I think, This is not enough.
「足りません」
昨年だったと記憶していますが、TVで放映されていた時代劇の鬼平犯科帳が終了するとアナウンスされていました。
理由は、原作者が書いた作品で、映像化可能と思われる作品を全て使用しつくしたと聞いています。
「原作にないものはやってくれるな」という原作者の遺言を守ったのだそうです。
『ヘラクレスの冒険』ですが、これはポワロの短編集です。
短編集ですが、ポワロが引退する前に12の事件を片付けること決意して、その事件簿となっています。
私が推理小説にはまり込んでいた若い時分、この短編集は見た記憶がありません。
で、Web検索してみると、日本での初出版は1976年となっていますので、それで読んだことがなかったのかなと思います。
図書館でこの本を見つけた時、早速に借りて読みました。
その後、NHKのBSで『名探偵ポワロ』が放映されたので、録画を見ました。
いわゆる、読んでから見たわけです、で、いささか違和感を感じました。
確か『名探偵ポワロ』は、アガサ・クリスティーが発表したポワロシリーズを全て映像化したと聞いていたからです。
そうなると『ヘラクレスの冒険』は12本の作品として映像化されなければならないはずですが、放映されたのは1本だけです。
映像化は2013年となっていましたので、この時点で12本もの作品を映像化するのは無理だったのでしょうね。
それで、12本の作品は、1本のビデオとしてまとめられることとなったようです。
ビデオを見ていると、本で読んだ物語が、あちこちに散りばめられていました。
出だしの盗難事件は『ヒッポリュテの帯』から、ポワロがメイドを追いかけるきっかけは『アルカディアの鹿』、メインとなったスイス山中のホテルシーンは『エルマントスのイノシシ』から、イギリスの外務次官が巻き込まれた事件は『ステュムパロスの鳥』などからとられているかなと感じました。
短編集は、楽しめたのですが、ビデオの方は、12話をごちゃ混ぜにしたので、ちょっと違和感がありました、アガサ・クリスティーの小説ではないように。
ビデオの最後に、ドルエ警部が思わず「犯罪者の見本市」だと呟いたシーンがありましたが、これがビデオの本質を語っているなと感じました。
ごちゃまぜにしたので、最後は犯人ばかりになってしまって、違和感を感じたわけです。
下の写真は、今日の空模様です。
やっと春めいた空模様になってくれて、私の体調もやっと上向き加減になりました。