■Good Love In San Diego 1974 FM Radio Broadcast / Johnny Winter (Iconography = CD)
近年は「Live Bootleg Series」とか、ジョニー・ウィンターもまた長いキャリアを有する人気者ならではのアーカイヴ商法でファンを一喜一憂させていますが、既に鬼籍に入られた事もあるんでしょうか、ますます様々な音源や映像が流通している現状には、それが故人の意思とは別なものであったとしても、サイケおやじは素直に感謝の気持ちで接するばかりです。
と、初っ端から神妙な態度で書き始めてしまった本日の拙稿は、しかしご紹介のCDを聴きながらという実情からしても、冷静さを保てるほどの余裕はありません。
なにしろジョニー・ウィンターの歌と演奏が、本当に熱いんですねぇ~~♪
それがCDに記載されたデータを信じるかぎり、1974年にサンディエゴで行われたライブ音源をメインに、ボーナストラックもサービスされた本日ご紹介のブツの凄さです。
01 Good Love
02 Bad Luck Situation
03 Stone County
04 Silver Train
05 Jumpin' Jack Flash
06 Johnny B. Goode
02 Bad Luck Situation
03 Stone County
04 Silver Train
05 Jumpin' Jack Flash
06 Johnny B. Goode
まず上記の6曲が件の1974年の演奏とされるもので、メンバーはジャケット等に記載はありませんが、ジョニー・ウィンター(vo,g)以下、フロイド・ラドフォード(g)、ランディ・ジョー・ホブス(b,vo)、リチャード・ヒューズ(ds) という当時のレギュラーバンドの顔ぶれだと思います。
つまり、説明不要ではありましょうが、当時のジョニー・ウィンターは諸事情から、それまで一緒に活動する事も多かった弟のエドガー・ウィンターや相方看板ギタリストのリック・デリンジャーと袂を分かち、自らが信ずるブルースやロケンロールへ独立独歩という姿勢を顕著にしていたとファンには思えた時期であり、それが1976年には「狂乱のライブ / Captured Live! (Columbia)」という爆発的なロックアルバムに結実する、まさにその過程のある日のステージが、ここに聴かれるというわけですからねぇ~~♪
とにかくド頭から「ジョニィ~ウィンタァ~~~!」というMCに導かれて始まるミディアムアップのブルースロック「Good Love」のグルーヴだけで、サイケおやじはシビレが止まりませんよっ!
実はこの音源はアナログ盤時代からブート化されていた優良人気ソースで、サイケおやじもカセットテープで所有し、聴き狂っていた前科があったんですが、そこでは些か団子状だったミックスが、このCDではきっちりステレオミックスに分離された聴き易さがあって、左チャンネルから真ん中寄りにジョニー・ウィンター、右チャンネルにフロイド・ラドフォードのギターがクッキリと聴き分けられるのも楽しいところでしょう。
う~ん、あらためて感じるのはジョニー・ウィンターのブチ切れは言わずもがな、フロイド・ラドフォードのサイドプレイの堅実な貢献があればこそのバンドコンビネーションは、流石はプロのバンドという纏まりです。
ご存じのとおり、フロイド・ラドフォードはエドガー・ウィンターのバンドから横流れ的に入ったと思われますし、例えば2曲目の「Bad Luck Situation」で弾いているギターソロも単調で面白味が無いというのが正直な感想ではありますが、あえてスタアの脇役という立場を貫くという姿勢もプロの証かもしれません。
逆に言えば、フロイド・ラドフォードに限らず、ランディ・ジョー・ホブスとリチャード・ヒューズにも、そうしたプロ根性が強く感じられ、だからこそジョニー・ウィンターのギターが天衣無縫に大暴れ出来ているんじゃ~ないでしょうか。
そう思えば続く明るいロック曲「Stone County」における、殊更後半で十八番の展開を披露するジョニー・ウィンターにも得心がいきますねぇ~♪
さて、実はこの音源には大きなウリがあり、それが「Silver Train」に「Jumpin' Jack Flash」という、ストーンズから直伝(?)のブルースロック&ロケンロールの狂乱大会で、鬼気迫るスライドとフィンガーピッキングの合わせ技をたっぷりと堪能させてくれる「Silver Train」は、なんとっ!
12分半近い大熱演ですから、特に中盤からドラムスだけをバックに弾きまくるジョニー・ウィンターの神業に身も心もグッと惹きつけられ、悶絶してしまいます♪♪~♪
うひぇ~~、こんなアップテンポで、これほどのウルトラ技が出せるなんて、恐ろしいですっ!
また、ボーカルのダーティな色気とでも申しましょうか、それもブルースやロックの本質のような気がしています。
その意味で、お待たせしましたっ!
