Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

しあわせの雨傘

2012-01-01 | 外国映画(さ行)
★★★☆ 2010年/フランス 監督/フランソワ・オゾン

「ドヌーブの7変化」

原題は「飾り壺」。
詩を作ることとお料理が趣味の専業主婦のスザンヌ。
夫は雨傘工場の社長で、娘からは「お母さんは飾り壺」と揶揄される。
一見、ぼんやりしてお仕事とは無縁なマダムなのに、
夫が入院し、社長代行として会社に出入りするうちに思わぬ手腕を発揮し始める。
スザンヌが社長として社員たちに受け入れられるのは、まず彼女の人柄があってこそ。
人を動かすのは、人なんだよね、という温かいストーリー展開が表面上では繰り広げられるわけですが。

うん、私はやっぱりオゾン作品だけに、スザンヌの過去が明らかになるに従い
「やーねー、オンナってカワイコちゃんぶってても裏で何してるかわかんないし!」というオネエの毒吐きにも似た
メッセージをそこはかとなく感じてしまう。もちろん、そこんところ、ワタシは大変好意的に受け止めていて、
それこそがオゾンらしさではないかと思っています。
まだまだ女性が差別されている時代にあれよあれよと成功してしまうスザンヌ。
「私はお母さんのようにはならないワ」と言っていた娘が何よりの理解者になるのかと思いきや…。
本作はもともと人気の舞台をベースにしているそうなんだけど、
この娘の存在はオゾンオリジナルキャラクターらしい。
この娘が成功する母親とは反して次第に「オンナ的立ち位置」にすがってしまう。
こういうキャラを敢えて追加するあたりもオゾンらしいなと思う。

実は奔放な男性遍歴を持つスザンヌ。そのあけっぴろげな感じがオイオイと突っ込みたくなり、
見ようによっては下品極まりないのだけど、これが何せドヌーブが演じているものでかわいらしい。
何をやっても、ドヌーブだからお茶目に見える。
なんと言ってもドヌーブありき。まっ、それはそれでいいのではないかと思う。