うざね博士のブログ

緑の仕事を営むかたわら、赤裸々、かつ言いたい放題のうざね博士の日記。ユニークなH・Pも開設。

アメリカの戦争責任

2015年11月08日 08時35分16秒 | 活字中毒の日々、そして読書三昧
竹田恒泰さんの本、「アメリカの戦争責任」PHP新書 を読む。きわめて読みやすい。
 先日、近所のイオンの未来屋書店で思うような本が入手できずに来年の太陽太陰暦の暦とともにこの本を購入した。明治天皇の係累の人ということでテレビに出ていて、軽いキャラクターのみの人かと思っていたが、書店で見ていたらこんな本を出している。なんだなんだ、おまけに、山本七平賞も受賞された由。
 
 わたしは日本の歴史では、安土桃山時代と続いて関ケ原の戦い、明治維新、とそれに並んで大東亜戦争(第二次世界大戦)が重要でエポックメーキングな年代かなと思っていた。前の二つは時間軸が離れていて歴史の評価は定まっているが、大東亜戦争の敗戦はこれからの世代により客観的に決まってくるものと思われる。
 ここで、戦後最大のタブー「アメリカの戦争責任」と紹介されているが、要はアメリカの広島や長崎への原爆投下の責任の明確化を追求したもの、第二次世界大戦でヨーロッパ戦線ではドイツによるロンドン空襲、それに対する戦時復仇としての連合国側からのドレスデンへの空爆があった。その後アメリカによる、わが日本の地方都市70数か所への無差別な空襲が始まり、民間人100万が死亡した。
 最後には、計画的にそれまで焼夷弾投下などを避けて残していた都市、新潟、小倉を含めた4都市の内天候による視界が良かった広島や長崎へのそれぞれウラニウム爆弾、プルトニウム爆弾を投下した。その結果、民間人30万人以上が死亡した。
 投下直後にアメリカはその威力や放射能について終戦後現地入りし敏速に調査をしたが、そのデータは本国へ持ち帰った。そのあとの治療方法は日本任せにした。これらは時のアメリカのトルーマン大統領やバーンズ国務長官の判断によるものだが、国際情勢の上で米ソ冷戦の予兆もあり、アメリカ軍の損失を抑えることと日本の終戦を早めるためにとは言いながらも、竹田氏は、人類初の驚愕すべき原子爆弾という破壊兵器は人体実験だったのではと分析していく。
 明確に、日本各地への空襲や広島や長崎への原爆投下の大量殺戮は、人道上国際法違反でありながら、現代でもアメリカ国内の世論ではほおっかぶりしているらしい。この問題は、アメリカの開拓者精神や世界の正義を標榜することを良しとしながらも、そういうレベルではない。
 ただ、誤解をしてほしくないのは、アメリカによる戦後日本の復興についてはGHQによる占領下、援助物資や社会制度の改革や民主主義の導入は稀に見るありがたいものだったということを付け加えたい。
 いずれにしても、これからはこの視点からの議論の盛り上がりを期待したい。

 残っている戦後のタブーはシベリア抑留の強制労働などの実態調査とソ連の責任、それに補償問題と、大東亜戦争戦後の戦没者の国による解明と遺骨収集作業の迅速な完全実施であるとわたしは思っている。
                
コメント
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