本日はニャンニャンニャンで、猫の日だそうです。
猫=キャットは熱心なジャズファンのことでもありますから、本日はジャズの日でも納得しますかねぇ。
ということで、本日は――
■Barney Wilen Quartet Newport '59 (Fresh Sound)
バルネ・ウィランはフランスや欧州をメインに活動していたテナーサックス奏者で、一時は前衛に走ったこともありながら、実はハードバップ愛好者には常に気になる存在だったと思います。
なにしろ4ビートをやらせてはデクスター・ゴードンやソニー・ロリンズ、そしてハンク・モブレーあたりの影響下にありながら、独自の歌心とジャズ魂を持った正統派♪ 黒っぽい音色も実に素敵です。
そして1980年代後半からは日本人好みの新作レコーディングも増えて、人気を確固たるものにしているのですが、モダンジャズ全盛期の1950年代の録音には、やはり格別の良さがあります。
このアルバムは、そんな時期のバルネ・ウィランを記録した発掘音源のCDで、なんと1959年7月4日のニューポートジャズ祭でのライブ! しかもメンバーが強烈で、バルネ・ウィラン(ts,ss) 以下、秋吉敏子(p)、トミー・ブライアント(b)、ロイ・ヘインズ(ds) という物凄さです――
01 Introduction
02 Passport
03 `Round Midnight
04 Barney's Tune
司会者の短いメンバー紹介の後、秋吉敏子のアグレッシブなイントロ、さらにテンションの高いロイ・ヘインズのドラミングに導かれて始るのが、チャーリー・パーカーが書いたビバップのブルースですから、このモダンジャズど真ん中のグルーヴに、まずはシビレます♪ う~ん、バルネ・ウィランが流れるようなフレーズを積み重ねて快調♪♪~♪ ただし秋吉敏子が、やや不調です……。ちょっと新しいことをやろうとして力んだ雰囲気なんでしょうか……。それでも後半は持ち前のビバップ魂を発揮しています。
続く「`Round Midnight」ではバルネ・ウィランが、あの艶っぽいソプラノサックスを存分に披露♪ 音色が実に素敵ですし、ミステリアスなテーマメロディをお洒落な雰囲気に変換していく感性が素晴らしいところです。アドリブフレーズにも新しさがありますねぇ。秋吉敏子の伴奏も、ハッとするほど良い感じ♪ そのまんま入っていくアドリブパートも、なかなか聞かせてくれますよ。
そしてバルネ・ウィランのオリジナルという「Barney's Tune」は、某ビバップの有名曲を元ネタに、様々な名曲を繋ぎ合わせたようなメロディが楽しく、アップテンポの快演となっています。リズム隊も本調子のサポートで熱気満点ですから、あぁ、これが最後の演目となるのが悔しいですねぇ~。秋吉敏子の過激なピアノが凄いです。
ということで、このパートは22分ほどですが、音質も普通に聞けるほどに良好です。そしてここから先はオマケ扱いで――
05 No Problem / 危険な関係
06 Niguel's Party
これは度々出ているパリでのライブ音源で録音は1959年、メンバーはバルネ・ウィラン(ts)、クラーク・テリー(tp)、バド・パウエル(p)、エリック・ピーター(b)、ケニー・クラーク(ds) というオールスタアズです。しかし期待される「危険な関係」にはバド・パウエルの働きが極めて少なく、演奏そのものも些か緩みが感じられます。
しかし続く「Niguel's Party」は、なかなかファンキーなハードバップ! クラーク・テリーの思わせぶりは、元祖マイルス・デイビスという感じでニンマリします。またバルネ・ウィランは歌いまくって黒っぽいという魅力が全開しているのでした。
ちなみにこの2曲も音質は良好です。
07 `Round Midnight
最後のパートは1950年代末、ドイツでの録音とされる演奏で、メンバーはバルネ・ウィラン(ts)、Evald Heideprim(p)、Karl Theodore Geier(b,cello)、Eberhard Stkengel(ds) というカルテットです。
まず、御馴染みのテーマメロディがセロで奏でられるという雰囲気が、如何にも欧州っぽいですねぇ。続けてバルネ・ウィランが魅惑の変奏に移るあたりもシブイ♪ あぁ、こうなるとソフトで黒っぽいテナーサックスの音色の魅力が全開していますね。もちろんアドリブも控えめながら、逆にムード重視の展開が、たまりません。
ということで、やっぱり最初のニューポートでのライブが貴重で魅力満点! 告白すれば秋吉敏子が目当てで入手したブツですが、バルネ・ウィランも大変な力演で、好感が持てます。
あぁ、もっと1950年代のバルネ・ウィランが発掘されないかなぁ~。