Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間

2008-07-28 | 外国映画(た行)
★★★★ 1992年/アメリカ  監督/デヴィッド・リンチ
「ローラの弔い」




ビニールシートにくるまれていたローラは、あんなに美しく魅惑的だったのに、本作のローラは泣いてばかり、脅えてばかり。しかも、おばちゃんみたいに野暮ったいファッションセンス。ちっとも美人じゃないの。ごめんね、やっぱり死体のままでいてくれた方が良かった、なんて。また、ローラの親友、ドナをララ・フリン・ボイルが演じなかったのは、何とも残念。ヌードシーンがあったため、当時付き合っていたカイル・マクラクランが反対したのだろうか。テレビ版のドナとはイメージが違いすぎる。

確かに公開当時は喜び勇んで見に行った。ドラマシリーズでどこまで見ていたのか今となっては記憶がないが、もう一回確認したくて、納得したくて映画館に足を運んだような気がする。改めて見て、これは、ドラマシリーズでリタイアした人向きかも、と思う。ここをボーダーラインにすればいいのに、と以前語ったドラマシリーズのepisode16まで見終えて、この映画版を見るのが最もツイン・ピークスを堪能する方法と言えるかも知れない。というのも、やはりテレビシリーズ序盤の淫靡な世界観が圧倒的に映画版のそれを上回っているからだ。

しかし、悪の化身ボブに体も魂も乗っ取られたというのに、ローラは、天使に見守られて死んだ。その事実は、死後のローラが、安寧の地にいることを示唆している。つまり、リンチはローラを本作で成仏させたとは言えまいか。テレビシリーズで死体からスタートし、散々もてあそび、いたぶったローラという少女を、リンチはこの作品で無事天国、いやホワイトロッジに送り届けた。これは、ローラを弔うために撮られた作品かも知れない。