米国の中間選挙の大勢が明らかとなってきました。
日本国内の各紙や各局の報道は、こぞってレッドウェーブは起きなかったと、トランプ氏と共和党が敗北、バイデン氏と民主党は大敗を免れたこと(上院では多数派を維持)を、強調。しかし、米国内に分断を産んだとこぞって報じていますね。
日本のオールド偏向メディアには、トランプ嫌いが多い?
WSJのウォルター・ラッセル・ミード氏は、激戦だった選挙が平和裏に終わった後の米国に、日本のメディアとは異なった観方をしておられるように伺えます。
今回の選挙で重要な点は、米国は多くの問題を抱えているものの、依然として非常に安定した社会であり、その基盤を成す制度が引き続き国民の尊敬を集めていることを世界に思い起こさせたことだと、ミード氏。
人民の、人民による、人民のための政治は地上から滅びることはなかったと。
米国は矛盾をはらんだ場所だ。米国民は自分たちの政治機構が脆弱(ぜいじゃく)で危険にさらされていると感じることがよくある。
しかし、一つの憲法の下、250年近くにわたって秩序が破られていないという点で、近代国家で米国に匹敵する記録を持つ国はない。その間、国際システムにおける米国の力と影響力は拡大を続けてきたと、ミード氏。
主に田舎の独立した農家を基盤としていた19世紀の米国システムは、都市化された産業経済に道を譲った。その産業経済は、情報革命で台頭しつつある企業や技術に道を譲った。今も続いているこの変化によるコストやストレスは、米国の政治機構を根幹から揺るがしたが、われわれの社会的および政治的秩序は今も健在だとも。
現在の世界が 2極分化した時期においてもなお、対ロシアと対中国政策をめぐっては、米国政治において、他のほとんどの問題以上に多くのコンセンサスが存在する。
下院で共和党が多数派を占めた場合、ウクライナ向け支出に対して監視を強化するよう要求する可能性があるが、米国の政策に大幅な変更を強いる公算は小さい。
中国からの恐喝やボイコットに対し、安全を確保する必要性があるとするバイデン政権の懸念については、共和党もおおむねこれを共有している。また、台湾への支持は両党とも強い。
両党の指導者は、日本・韓国・オーストラリアなどの国々との緊密で深化しつつある関係の重要性を明確に認識しており、米国民もこの見方を共有することを世論調査は示している。
イラン核合意を復活させようとするバイデン政権の自己破壊的な取り組みの様な対立要素となる問題は残っている。しかし、欧州でロシアの拡張主義に抵抗しつつ北大西洋条約機構(NATO)を維持することや、中国の覇権主義的野望に直面する東アジア・南アジアの近隣諸国への支援といった米外交政策の大きな柱は、両党共通の見解を反映しており、変わる可能性は低いと、ミード氏。
激戦ではあったが平和裏に終わった今回の選挙や、国際社会との賢明な関係構築に向けて強まりつつあるコンセンサスが示唆しているのは、米国は一部の敵対諸国が想定している以上に、次の嵐への備えが整っているということだとも。
# 冒頭の画像は、バージニア州での投票風景
この花の名前は、ミカエリソウ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA
日本国内の各紙や各局の報道は、こぞってレッドウェーブは起きなかったと、トランプ氏と共和党が敗北、バイデン氏と民主党は大敗を免れたこと(上院では多数派を維持)を、強調。しかし、米国内に分断を産んだとこぞって報じていますね。
日本のオールド偏向メディアには、トランプ嫌いが多い?
