今日は1日、仕事でもベタな展開が多くて……。頭を下げるのはやぶさかでは無いし、むしろ当然と思っている事が多い私ですが、う~ん……。
ということで、本日はひたすらに和みたいので――
■Clifford Brown With Strings (EmArcy)
アドリブがなければジャズでは無い!
確かにそれは、ある一面の真理を突いています。しかしアドリブなんて姑息な手段に頼らなくとも、充分にジャズをやってしまったのがクリフォード・ブラウンという天才トランペッターの、このアルバムです。
それはタイトルどおり、ストリングスと共演して有名スタンダード曲を素直に吹いているだけの作品なんですが、これが素晴らしい! 素晴らしい、なんていう言葉では表現しえない、深遠で暖かい世界が楽しめるのです。
録音は1955年1月18~20日、メンバーはクリフォード・ブラウン(tp) 以下、リッチー・パウエル(p)、バリー・ガルブレイス(g)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds) というリズム隊に加えて、ニール・ヘフティ編曲指揮のストリングスグループがついています――
A-1 Yesterdays
A-2 Laura
A-3 What's New
A-4 Blue Moon
A-5 Can't Help Lovin' Dat Man
A-6 Embraceable You
B-1 Willow Weep For Me
B-2 Memories Of You
B-3 Smoke Gets In Yout Eyes
B-4 Portrait Of Jenny
B-5 When Or When
B-6 Stardust
――どうです、魅惑の選曲でしょう♪
気になるアレンジは、それなりに凝っていますが、ストリンググループは、せいぜいが7~8人の少人数ですから、なかなかビートの強いリズム隊は存在感がありますし、主役のクリフォード・ブラウンは素直にテーマメロディを歌い上げつつも絶妙のフェイクを交え、美しいトランペットの音色を聞かせてくれます。
もちろん全曲が完璧な仕上がりですが、個人的には「Laura」が大好き♪ それとゴージャスでジャズっぽい「Can't Help Lovin' Dat Man」とか、胸キュンの「Smoke Gets In Yout Eyes」、それに心の底からジンワリくる「Portrait Of Jenny」も実に良い雰囲気です♪
またオーラスの「Stardust」は言わずもがなの桃源郷♪ とても豊かな表現力には絶句して歓喜悶絶の名演だと思います。
ということで、大人が集るクラブの雰囲気というか、ジェントルなムードにたっぷりと浸れるアルバムです。
ガチガチのジャズファンからは駄盤扱いされていた時期もあったようですが、実はクリフォード・ブラウンの最高傑作とする動きも確かにあるのですね。近年ますます、その傾向が強まった感もありますが、まずは虚心坦懐に聴いてみましょうね。