ふくい、Tokyo、ヒロシマ、百島物語

100% pure モノクロの故郷に、百彩の花が咲いて、朝に夕に、日に月に、涼やかな雨風が吹いて、彩り豊かな光景が甦る。

ボルネオ編 7 ~ハートとダイヤ~

2010年08月10日 | 人生航海
そんな或る日、私は、急に脚が立たなくなった。

診察を受けると、心臓脚気と診断されて、会社側は早速病院に予約を入れて入院する事になった。

担当の先生は、前の先生とは違い、脚気という病名はなく使ったことがない不思議そうに首を傾げた。

その頃は、脚気という病名を知らない医者もいたらしい。

いずれにしても、入院して治すようにと会社から言われて、当分は入院生活をする事になる。

その病棟は、ほとんどが野村殖産の患者で、野村病棟と皆が云っていたくらいだった。

そこで知り合った隣りのベッドの若い患者と親しくなった。

彼は、ボルネオ奥地のダイヤの鉱山に勤めていた。

話しているうちに、彼から、折角ボルネオまで来たのに「一個二個ぐらいのダイヤを持てば」と言ってくれた。

私が退院するまでに「何とかするから」と言って、約束をしてくれたのである。

そして、彼とは別々に退院をしたが、彼は、その後、約束通りに二個のダイヤを持ってきてくれて、私は、ダイヤモンドを安く手に入ることが出来たのである。