午前中から急激に晴天となった所為で昨日の大雪が緩み、今日は車で走行中に雪崩に曹禺! 後部に雪の塊が当って車線の反対側まで流されました。それでも怪我が無かったのは幸いでしたが、車の後パンパーがやられました……。トホホです。
ということで、本日は――
■Viva Santana (CBS / Sony)
ラテンロックの王様バンド、サンタナのレア音源集2枚組CDです。発売されたのは確か1988年頃で、名目が「“フィルモア”デビュー20周年記念」とされていたんですから、如何にサンタナというバンドがライブの人気者だったか、窺い知れるところでしょう。
とはいえ、スタジオ録音されたアルバムだって、野性的でありながら、実は緻密なプロデュースとアレンジが秀逸だと思います。
そしてこのセットには、そういう両面が見事に楽しめる構成になっているのです――
Disc 1
01 Everybody's Everything (リミックス)
02 Black Magic Woman/ Gypsy Queen (リミックス)
03 Guajira (リミックス)
04 Jungle Strut (1971年モントルーのライブ)
05 Jingo (リミックス)
06 Ballin' (未発表:1967年のデモ音源)
07 Bambara (未発表:1980年のスタジオ録音)
08 Angel Negro (未発表:1982年のスタジオ録音)
09 Incident At Neshabur (フィルモア最後の日より:1973年7月4日のライブ)
10 Just Let the Music Speak (未発表:1986年のスタジオ録音)
11 Super Boogie / Hong Kong Blues (1985年のライブ)
12 Song of the Wind (1977年のライブ)
13 Abi Cama (1983年のライブ)
14 Vilato (1983年のライブ)
15 Paris Finale (1983年のライブ)
Disc 2
01 Brotherhood (1985年のライブ)
02 Open Invitation (1985年のライブ)
03 Aqua Marine (ラフミックス)
04 Dance, Sister, Dance (1978年カリフォルニアジャムのライブ)
05 Europa / 哀愁のヨーロッパ (1979年大阪でのライブ)
06 Peraza I (未発表:1985年のスタジオ録音)
07 She's Not There (1985年のライブ)
08 Bambele (1973年のライブ)
09 Evil Ways
10 Daughter of the Night (未発表:1982年のリハーサル音源)
11 Peraza II (未発表:1985年のスタジオ録音)
12 Black Magic Woman / Gypsy Queen (1982年のライブ)
13 Oye Como Va (1982年のライブ)
14 Persuasion (1969年ウッドストックのライブ)
15 Soul Sacrifice (1969年ウッドストックのライブ)
――という演目は、ファンならば眩暈がすると思いますし、じっくり聴いてもコンパイルの見事さには唸るはずです。
狂熱的なラテンパーカッションにカルロス・サンタナの“泣き”のギターがあってこそ、ラテンロックという“キワドイ”ジャンルが成立している雰囲気ですが、そこは前世が日本人だったと言い切っているカルロス・サンタナの事ですから、我々も素直に楽しんで、バチはあたらないでしょう。
気になる収録曲では「Ballin'」がバンドとしては最古の音源かもしれませんね。ラテンビートというよりは、ジャズロック色が強い演奏で、オルガンがジェットマシーンっぽく唸ったり、またカルロス・サンタナのギターも派手なブルースロック調だったりして、サイケロック時代ど真ん中の演奏が楽しめます。極言すれば、マイルス・デイビスのトランペットが鳴り出しても不思議ではないと♪
また「Angel Negro」なんかサンタナというよりは、モロに巷のラテンのバンドという感じで、ピアノとホーン、打楽器に陽気なボーカルばっかりが目立ちますので、お蔵入りしていたのもムベなるかな……。しかしこれが滅法楽しいのでした。
それと“サンタナ風気持ち良いモード”が全開する「Song of the Wind」のライブバージョンは、やっぱり素敵です。私なんか、長距離ドライブではこのトラックばっかりを延々とリピートしまくっているほどです。あぁ、泣きのギターの官能美♪
次に Disc 2 では、「Dance, Sister, Dance」の死ぬほど熱いギターソロ! サンタナ最高!
そしてやっぱり「哀愁のヨーロッパ」が日本録音というのが嬉しいでしょう♪ これが嫌いな日本人はいないというほどですねっ♪ なんでも作曲者のトム・コスターがサンタナで来日した時に歌謡曲を聞いてヒントを得たという逸話があるほどです。あぁ、泣きのギターの極北ですが、中盤からテンポアップしてのアドリブパートも聴きごたえがありますよ♪ リズム隊のワイルドなフィーリングもなかなかです。
そしてリバイバルカバーでヒットさせた「She's Not There」のライブバージョンが、これまたスタジオバージョンを凌ぐ熱い演奏で、重いビートにクールなオルガン&シンセ、ソウルフルなボーカルにカッコ良いギターという黄金の瞬間がたっぷりと楽しめます。
また終盤からのヒット曲ライブバージョン乱れ打ちは、もちろん爽快ですが、ウッドストックのライブ2連発をクライマックスに持ってきたのは流石のプロデュースです。なんたってサンタナはウッドストックで世界に名前を売ったのですから! それは映画をご覧になられた皆様ならば、充分に納得出来るでしょう。
ということで、スタジオ&ライブの音源がゴッタ煮なんですが、非常に上手い編集によって曲間が繋がれており、通して聞いても全く違和感がありません。曲によっては打楽器だけのパートもあるんですが、それだってサンタナというバンドには欠かせないものですから、たまらんのですね♪
案外、サンタナの入門用にも最適な編集盤かもしれません。