辻村深月著「ツナグ」 新潮文庫

生きている者は一度だけ 使者を通して 会いたいと願う死んだ者に会える

死んだ者は一度だけ生きている者と会える

「アイドルの心得」 平瀬愛美は４ヶ月前に突然死んだ女性に会いたいと願った
家族からさえ無視される 地味な日常
特別美しくもなく可愛くもなく 友人も恋人もいない
飲んだことない酒を飲み過ぎ 呼吸さえできず苦しんでいる時 介抱してくれた通りすがりの女性は華やかな世界ー芸能界に生きる人間だった

手作りの品を送り 出演番組は必ず観て 録画して
生きがいのような存在だった人はー突然病死

ネットから「使者」の存在を知った愛美は 会いたいと願い 使者と出会い段取りをつけてもらう
夜明けまで 愛美は幸せな時間を過ごした
彼女は希望を与えられた これから生き続けていく

「長男の心得」
畠田の母は死んだ夫に会ったことがあるーと病気で死ぬ前に教えてくれた
一生に一度だけ どうしても会いたいと願う死んだ人間に会える その方法も

好きな着物で元気な姿でー死んだ母は現れた
やがて 長男が結婚し部屋の荷物を片付けて母親の日記を読む
母親は畠田の長男を 初孫を死んだ夫に見せに行ったのだと

「親友の心得」
嵐の親友の御園は交通事故で死んだ
役のこと 御園の言葉 嵐の胸に芽生えた悪い気持ち
現れた使者は 同じ学校の男子
御園が好きだった人
－道は凍ってなかったよー
その言葉が 嵐には 辛い
悔いる過ち 後悔は いつだって間に合わない

「待ち人の心得」
恋は切ない・・・
中途に浮いたまま 止まってしまった想いは
行き場なく

七年前に消えたキラリを土谷は待ち続けていた
旅行に行くー出て行って 行方知れずになった恋人
探しても探しても見つからなかった

病院で会った老婆に教えられた電話番号
現れた使者
死んでいたキラリ
土谷と生きていく為に 家に帰ろうとして事故にあった

ーずっとずっと あなたが大好きだったー

「使者の心得」 今までの物語を繋ぐ使者 歩美の物語
彼が考える両親の死の真相
祖母との関わり

おばあちゃんと孫と家族の物語

１０月６日から映画が公開されます