WSJのウォルター・ラッセル・ミード氏は、激戦だった選挙が平和裏に終わった後の米国に、日本のメディアとは異なった観方をしておられるように伺えます。
【オピニオン】米国の秩序を再確認した中間選挙 - WSJ 2022 年 11 月 15 日
選挙結果は米国が引き続き非常に安定した社会だと示す
――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト
***
米中間選挙を受けて、共和党は失望し、ドナルド・トランプ前大統領の影響力は弱まり、民主党は選挙で辛うじて大敗を免れたという感謝の気持ちを抱いている。恐らく、今回の選挙でもっと重要な点は、米国は多くの問題を抱えているものの、依然として非常に安定した社会であり、その基盤を成す制度が引き続き国民の尊敬を集めていることを世界に思い起こさせたことだ。
50の州で地方選挙と国政選挙が行われ、数千万人の有権者が投票し、平和的に結果を待った。正当な立場の人々で構成された当局によって当選を認定された候補者たちは、就任の日に宣誓を行う。人民の、人民による、人民のための政治は地上から滅びることはなかった。
米国は矛盾をはらんだ場所だ。米国民は自分たちの政治機構が脆弱(ぜいじゃく)で危険にさらされていると感じることがよくある。海外の米国ウオッチャーたちは、絹のストッキングと髪粉をつけたかつらの時代から、通常では考えられないこの共和制国家はいずれ崩壊すると予測してきた。米国の国歌の1番は次の質問で終わっている。「ああ、あの星条旗はまだはためいているのか/自由の地、勇者の故郷の上に?」
しかし、一つの憲法の下、250年近くにわたって秩序が破られていないという点で、近代国家で米国に匹敵する記録を持つ国はない。その間、国際システムにおける米国の力と影響力は拡大を続けてきた。それらの年月は決して穏やかではなく、米国は国内で相次ぐ混乱と衝突を経験した。それと同時に、世界における米国の地位は、世界でかつてみられなかったほど強大な国々と最も冷酷な指導者の一部によって、脅かされてきた。にもかかわらず、米国の秩序は順応して持ちこたえ、星条旗は今もはためいている。
ジョエル・コトキン氏が1988年の予見的な著書「第三の世紀―経済大国日本への警告(The Third Century: America’s Resurgence in the Asian Era)」で述べていたように、世界にとって最も重要なのは、米国のレジリエンス(復元力、しなやかさ)だ。資産を保有する、主に田舎の独立した農家を基盤としていた19世紀の米国システムは、都市化された産業経済に道を譲った。その産業経済は、情報革命で台頭しつつある企業や技術に道を譲った。今も続いているこの変化によるコストやストレスは、米国の政治機構を根幹から揺るがしたが、われわれの社会的および政治的秩序は今も健在だ。
この圧倒的な事実は、激動の20世紀を通じてそうであったように、国際政治において依然最も重要な力である。米国はその勢力圏内において揺るぎない地位を維持しており、膨大な農業生産能力、豊富な鉱物資源に恵まれている。米国は気候変動に伴うストレスに耐えられる好ましい位置にあり、人口動態は世界中からやって来る才能ある移民によって継続的に新たな活力を得ている。米国は、人類の進歩の先頭にとどまるのに必要な経済的・社会的ダイナミズムと、秩序立った統治と国力の投影に求められる制度上の安定を兼ね備えている。
現在の2極分化した時期においてもなお、われわれは、国際問題に対する米国の一層焦点を明確化した形でのリアルタイムの対応を目の当たりにしている。対ロシアと対中国政策をめぐっては、米国政治において、他のほとんどの問題以上に多くのコンセンサスが存在する。下院で共和党が多数派を占めた場合、ウクライナ向け支出に対して監視を強化するよう要求する可能性があるが、米国の政策に大幅な変更を強いる公算は小さい。戦略的に重要なサプライチェーン(供給網)に対する中国からの恐喝やボイコットに対し、安全を確保する必要性があるとするバイデン政権の懸念については、共和党もおおむねこれを共有している。また、台湾への支持は両党とも強い。
他の外交政策上の優先課題についても、同様の超党派の支持が示されている。近年のインドとの関係改善は、クリントン政権時代に始まり、その後の共和党・民主党どちらの大統領下でも同様に推進されてきた。両党の指導者は、日本・韓国・オーストラリアなどの国々との緊密で深化しつつある関係の重要性を明確に認識しており、米国民もこの見方を共有することを世論調査は示している。
