Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

ブラック・スネーク・モーン

2008-07-17 | 外国映画(は行)
★★★★ 2006年/アメリカ 監督/クレイグ・ブリュワー
「オンナの私でもパンツに釘付け」



これは、面白かった。すごいカッコイイショットの連続で。冒頭のトレーラーに中指立てるクリスティーナ・リッチとか鎖を巻き付けてソファで眠る姿とか。あんまり見た目がカッコ良すぎるもんだから、中身の方、つまり物語で言うとラザラスとレイ、ふたりの関係性に、もうひとひねり、ふたひねりあればなあ、と言う欲も出てくるのよね。「エクソシスト」の少女と神父みたいにさ、もっとラザラスを愚弄して、誘惑するレイでも良かったんじゃないの、なんて。

それに、まるで猛獣をつなぐような鎖を出してくるもんだから、監禁にまつわる物語性よりも、むしろ華奢なクリスティーナ・リッチが黒人のオッサンに太い鎖でしばられている絵を撮りたいという意思の方が強いのかも、なんて穿った見方をしてしまうんだけど、サミュエル・L・ジャクソンとクリスティーナ・リッチ。この二人の演技がそんな疑念を吹っ飛ばしてしまう。

特にクリスティーナ・リッチ。前半、ほとんどパンティー一枚。これぞ、女優ですよ。あの小さい体で男たちに弄ばれる描写が痛々しいのなんの。まるで、ボロぞうきんのよう。でも、演技は実に堂々としていてすばらしい。この延々パンツ一丁(しかも白いパンティーだぞ)には、作り手の明らかな狙いがあるはず。でも、それがどうだって言うのよ、と言わんばかりに目の玉ひん向いて迫ってきます。日本の若手女優陣は、これを見なさい!と言いたい。サミュエル・L・ジャクソンの老けっぷりも驚きました。「パルプ・フィクション」の颯爽とした男っぷりはどこへやら。白いランニングでトラクターを運転する姿がハマリすぎなほど。そんな、やつれ男のブルースっつーのも、なかなか女心に響きます。もがきながらも前向きに生きる底辺の人たちの交流をじめじめした演出ではなく、あくまでもクールに見せる。ハリウッド映画ではなくアメリカ映画を見た!という気分になりました。