狂乱するリスナーを煽る、例の「ロッケンロォ~~ル!」の掛け声一発で始まる「Jumpin' Jack Flash」も痛快至極で、バックを務める3人のロックグルーヴも申し分ありませんし、思わず一緒にお馴染みのリフを弾いてみたくなる衝動を抑えきれない皆様もいらっしゃるにちがいありません。
だって、サイケおやじが既にそ~ですからっ! 恥ずかしがっている場合じゃ~ありませんねぇ~♪
ですから、これまたジョニー・ウィンターのステージでは定番化していたR&Rの古典「Johnny B. Goode」が全力疾走しているのは当然が必然であり、あぁ~~、こんなライブステージに生で接していたリアルタイムの現場のお客さんが羨ましくてなりませぬっ!
そして既に述べたとおり、当時の録音として音質が良好ですから、現代のモニターミックス直みたいなブートに慣れているお若い皆様にも、これが「1970年代ロックの音」として楽しんでいただけると思います。
まあ、欲を言えば、おそらくは大会場だった所為もあるんでしょうが、観客からの拍手や声援がオフ気味なんで、ライブならではの臨場感が足りないという実態もあるんですが、まあいいか♪
さて、ここから記すのは、気になるボーナストラックについてなんですが、不覚にもサイケおやじは初めて聴く音源であり、だからこそ、このブツをゲットしたという真相も……。
07 Hey Joe
08 Mississipi Blues
09 Bony Moronie
08 Mississipi Blues
09 Bony Moronie
結論から述べれば、まずこの3曲には明らかにサイドギターが参加しておらず、録音された会場も小さいホールかライブハウスみたいな所という雰囲気が濃厚です。
しかもジョニー・ウィンターのギターやボーカルの音の響きが、この前に収録されている6曲と決定的にちがうんですよ。
また、ブルースハーモニカが入る演奏もありますから、もしかしたらジョン・パリス(b,hmc) &ボビー・トレロ(ds) と組んでいた1980年代以降のトリオ編成期の音源かもしれません。
しかし、このCDのサブタイトルにもあるとおり、こっちもFMラジオ放送用の音源と言われれば、そのとおりの聴き易さがありますので、モノラルに近いミックスではありますが、なかなか素直に楽しめますよ。
それはジミ・ヘンドリックスが十八番だったへヴィロックの古典「Hey Joe」の混濁した熱気、そこで緩急自在に呻きまくるギターの凄みは、ジミ・ヘンドリックスとは似て非なるというよりも、ジョニー・ウィンターの天才的なブルースロックの衝動と感性から弾き出されものだと思います。
その意味で尚更に黒人ブルースにどっぷりの「Mississipi Blues」は、ユルユルのギターにドロドロしたボーカルというジョニー・ウィンター流儀の弾き語りがシブい旨味に溢れておりまして、その場の観客共々にハートウォームな雰囲気の良さがたまりません♪♪~♪
前述した、おそらくはジョン・パリスかもしれないハーモニカも良い感じ♪♪~♪
あぁ、これが16分もやってくれるブルースロックの桃源郷でありますよっ!
そして告白すれば、サイケおやじは、こ~ゆ~スタイルのフィンガーピッキングによるブルースギターは出来ないので、本気で練習しようという意欲に駆り立てられてしまいます。
さらに演奏は後半からドラムスも入った展開となり、グッと重心の低いミディアムテンポのグルーヴが、これまたエレクトリックなブルースの素晴らしさを伝えてくれるんですから、このまんま昇天しても悔いは無いと思えるほどですねえ~♪
それでもオーラスの「Bony Moronie」で炸裂する熱血ロケンロールのラフな歌と演奏には、その「なげやり」な感じが如何にもの雰囲気で、すっかりお疲れの後には、もう一丁、打ち上げが楽しみぃ~~~♪
みたいな巡業続きの終わりなき日常が記録されているような気がして、憎めません。
ということで、ここにご紹介した音源は掲載したCD以外にもタイトルやジャケットデザインを変えた別業者からのブツも幾つか出回っているんですが、サイケおやじが、あえてこれをゲットしたのは皆様ご推察のとおり、多分レスポールで熱演中のジョニー・ウィンターのショットに惹かれたからに他なりません。
1970年代中頃からのジョニー・ウィンターは、例えば前述したアルバム「狂乱のライブ / Captured Live! (Columbia)」等々のジャケットにも写っているように、ファイヤー・バードが多かったように思いますのでねぇ~♪
まあ、それはそれとして、残暑厳しき日々も続きそうですが、ここはジョニー・ウィンターが全盛期の音源でも鳴らし、燃え盛るブルースロックの熱気に汗ダラダラの我慢大会の如く、逆の発想でスッキリしようではありませんかっ!