夢見るババアの雑談室

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ほぼ身辺雑記です

米澤穂信著「満願」 (新潮文庫)

2018-08-17 20:22:46 | 本と雑誌
満願 (新潮文庫)
米澤 穂信
新潮社



ドラマ化されてNHKで先日三夜連続で放送されたのですが・・・・このドラマの予告というか宣伝が ややホラーっぽいツクリで 追い込むような音楽と相まって
ひどく心をそそられました

短編集ですが共通するのは「謎」

どうして
何故

「夜警」(ドラマだと第二夜に安田顕さん主演)
妻を傷つけた男 刃物持ち暴れる男が向かってきて若い警官は発砲するも首を斬られて失血死
殉職した警官の真実はー

かねてからその若い警官に警察官としての危うさに気付いていたベテラン警官は あれこれ思い合わせ
つなげて恐らくこうだったのだろうーという考えを持つ
ベテラン警官は過去 こいつは警官でいてはいけないと思う人間が自ら辞職するように仕向け
結果 その人間は首吊り自殺をしていた
今回殉職した警官は その兄によれば銃を撃つのが好きで 銃が撃てるから警官になったのではないか
その弟が助けを求めて来た
とんでもないことをしたのだと思った・・・と

小心者で変に狡さも持ち合わせた男の企んだ計画
計画はうまくいったのにーしかし・・・・・



「死人宿」

上司について悩んでいた女性が消えて2年 居場所が分かり駆け付けた男
生きていてくれるならいいーそう思っていたのに 連れて帰りたいと願うようになる

その女性は男が変わっていないと言い 試すように見つけたという客の遺書を出す
自殺しようとしているのは どの客であったのか

男が見つけた自殺しようとした男の他にも自殺しようとこの宿に来ていた女性は死んだ
その女性の死のうとする装いに気付けなかった男に 聞こえる言葉



「柘榴」
美しく生まれ付いた娘は好きな男をかちとる
だがそれは幸せの始まりではなかった
男はろくでなし

娘はやがて母親となり その娘二人も美しくー

そうして娘は母の若い頃と同じ性格でもあった
欲しいものを得る為なら手段は選ばない

嘘もつく
人を傷つけることも罪とは思わない

いつか破滅は目に見えているのに 気づけない・・・・・
美は全ての免罪符ではないのだから


「万灯」
仕事の為に人を殺す・・・・殺さなくてはいけない立場に立たされた男
一緒に殺した人間はおじけづき日本へ帰国した

このままその人間を生かしておいては自分の罪が露見する
殺す為に帰国し 死体も埋めたが
殺した相手の病気が自分にも伝染したかもしれない
もしも発病していたら 自分が殺人した逃れようない証拠となる
自分は発病しているのか・・・・・
裁かれるのかー
第一夜 西島秀俊さん主演で放送されました


「関守」
先輩からのネタを調べるフリーのライター
そこでは事故死が続く
店の老女が語るのは・・・
よせばいいのにーライターは二杯目のコーヒーにも口をつけてしまった

老女は待っていたのだ
蜘蛛が網を張るように
巣に捕らえられた者の先は死しかない



「満願」
今は弁護士となった男が下宿していた家の奥さんが人を殺した
裁判で男は弁護を
だが夫が病死すると奥さんはもういいーと刑に服した

病死した夫には借金があった
差し押さえされないように競売されないように奥さんが守りたかった家宝・・・・・

その為の「計画的な殺人」であったのか

下宿していた頃 ひどく親切にしてくれた奥さん
でも その動機は


後ろ向きに置かれていた達磨
何故なら・・・・


第三夜 高良健吾さん主演で放送されました



それぞれの短編の中でさりげなく伏線がちりばめられており つながり深い意味を持つ言葉となる
先の破滅は もう書かれていた


注意して お読み下さいませ





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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (けん)
2018-08-18 09:23:31
夢見さんの丁寧なレビュー読んでいると思いだしてきます♪
ドラマ化されたのも、短編だからそれぞれ俳優さんが違うんですよね~。
返信する
有難うございます!けん様♪ (夢見)
2018-08-18 10:17:19
放送される時期がお盆とも重なり これはホラーなのかなーってドラマの宣伝を観て思ったものです

怪談話よりも恐ろしい人の業・・・

ドラマなりの脚色も多少されておりましたが 大筋 原作の雰囲気
追い込まれる感じ
文庫本解説の杉江松恋さんの言葉を借りれば「切実な」
これはドラマにありました

西島さんが人に車をぶつける場面も迫力あり

さ~~~次は「道具箱はささやく」
けん様御紹介の本を読もうと企み(笑)中です

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