裏表も本の表紙に合わせ描かれております

こちらは新潮社装幀室の仕事とか

「疫病神」「国境」「暗礁」と同じ 自称 建設コンサルタントの二宮と とおっても頼りになる桑原さん このコンビが活躍します

二宮の父は平たく言えば最後は引退したもののーヤクザさんだった

で桑原は現役バリバリの喧嘩負けなし・・・ヤクザさん

簡単な儲け話のはずが いつの間にか泥沼化し 虻蜂取らずー又は骨折り損のくたびれ儲けに終わることが多いこのシリーズ
今回 桑原が二宮に会いに来ることから話は動く

不渡り手形の落し前のはずが 儲け仕事になり 東京のヤクザさんも出てくる騒動に
綺麗な顔してしたたかな稗田女史

しぶとい坊さん

さて二宮からは疫病神呼ばわりされる桑原さん
中々に面倒見よく人情家 更にTPOすら使い分け 二宮よりも常識人な面もある

気前だっていい

極道を応援したくなる危険な(笑)シリーズでもあります

また二宮を「啓坊」と呼ぶ ここぞという時に出て来る嶋田のおじ様が渋かったりするのです

二宮の従姉妹さんと その友人さんの際立つ個性も楽しい

関西弁はじける一冊

ドラマにするなら この俳優さんでーなどとイメージしながら読み返すのも面白いかしらと

黒川博行「暗礁」は↓のアドレスに感想があります 宜しかったら

http://blog.goo.ne.jp/yumemi1958/d/20060617