■こわれたピアノ / 中原めいこ (東芝)
夏向き歌謡を演じてくれたミュージシャンは数えきれない中にあって、殊更我が国のニューミュージックの世界では、1980年代にブレイクした中原めいこも、そのひとりでしょう。
とにかくラテンフュージョンと歌謡曲の巧みな折衷は、本人が所謂シンガーソングライターという自作自演の強みがあることは言わずもがな、木森敏之、新田一郎、新川博、椎名和夫、佐藤準、小林新吾といった気鋭のアレンジャーが参画していたことも忘れられません。
それはアップテンポの楽曲では弾けるリズムに炸裂するホーンセクション、ミディアムスローな歌やコーラスにおいては、ソフト&メロウな彩のコラボレーションとして結実し、だからこそ溌溂して、ジワジワと染み入ってくる彼女のボーカルが際立ったように思いますが、そ~した個性は大ヒットした「今夜だけDANCE・DANCE・DANCE」「君たちキウィ・パパイア・マンゴーだね」等々だけでも明白ですし、昭和61(1986)年に出した本日掲載のシングル盤には、その両方の魅力がたっぷりと♪♪~♪
もちろんA&B面は共に中原めいこの作詞作曲にアレンジャーとして小林新吾が関わった、これが如何にもバブル期らしい、と書けば贔屓の引き倒しかもしれませんが、殊更A面の「こわれたピアノ」はアップテンポでストレートにノレる「中原めいこ節」が全開ですよ♪♪~♪
またB面収録の「Destination」は、「さらりとした情の深さ」みたいなものを感じる、ど~にも気持ちが落ち着かなくなる歌唱がちょっぴりニクイわけでして……。
確かに両曲ともにマンネリ感は否定出来ませんし、ありきたりの良さは好き嫌いの対象に成り得るんですが、そこはジャケ写に登場しているアンニュイでセクシーな彼女のポートレートで許してしまうのが、サイケおやじの何時もながらの本音であります。
ちなみに彼女は公式デビュー前から歌謡スタアの巡業ステージやレコーディングの現場でコーラスをやっていたという下積みがあり、だからこそ、カラオケで素人が歌う時も簡単ではありませんが、それなりに歌い易い楽曲を作れたんじゃ~なかろうか?
ということで、最後は例によってサイケおやじの独断と偏見による妄想モードが全開してしまいましたが、お気楽にハンドルを握る真夏のドライブには、彼女のベスト盤CDを鳴らすのも一興かと思います。
良い意味で聞き流せるのも、夏向きソングの魅力のひとつなんでしょうねぇ~~♪