対立要素となる問題は残っている。その幾つかは、必然的に緩和に向かうように見える。イランがロシアとの広範な関係を築き始める中でも何とかしてイラン核合意を復活させようとするバイデン政権の自己破壊的な取り組みも、その一つだ。気候変動や国境管理をめぐる党派対立の問題は、今後も尾を引くだろう。しかし、欧州でロシアの拡張主義に抵抗しつつ北大西洋条約機構(NATO)を維持することや、中国の覇権主義的野望に直面する東アジア・南アジアの近隣諸国への支援といった米外交政策の大きな柱は、両党共通の見解を反映しており、変わる可能性は低いとみられる。
米国社会は情報革命の大変革の波に遭遇するために、20世紀末の比較的落ち着いた経済・社会情勢をあとにした。しかし米国には荒天への準備ができていた。激戦ではあったが平和裏に終わった今回の選挙や、国際社会との賢明な関係構築に向けて強まりつつあるコンセンサスが示唆しているのは、米国は一部の敵対諸国が想定している以上に、次の嵐への備えが整っているということだ。
選挙結果は米国が引き続き非常に安定した社会だと示す
――筆者のウォルター・ラッセル・ミードは「グローバルビュー」欄担当コラムニスト
***
米中間選挙を受けて、共和党は失望し、ドナルド・トランプ前大統領の影響力は弱まり、民主党は選挙で辛うじて大敗を免れたという感謝の気持ちを抱いている。恐らく、今回の選挙でもっと重要な点は、米国は多くの問題を抱えているものの、依然として非常に安定した社会であり、その基盤を成す制度が引き続き国民の尊敬を集めていることを世界に思い起こさせたことだ。
50の州で地方選挙と国政選挙が行われ、数千万人の有権者が投票し、平和的に結果を待った。正当な立場の人々で構成された当局によって当選を認定された候補者たちは、就任の日に宣誓を行う。人民の、人民による、人民のための政治は地上から滅びることはなかった。
米国は矛盾をはらんだ場所だ。米国民は自分たちの政治機構が脆弱(ぜいじゃく)で危険にさらされていると感じることがよくある。海外の米国ウオッチャーたちは、絹のストッキングと髪粉をつけたかつらの時代から、通常では考えられないこの共和制国家はいずれ崩壊すると予測してきた。米国の国歌の1番は次の質問で終わっている。「ああ、あの星条旗はまだはためいているのか/自由の地、勇者の故郷の上に?」
しかし、一つの憲法の下、250年近くにわたって秩序が破られていないという点で、近代国家で米国に匹敵する記録を持つ国はない。その間、国際システムにおける米国の力と影響力は拡大を続けてきた。それらの年月は決して穏やかではなく、米国は国内で相次ぐ混乱と衝突を経験した。それと同時に、世界における米国の地位は、世界でかつてみられなかったほど強大な国々と最も冷酷な指導者の一部によって、脅かされてきた。にもかかわらず、米国の秩序は順応して持ちこたえ、星条旗は今もはためいている。
ジョエル・コトキン氏が1988年の予見的な著書「第三の世紀―経済大国日本への警告(The Third Century: America’s Resurgence in the Asian Era)」で述べていたように、世界にとって最も重要なのは、米国のレジリエンス(復元力、しなやかさ)だ。資産を保有する、主に田舎の独立した農家を基盤としていた19世紀の米国システムは、都市化された産業経済に道を譲った。その産業経済は、情報革命で台頭しつつある企業や技術に道を譲った。今も続いているこの変化によるコストやストレスは、米国の政治機構を根幹から揺るがしたが、われわれの社会的および政治的秩序は今も健在だ。
この圧倒的な事実は、激動の20世紀を通じてそうであったように、国際政治において依然最も重要な力である。米国はその勢力圏内において揺るぎない地位を維持しており、膨大な農業生産能力、豊富な鉱物資源に恵まれている。米国は気候変動に伴うストレスに耐えられる好ましい位置にあり、人口動態は世界中からやって来る才能ある移民によって継続的に新たな活力を得ている。米国は、人類の進歩の先頭にとどまるのに必要な経済的・社会的ダイナミズムと、秩序立った統治と国力の投影に求められる制度上の安定を兼ね備えている。
