時空を超えた人間が登場するのが共通要素
「遭難者」
医師の児島は病院から光を見た
その後病院へ運ばれてきたのは川で発見された男性
意識が戻った男は記憶を喪っている・・・と話す
昭和12年7月のことだ
警察はこの身元不明の男がスパイではないかと疑う
ピアノ演奏できることは思い出した男は 児島の紹介で仕事を得る
児島のことを恩に思っている男は それから数年後 児島に奇妙なことを告げる
だが 児島はその言葉に従わなかった
さらにさらに時間が経って 児島はこの男の臨終に居合わせ
男について ある推測をする
彼は これから起きることを知っていた
この国の歴史を
「地下廃駅」
少年らしい防空壕への探検
しかし・・・彼らは何故か時を超えてしまい 主人公は友を見捨て 自分だけ元の世界に戻ったがー
主人公はろくな生き方をせず 当然の報いも受けた いわば「人間の屑」としての人生だが 主人公はそこに見捨ててきた友からの報復行為もあったのではないかと考えるようになる
どうにかして「友」はこちらの世界に戻ってきてはいないかと
「図書館の子」
吹雪で母が迎えに来られず 取り残された図書館でたった一人で夜を過ごすことになったクルミ少年
そこに現れた見知らぬ男は「大クルミ」だと名乗る
この男のおかげで 寒い思いもせず夜を過ごせたクルミ
けれど目覚めると男の姿は無かった
この夜の吹雪で外では凍死した人も多く 図書館の近くにも身元不明の男の死体があった
服役し 恩赦で釈放された「クルミ」と呼ばれる男
彼は確かめる 今日がいつなのか
彼には行かねばならぬ場所があった
どうにかして あの場所へ
子供だった自分を救いに・・・・・
そのあと どうなるかもわかっているけれど
「錬金術師の卵」
500年先に送られた男
本当に500年後に出現するだろうか
そんな言い伝えを持つ「卵」の前で待つ人々があった
しかし「卵」はもう一つあり
そちらで謎の殺人事件が起きたという
錬金術師は本当に力を持っていたのだろうか
それとも?!
「追奏ホテル」
過去の一日に戻れる部屋があるという
旅行に同行した女はその部屋へ宿泊したいと願う
過去・・・・・
ただこの部屋のことを話してはいけなかった
夜 部屋に戻らなかった女を置いて 帰国した男
行方不明のままの女について刑事から訊かれ 男はあの部屋のことを話してしまった
これは罰か 男は過去のあの部屋に戻る
そこで聞かされる 女の死体が発見されたと
「傷心列車」
先に行ってくれ 必ず追いつくからー男は言った
女は言われるままに汽車に乗り 男を待とうとする
義理の父には金をせびられ 義理の父の借金ののカタに身を売るよう強要され
そんな薄幸な人生
助けてくれた男に見出した光
でも男の素性にはある種の疑いもあった
男の知り合いでもある人物から女は意外なことを教えられる
彼らがしようとしていたこと
女に再び会うために男がどうしたか
そして男は待っていた 待ってくれていた
解説は書評家の杉江松恋さん
読む前のネタバレもいやなので かなりぼかして書いています