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100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

自発的対称の破れ

2008年10月09日 | 千伝。
福井県には、「南部」という苗字が案外多いです。

その中でも、福井市出身の南部陽一郎氏(米国・シカゴ大学名誉教授 87歳 米国籍取得)が、ノーベル物理学賞を受賞されました。

おめでとうございます。

南部陽一郎氏は、東京で生まれて、わずか2歳の時に地震に遭い、父の故郷である福井に一家で戻り暮らすことになりました。

昨日、今日と・・地元福井新聞も、子供の頃のエピソードから現代に至るまで、大きく扱っています。

今でも、年に2~3回、こっそりと福井に里帰りしているようで大変嬉しいことです。

かなり以前から、いつノーベル賞を取ってもおかしくないという素粒子物理学の世界的な権威でもあり、物理学者の中では予言者として尊敬されているようです。

物質を構成する最小単位を扱う素粒子論の究極的な構造を探求して理論づけて提唱したのが、「自発的対称の破れ」・・。

・・この概念は、本来、質量を持たない素粒子が、質量を求める基本的メカニズムであり、現在の宇宙というものを説明するのに欠かせないものだという由。

(難しいですね・・??)

言い易く喩えるならば、多分・・五体満足な左右対称であるべき生命体が、何か理由で微妙な擬似完全対称であり、その生まれてきた生命体同士が、同じ空間時間の延長戦上で同方向に進まず異なる体験(質量)を求めて運動し終えるメカニズムの破れではないかと・・と想像するのです。

病院でお世話する老人に、旧制福井中学時代の南部氏の先輩にあたる方がいます。

「南部陽一郎、知っているよ。・・頭が良かったかどうかは知らん」

もうひとりの方は、経官栄養(胃ろう)の状態でベッドの上に寝たきりの状態です。

「今日一日、楽しかったですか?」と訊くと・・
「うん、楽しかった」
「何が楽しかったですか?」
「多勢がここにいるから」と答えてくれました。

一生謎解き・・南部さんのノーベル物理学賞受賞のコメントでした。