夢見るババアの雑談室

たまに読んだ本や観た映画やドラマの感想も入ります
ほぼ身辺雑記です

「だんだん集まる」ー5-

2018-08-25 09:39:27 | 自作の小説
こうして唐十郎さんを目の前にして いい機会だから尋ねたいことはいっぱいある
ーあるのだが 中には立ち入りすぎてはいないかと思うこともあって 何から聞けばいいのかー
考えるうちに尋ねるきっかけを失う


「履歴書に家族は母とあったけれど 君はお母さんに似てるのかな 
君のお母さんは どういう人なのだろう」

逆に質問されてしまった・・・
「外見はどうなんだろ 自分ではわかりません
母は突拍子もないことを思いつく人で 学生時代 僕の方が帰宅が遅い時には駅まで車で迎えに来て
僕が車に乗ると

ー待ってる間に考えたの 乗ってきた守人が本当は守人やなくてね 他の何かの化け物だったら怖いと思わない?
念のため 合言葉を言ってごらんー


ーいや合言葉なんか決めてないしー

ー家族だから遺伝子でわかるはずー

ーわかるかい!-

ーあ 偽物かも~~~-

よくよく僕をいいオモチャと思ってるみたいで」


思いつく母が僕で遊んでいる会話とか 母が学習塾で教えていることなどを話した

やがて唐十郎さんは「仕事があるから」と立ち上がる

「あのー」

うんというように僕の顔を唐十郎さんが見る

「あの仏壇がいる部屋は あの大広間は何の部屋ですか」

「仏間」ぼそりと答える唐十郎さん

ぶ・・・仏間

「仏壇を置くための部屋 あれは あの場所に仏間として作られた」


「でもあの仏壇達は普通の仏壇ではありませんよね」


「あの仏壇達はあの場所に置く為に作られて ずっとあの場所にいた
それが然るべき人間 君が来てくれたので帰ってきただけだ」

「僕が知りたいのは どうしてあれだけの仏壇が作られたのか あれだけの数の仏壇が置かれるようになったのかーです」

「いわれは知らない ただ仏間から仏壇が消えるとこの村は滅ぶ 無くなる
そう言われてきたらしい
現に仏壇が消えてから 村の人口はかなり減った

高齢化に過疎

こんな山の中の村だ 仏壇のせいばかりとは言えないだろうが」


いわれは知らないーって無責任なような気もするけれど

「仏壇は大切に扱われるべきものーとだけ 昔ここに居た人間は思っていた
だから心を込めてお世話するのだと」

それなのにーいなくなった
この村を出ていったのだろう
一体どうして

唐十郎さんは何をしたのだ
自分のせいだと言った

昔 何があったのか


「あ・・・仕事ってー」

「ちょっと株をいじってる 学生時代に始めてねー道楽みたいなものだ」