■Sonny Rollins Trio & Horace Silver Quintet Zurich 1959 (TCB = CD)
さて、先日書いたとおり、借りているトランクルームの不備確認に赴いた機会に、ネット等々で注文していながら開封もせずに放置していたブツを幾つか持ち帰ったんですが、その中のひとつが本日ご紹介の発掘音源CDです。
なんとっ!
ソニー・ロリンズとホレス・シルバーという、モダンジャズ最盛期に圧倒的な人気と実績を残した名プレイヤーが、各々自らのバンドを率いての欧州巡業の最中、スイスのラジオ局のスタジオで放送用に残した音源をカップリングしてあるんですねぇ~~!
しかも録音データを確認すると、それが1959年3月5日なんですから、両者共に全盛時代の演奏が堪能出来るにちがいないっ!
というワクワク感は、まさに音楽を聴く喜びの助走に他なりません。
☆Sonny Rollins Trio
01 I Remember You
02 I've Told Every Little Star
03 It Could Happen To You
04 Oleo
05 Will You Still Be Mine?
まず前半はソニー・ロリンズ(ts) が率いるトリオの演奏で、他にメンバーはヘンリー・グライムス(b) とピート・ラロッカ(ds) が脇を固めているんですが、皆様ご存じのとおり、当時のソニー・ロリンズはさらに自由な発想でアドリブ主体の演奏を志していたという目論みからすれば、ここで聴かれる5曲は何れもがソニー・ロリンズの天才性を堂々と証明するトラックばかりです。
もちろん、「自由な発想」と言っても、闇雲なフリージャズなんかに走る事は決してなく、ソニー・ロリンズならではのリズムの「外し」を用いたテーマメロディの柔軟な解釈や瞬間芸的に紡ぎ出されるアドリブフレーズの妙、さらには主題曲構造を決して逸脱せずにリスナーを仰天させるが如き、不意打ちの快感のような展開を堪能させてくれるあたりは、まさにモダンジャズの醍醐味を提供するソニー・ロリンズの存在証明でありましょう。
そして演目それぞれについては有名スタンダードが4曲と自身の代名詞的なオリジナル「Oleo」ということで、その詳細は省かせていただきますが、アップテンポでドライヴしながら独特の歌心を発散させる「I Remember You」、緩急自在な「I've Told Every Little Star」 、中盤まで無伴奏ソロで聞かせるスローな「It Could Happen To You 」、豪放にして軽妙洒脱なユーモア感覚も交えた「Will You Still Be Mine?」には、わかっちゃ~いるけどノセられてしまうツボがきっちり刺激されてしまいますし、悠々自適な「Oleo」こそは、ソニー・ロリンズが演じてこその輝きが否定出来ません。
また、共演のヘンリー・グライムスのベースワークも秀逸で、豪胆と繊細のコントラストが素晴らしく、同時にピート・ラロッカの叩き出すポリリズムっぽいドラミングのビートの芯をしっかりサポートする働きも侮れませんよ。
ちなみにジャズ史的には、この巡業直後にソニー・ロリンズは活動を縮小停止しての所謂「雲隠れ」という転換潜伏期に入り、1962年録音のLP「橋(RCA)」で第一線に復帰してからはフリージャズも視野に入れた賛否両論の演奏形態に変化変身していることから、あくまでもハードパップというモダンジャズの最高に美しいスタイルが爛熟寸前で楽しめるここでの音源は、ソニー・ロリンズのファンならずとも、全世界のジャズ者には絶好のプレゼントだと思います。
気になる音質もモノラルミックスながら良好で、実は音源そのものは昔っから出回っていたんですが、それはラジオ放送からエアチェックだったと推察も出来るほどの差異が感じられますので、この復刻CDは放送局に保存されていたマスターテープが用いられているのでしょう。
あぁ~、こんなに素晴らしい演奏を披露していたソニー・ロリンズが一時的にせよ、逼塞してしまうなんて、当時の天才は何を考えていたのか、凡人のサイケおやじには不可解極まるのでした。