現在の2極分化した時期においてもなお、われわれは、国際問題に対する米国の一層焦点を明確化した形でのリアルタイムの対応を目の当たりにしている。対ロシアと対中国政策をめぐっては、米国政治において、他のほとんどの問題以上に多くのコンセンサスが存在する。下院で共和党が多数派を占めた場合、ウクライナ向け支出に対して監視を強化するよう要求する可能性があるが、米国の政策に大幅な変更を強いる公算は小さい。戦略的に重要なサプライチェーン(供給網)に対する中国からの恐喝やボイコットに対し、安全を確保する必要性があるとするバイデン政権の懸念については、共和党もおおむねこれを共有している。また、台湾への支持は両党とも強い。
他の外交政策上の優先課題についても、同様の超党派の支持が示されている。近年のインドとの関係改善は、クリントン政権時代に始まり、その後の共和党・民主党どちらの大統領下でも同様に推進されてきた。両党の指導者は、日本・韓国・オーストラリアなどの国々との緊密で深化しつつある関係の重要性を明確に認識しており、米国民もこの見方を共有することを世論調査は示している。
対立要素となる問題は残っている。その幾つかは、必然的に緩和に向かうように見える。イランがロシアとの広範な関係を築き始める中でも何とかしてイラン核合意を復活させようとするバイデン政権の自己破壊的な取り組みも、その一つだ。気候変動や国境管理をめぐる党派対立の問題は、今後も尾を引くだろう。しかし、欧州でロシアの拡張主義に抵抗しつつ北大西洋条約機構(NATO)を維持することや、中国の覇権主義的野望に直面する東アジア・南アジアの近隣諸国への支援といった米外交政策の大きな柱は、両党共通の見解を反映しており、変わる可能性は低いとみられる。
米国社会は情報革命の大変革の波に遭遇するために、20世紀末の比較的落ち着いた経済・社会情勢をあとにした。しかし米国には荒天への準備ができていた。激戦ではあったが平和裏に終わった今回の選挙や、国際社会との賢明な関係構築に向けて強まりつつあるコンセンサスが示唆しているのは、米国は一部の敵対諸国が想定している以上に、次の嵐への備えが整っているということだ。
今回の選挙で重要な点は、米国は多くの問題を抱えているものの、依然として非常に安定した社会であり、その基盤を成す制度が引き続き国民の尊敬を集めていることを世界に思い起こさせたことだと、ミード氏。
人民の、人民による、人民のための政治は地上から滅びることはなかったと。
米国は矛盾をはらんだ場所だ。米国民は自分たちの政治機構が脆弱(ぜいじゃく)で危険にさらされていると感じることがよくある。
しかし、一つの憲法の下、250年近くにわたって秩序が破られていないという点で、近代国家で米国に匹敵する記録を持つ国はない。その間、国際システムにおける米国の力と影響力は拡大を続けてきたと、ミード氏。
主に田舎の独立した農家を基盤としていた19世紀の米国システムは、都市化された産業経済に道を譲った。その産業経済は、情報革命で台頭しつつある企業や技術に道を譲った。今も続いているこの変化によるコストやストレスは、米国の政治機構を根幹から揺るがしたが、われわれの社会的および政治的秩序は今も健在だとも。
現在の世界が 2極分化した時期においてもなお、対ロシアと対中国政策をめぐっては、米国政治において、他のほとんどの問題以上に多くのコンセンサスが存在する。
下院で共和党が多数派を占めた場合、ウクライナ向け支出に対して監視を強化するよう要求する可能性があるが、米国の政策に大幅な変更を強いる公算は小さい。
中国からの恐喝やボイコットに対し、安全を確保する必要性があるとするバイデン政権の懸念については、共和党もおおむねこれを共有している。また、台湾への支持は両党とも強い。
両党の指導者は、日本・韓国・オーストラリアなどの国々との緊密で深化しつつある関係の重要性を明確に認識しており、米国民もこの見方を共有することを世論調査は示している。
イラン核合意を復活させようとするバイデン政権の自己破壊的な取り組みの様な対立要素となる問題は残っている。しかし、欧州でロシアの拡張主義に抵抗しつつ北大西洋条約機構(NATO)を維持することや、中国の覇権主義的野望に直面する東アジア・南アジアの近隣諸国への支援といった米外交政策の大きな柱は、両党共通の見解を反映しており、変わる可能性は低いと、ミード氏。
激戦ではあったが平和裏に終わった今回の選挙や、国際社会との賢明な関係構築に向けて強まりつつあるコンセンサスが示唆しているのは、米国は一部の敵対諸国が想定している以上に、次の嵐への備えが整っているということだとも。
# 冒頭の画像は、バージニア州での投票風景
この花の名前は、ミカエリソウ
↓よろしかったら、お願いします。
遊爺さんの写真素材 - PIXTA