夢見るババアの雑談室

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誉田哲也著「フェイクフィクション」 〈集英社文庫〉

2024-09-25 11:53:44 | 本と雑誌

 

 

農作業に向かう人間が発見したのは・・・首無し死体

事件を捜査する鵜飼・・・

彼の言動を怪しむ梶浦

読んでいても鵜飼の何がおかしいのか・・・わからない

物語が進むにつれ 鵜飼には愛する女性がいたこと

その行方には新興宗教「サダイの家」が絡んでいるらしいことが分かってくる

平行して描かれる格闘技から・・・餡子職人として働くようになった青年 潤平

彼は新しく入ってきた娘 美祈を好きになる

しかし この娘どこか普通とは違っていて・・・

何気ない会話のはずなのに 美祈はどうしてそういう反応を示すのか

 

それからやばい人生を送ってきたやくざ者の唐津

この妙に義理堅い・・・かつての東映映画や大映映画などの一本芯が通っているばかりに 厄介ごとに巻き込まれ 最後は死ぬか大立ち回りを演じるはめになるような漢〈おとこ〉は 聖域のような何に換えても護りたい存在があった

己が汚れた人生を選んでしまってきたからこそ

これだけは・・・清らかに幸福でいてほしい 何者にも汚され害されることなく生きていてほしい

 

そしてまた 手のかかる男だが それでも気にかけてきた人物も

そして潤平に声をかけてきた男女

彼らは偽りの名前を使い 共通する目的の為に命がけで動いている

 

誰がどう関わっているのか 

 

首なし死体は サダイの家の欺瞞・悪事を世に問う為に動いていた弁護士

サダイの家に娘を奪われた父親も一緒に行方不明になっている

彼も殺されたのか

 

サダイの家に姉を殺された青年

サダイの家から自由にしてくれた教師は・・・行方不明に

殺された父親の願いを叶える為にも美祈をサダイの家から 救出する作戦が実行される

サダイの家のまやかし

教祖にされてしまい 薬で人格を破壊された女性

 

手をつけちゃいけない女性だと・・・それゆえ守ってきたのに

たばかられていた

偽りを信じ込まされ 大切なものを壊されてしまっていた

 

漢〈男〉はけじめをつける為 自分の指を切り落とし・・・

 

別な人間は己の手首を切り落とされ それでも庇う相手を逃がそうと動き その首を切り落とされた

 

愛する者 大切な存在の為にこそ動いた人間たち

 

ろくでもない人間が その身に合わぬ権力を持つと・・・ろくなことをしない

有害であり周囲に不幸と悲劇を生み出す

 

物語の中に仕掛けられたものを愉しむもよし

信心する心を利用する悪辣な人間たちに怒るのもよし

様々な読み方がある物語かと思います

 

解説は作家の松島智左さん

 

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