Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

パリ、ジュテーム

2008-07-13 | 外国映画(は行)
★★★★☆ 2006年/フランス 18監督からなるオムニバス(ガス・ヴァン・サント ブリュノ・ポダリデス ジョエル・コーエン イーサン・コーエン ウォルター・サレス ダニエラ・トマス クリストファー・ドイル イザベル・コイシェ 諏訪敦彦 シルヴァン・ショメ アルフォンソ・キュアロン オリヴィエ・アサイヤス オリバー・シュミッツ リチャード・ラグラヴェネーズ ヴィンチェンゾ・ナタリ トム・ティクヴァ フレデリック・オービュルタン ジェラール・ドパルデュー アレクサンダー・ペイン )
「きっとお気に入りの1本が見つかる」


ヨーロッパで最も好きな都市はバルセロナ。その次がパリです。カフェでぼーっとしながら道行く人を眺めているだけでとっても幸せ。だからね、ラストのアメリカ人女性キャロルがひとり公園でつぶやくセリフがもうこれはまるで私のことではないかしら、と言うくらいに染みてしまいました。
「私は喜びと同時に悲しみを感じていました。
それは大きな悲しみではありません。
なぜなら、私は生きていると感じたからです。」

本作は、まるで映像のガイドブックのように美しいパリを堪能できます。いろんな視点のものが出てきますが、やはり「旅人」としての視点に共感してしまいます。その中で最終話にしっぽりやられました。華やかなパリの街並みにひとり佇んだ時の、あの心地よい孤独感。それを見事に代弁してくれていたからです。ヨーロッパの旅は、なぜか無性に孤独を感じます。あれは、一体何でしょう?そして、その孤独感こそが生きている実感となり、再びヨーロッパを目指してしまうのです。

5分程度の作品なのに、全ての出演俳優たちがとても印象的な演技で魅了します。私のお気に入りは、ギャスパー・ウリエルとジュリエット・ビノシュかな。特にジュリエット・ビノシュは、この短い時間でこれほど魂込められるとは、さすがと唸りました。アルフォンソ・キュアロン監督の見事なワンテイクのオチ付きは拍手もの。オチをわかった上で見直すとかなり笑えました。

それにしても、驚いたのは英語のセリフがたくさん出てくることですね。もちろん、アメリカ人観光客という設定なら当然セリフは英語になるのですが、そういうことではなく、パリを舞台に撮る、となった時に迷わずじゃあフランス語で撮る、という感覚はもう古いんだな、と思わされたのです。ラストのアメリカ人女性の話でも、せっかく学んだフランス語が通じなくて困る、のではなく、フランス語で尋ねたら英語で返されてしまう、というシチュエーションなんですもん。パリも変わったなあ、なんてしみじみ。

各ストーリーを繋ぐ何気ないパリの風景。これが、とてもいい。特に夜の街がステキです。最後にパリに行ったのはもう10年も前のこと。仕事と子育てに追われて、年月は過ぎ…。パリに行きたくて行きたくてたまらない気持ちにさせられた1本でした。