OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

デビュー盤ならこっちが好き

2008-02-28 17:22:08 | Weblog

やっぱり雪国です。風が強くて雪が舞う!

こんな日にはハードバップが一番です!

ということで――

Introducing Lee Morgan With Hank Mobley Quintet (Savoy)

ハードバップの天才トランペッターだったリー・モーガンは、弱冠18歳でバリバリのトップをとったという部分に天才性が認められるわけですから、そのデビュー盤は既にして快演が“お約束”♪

一応、公式の初レコーディングはブルーノートの「インディード!」とされていますが、このアルバムはその翌日録音も含んでいますから、果たしてどちらが先に発売されたのか、ちょっと興味深いものがあります。

ただしこちらは、ジャケットにも小さく記載されているとおり、本来はハンク・モブレーのリーダーセッションをリー・モーガン名義に転用したそうですから、そのあたりからも当時の話題性が窺えます。

気になる録音は1956年11月5&7日、メンバーはリー・モーガン(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ハンク・ジョーンズ(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds) という御馴染みの面々です――

A-1 Hank's Shout
 景気の良いアート・テイラーのドラミングに導かれて始る典型的なハードバップです。テーマメロディからアドリブまで、全くの「モブレー節」が全開していますから、ついついニンマリ♪ ハンク・ジョーンズの控えめな伴奏が、これまた良い感じです。
 そして続くリー・モーガンが、いきなり進軍ラッパのような突進ぶりを披露してくれます! 絶妙のリズム感で繰り出してくる躍動的なフレーズの嵐は、これぞハードパップの魅力が満載ですねっ♪ 個人的には前述したブルーノートのセッションよりもノリが良いと感じています。
 クライマックスではドラムスとの対決もあって、当時の勢いが上手くパッゲージされたのではないでしょうか。

A-2 Nostalgia
 早世したトランペッターのファッツ・ナバロが書いたオリジナルで、タイトルどおり懐古調が入った哀愁の名曲なんですが、ここでのリー・モーガンはテーマ吹奏からミュートを使い、なかなかの味わいを出しています。
 そしてアドリブパートでもグルーヴィなリズム隊が揺るぎませんから、自在に飛翔しては我に返るという展開が如何にもリー・モーガン! つまり最初からほとんど個性が出来上がっていたのは、天才の証でしょうねぇ。
 ちなみに先発でアドリブを展開するハンク・モブレーは幾分モゴモゴした音色、暖かい歌心でジワジワと盛り上げていますが、それすらもリー・モーガンの露払いになっているほどです。
 またハンク・ジョーンズの落ち着いたピアノ、躍動するベースとドラムスのコントラストも絶妙で、個人的には気に入った演奏になっています。終盤のソロチェンジからラストテーマに繋がるところもグッときますよ♪

B-1 Bet
 これまたグルーヴィなアート・テイラーのシンバルワークをイントロに、なかなか素敵なハードバップのメロディが始りますから、最初っからもう辛抱たらまん状態です。あぁ、この快適なテンポ♪
 そしてアドリブ先発のリー・モーガンが絶品です。緩急自在でありながら、決して本筋を外さないノリの良さ♪ フックの効いたアドリブフレーズ♪ これで18歳なんですから、共演者達もニンマリして唖然でしょうねぇ。もちろんリスナーはモダンジャズ天国です。
 さらにハンク・モブレーも快演で、かなり思い切ったフレーズも吹きながら、最終的にはタメとモタレの世界へ戻るという潔さです。またハンク・ジョーンズが歌心とファンキーな味わいの二重奏♪ 地味な展開の中にキラリと光るピアノタッチがニクイです。 

B-2 Medley
     Softly, As In A Morning Sunrise / Doug Watkins
     P.S. I Love You / Lee Morgan
     Easy Living / Hank Jones
     That's All / Hank Mobley

 ここからはバラードメドレーで、まず初っ端のダグ・ワトキンスが太い音色で豪快にグルーヴすれば、続くリー・モーガンが最高の歌心でテーマメロディを変奏していきます。あぁ、なんて凄いんでしょう♪♪~♪ とにかく全てが歌のトランペットが聞かれますよ。
 リズム隊の伴奏の上手さも言わずがな、ハンク・ジョーンズがトリオで弾く「Easy Living」も隠れ名演だと思います。これも最高っ!
 そしてお待ちかね、ハンク・モブレーがジンワリと吹いてくれる「That's All」は上手くテーマを崩しているのですが、これがかなりアグレッシブというか、甘さに流れていないんですねぇ。それでいて素敵な和みの世界です。ラストテーマでは無伴奏になって、テナーサックスのキーがカタカタ鳴るのも、なんか嬉しいです。

ということで、これもハードバップの名盤だと思いますが、リー・モーガンに限って言えば、圧倒的にブルーノート盤の「インディード!」ばかりがチヤホヤされているような……。

しかし私は完全にこっちが好きで、それはモブレーマニアの所為かもしれませんが、リー・モーガンでは「Nostalgia」と「P.S. I Love You」が物凄く好きですと、愛の告白♪

なんとも言えないキッチュな人工着色っぽいジャケットも、気に入っているのでした。

コメント (2)
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