01 I Remember You
02 I've Told Every Little Star
03 It Could Happen To You
04 Oleo
05 Will You Still Be Mine?
まず前半はソニー・ロリンズ(ts) が率いるトリオの演奏で、他にメンバーはヘンリー・グライムス(b) とピート・ラロッカ(ds) が脇を固めているんですが、皆様ご存じのとおり、当時のソニー・ロリンズはさらに自由な発想でアドリブ主体の演奏を志していたという目論みからすれば、ここで聴かれる5曲は何れもがソニー・ロリンズの天才性を堂々と証明するトラックばかりです。
もちろん、「自由な発想」と言っても、闇雲なフリージャズなんかに走る事は決してなく、ソニー・ロリンズならではのリズムの「外し」を用いたテーマメロディの柔軟な解釈や瞬間芸的に紡ぎ出されるアドリブフレーズの妙、さらには主題曲構造を決して逸脱せずにリスナーを仰天させるが如き、不意打ちの快感のような展開を堪能させてくれるあたりは、まさにモダンジャズの醍醐味を提供するソニー・ロリンズの存在証明でありましょう。
そして演目それぞれについては有名スタンダードが4曲と自身の代名詞的なオリジナル「Oleo」ということで、その詳細は省かせていただきますが、アップテンポでドライヴしながら独特の歌心を発散させる「I Remember You」、緩急自在な「I've Told Every Little Star」 、中盤まで無伴奏ソロで聞かせるスローな「It Could Happen To You 」、豪放にして軽妙洒脱なユーモア感覚も交えた「Will You Still Be Mine?」には、わかっちゃ~いるけどノセられてしまうツボがきっちり刺激されてしまいますし、悠々自適な「Oleo」こそは、ソニー・ロリンズが演じてこその輝きが否定出来ません。
また、共演のヘンリー・グライムスのベースワークも秀逸で、豪胆と繊細のコントラストが素晴らしく、同時にピート・ラロッカの叩き出すポリリズムっぽいドラミングのビートの芯をしっかりサポートする働きも侮れませんよ。
ちなみにジャズ史的には、この巡業直後にソニー・ロリンズは活動を縮小停止しての所謂「雲隠れ」という転換潜伏期に入り、1962年録音のLP「橋(RCA)」で第一線に復帰してからはフリージャズも視野に入れた賛否両論の演奏形態に変化変身していることから、あくまでもハードパップというモダンジャズの最高に美しいスタイルが爛熟寸前で楽しめるここでの音源は、ソニー・ロリンズのファンならずとも、全世界のジャズ者には絶好のプレゼントだと思います。
気になる音質もモノラルミックスながら良好で、実は音源そのものは昔っから出回っていたんですが、それはラジオ放送からエアチェックだったと推察も出来るほどの差異が感じられますので、この復刻CDは放送局に保存されていたマスターテープが用いられているのでしょう。
あぁ~、こんなに素晴らしい演奏を披露していたソニー・ロリンズが一時的にせよ、逼塞してしまうなんて、当時の天才は何を考えていたのか、凡人のサイケおやじには不可解極まるのでした。
☆Horace Silver Quintet
06 Nica's Dream
07 Cool Eyes
08 Shirl
09 Ecaroh
10 Senor Blues
さて、こちらのホレス・シルバー・クインテットの音源も同日に録音された演奏で、メンバーはホレス・シルバー(p) 以下、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、ジーン・テイラー(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という、今では夢の顔ぶれこそは、ホレス・シルバーが爆発的な人気を誇っていた時期の傑作LP「フィンガー・ポッピン(Blue Note)」レコーディング直後ということですから、ガッツ溢れる演奏はお約束、と書きたいところなんですが……。
ど~にも、こちらの期待が大き過ぎたのかイマイチ、熱気に欠ける印象が否めません。
実は、この前のソニー・ロリンズの演奏パートもそうだったんですが、放送用録音と云っても、決して公開セッションではなく、スタジオには観客が入っていないもんですから、そんな状況がマイナス方向へと作用していたとしたら、何かしら勿体無い気がするほどです。
また演目もホレス・シルバーの代表曲のひとつとして以前以降何度も録音され、常にライブの現場でもやっていたであろう「Nica's Dream」はともかくも、「Cool Eyes」「Senor Blues」、そしてリズム隊だけで演じられる「Shirl」の3曲は、1956年11月に全く別なフロント陣で録られたLP「6 ピーシズ・オブ・シルバー(Blue Note)」からのプログラムですし、「Ecaroh」にしても、1950年代初頭に作られ、リーダー自身がこれまた何度かレコーディングも残しているという、つまりは当時のステージでは、このあたりが定番だったという真相が失礼ながら、今日のリスナーには手慣れた印象を与えているのかもしれません。
しかし、それは同時に贅沢な戯言である事も確かであって、これほど安定したハードパップを現代で聴けるという僥倖は、そんなにあるもんじゃ~ないでしょう。
やっぱり、文句をタレるのはバチアタリってもんだと、痛切に反省している次第です。
06 Nica's Dream
07 Cool Eyes
08 Shirl
09 Ecaroh
10 Senor Blues
さて、こちらのホレス・シルバー・クインテットの音源も同日に録音された演奏で、メンバーはホレス・シルバー(p) 以下、ブルー・ミッチェル(tp)、ジュニア・クック(ts)、ジーン・テイラー(b)、ルイス・ヘイズ(ds) という、今では夢の顔ぶれこそは、ホレス・シルバーが爆発的な人気を誇っていた時期の傑作LP「フィンガー・ポッピン(Blue Note)」レコーディング直後ということですから、ガッツ溢れる演奏はお約束、と書きたいところなんですが……。
ど~にも、こちらの期待が大き過ぎたのかイマイチ、熱気に欠ける印象が否めません。
実は、この前のソニー・ロリンズの演奏パートもそうだったんですが、放送用録音と云っても、決して公開セッションではなく、スタジオには観客が入っていないもんですから、そんな状況がマイナス方向へと作用していたとしたら、何かしら勿体無い気がするほどです。
また演目もホレス・シルバーの代表曲のひとつとして以前以降何度も録音され、常にライブの現場でもやっていたであろう「Nica's Dream」はともかくも、「Cool Eyes」「Senor Blues」、そしてリズム隊だけで演じられる「Shirl」の3曲は、1956年11月に全く別なフロント陣で録られたLP「6 ピーシズ・オブ・シルバー(Blue Note)」からのプログラムですし、「Ecaroh」にしても、1950年代初頭に作られ、リーダー自身がこれまた何度かレコーディングも残しているという、つまりは当時のステージでは、このあたりが定番だったという真相が失礼ながら、今日のリスナーには手慣れた印象を与えているのかもしれません。
しかし、それは同時に贅沢な戯言である事も確かであって、これほど安定したハードパップを現代で聴けるという僥倖は、そんなにあるもんじゃ~ないでしょう。
やっぱり、文句をタレるのはバチアタリってもんだと、痛切に反省している次第です。
ということで、久々にガチンコで聴いたジャズは、やっぱり良いですねぇ~~♪
この勢いで、未開封のブツに手を伸ばしておりますので、追々にご紹介していきたいと思っています。
よろしくです。