Casa Galarina

映画についてのあれこれを書き殴り。映画を見れば見るほど、見ていない映画が多いことに愕然とする。

息もできない

2012-01-11 | 外国映画(あ行)
★★★☆ 2008年/韓国 監督/ヤン・イクチュン

「痛みの行方」

情け容赦ない暴力で周囲を震え上がらせる借金の取り立て屋、サンフン。ある日、道端で唾を吐き、偶然通りかかった女子高生ヨニのネクタイを汚してしまう。見るからに強面のサンフンに対しても怯むことなく突っかかっていくヨニ。最悪な出会いを果たした2人だったが、不思議とウマが合い、奇妙な交流が始まるが…。

映画館で公開されている時から、これは衝撃作だとずいぶん話題になってた。
確かに、社会の底辺に生きる人たちのやりばのない怒りや暴力の連鎖によって逃れられない苦しみが
そりゃもう痛いほどに伝わってきて、凄いエネルギーを放っている。

なんだけれども。
私はちょっとこの手の韓国映画に飽きてきました。
監督は私財を投げ打ってこの作品を作っているわけで、
どうしてもこれを描かなきゃいけない心情もわかる。
それでも、韓国の新鋭ってところで、そろそろ暴力から脱した映画でこれは、
と思うものを見たいなと思うんである。

貧しさからも、暴力からも、もがいても、もがいても、逃れられないふたり。
悲しい事実が待ち受けていることを想像するのは容易で、思った通りの展開。
かつ、その後に示される希望は、この物語の流れからはどうしてもなじめない。
サンフンの末路からラストに至るまでの違和感がぬぐえない。

女子高生に唾を吐く、自分の子どもを殴る蹴るなど、個々の描写は凄まじいけど、
その尖りようが物語そのものには流れていなくて、少しちぐはぐした感じを受けた。