■ローリング・ラブ / クイーン・エンジェルス (CBSソニー)
このジャケ写からして、クイーン・エンジェルスは実力派ファンキー歌謡の人気者みたいな印象ですが、実は彼女達は立派な女子プロレスラーで、つまりクイーン・エンジェルスとは社会現象とも言える爆発的ブームを作りあげたビューティ・ペア=ジャッキー佐藤&マキ上田の後継タッグチームだったんですが……。
ご存じのとおり、件のビューティ・ペアが昭和54(1979)年2月に劇的解散した後、女子プロレスの人気は低迷したんですが、それでも根強いファンを惹きつけていたのが所謂軍団抗争であり、ビューティ・ペアの敵役だったブラック・ペア=池下ユミ&阿蘇しのぶを核として、ベビーフェイスのペアが幾つか登場し、中でもこのクイーン・エンジェルスはルックスとリズム感が抜群の人気コンビで、ジャケ写では右側がトミー青山、そして左側がルーシー加山♪♪~♪
もちろん、ここで「リズム感」と書いたのは、プロレスにおけるそれであり、例えばメキシコ仕込みと云われる空中殺法から立体的に試合を組み立てる構成は、それ無くしてはタッグチームとしてのコンビネーションが見せられないほどで、このあたりの魅力は同時期に登場したナンシー久美&ビクトリア富士美のゴールデン・ペア、あるいはちょっと後のラブリー・ペア=ミミ萩原&佐藤ちの、ヤング・ペア=ジャガー横田&塙せい子等々よりも、さらに女子プロレスならではの楽しさを満喫させてくれるものでした。
そして、その意味で、クイーン・エンジェルスは決して強豪チームではなく、殊更ルーシー加山のやられっぷりの良さは今も忘れられないというファンが大勢いるほどですから、本当にたまらない存在だったんですねぇ~~♪
もちろん彼女達はスタアでしたから、世界タッグのタイトルも奪った実績はあるんですが、それにしてもサイケおやじを含むファンが一番にシビレたのはセンスの良い水着の着こなしとか、試合前にリングで披露する歌でのアクションとか、そんなこんなを勘案して昭和54(1979)年に企画製作されたのが掲載したシングル盤A面曲「ローリング・ラブ」だったとすれば、作詞:石原信一&作編曲:あかのたちおが提供したのは、当時人気絶頂だったピンク・レディっぽいロッキンソウルなポップス歌謡なんですねぇ~~~♪
当然ながら、前述したプロレス的リズム感の良さが楽曲に活かされているのは言うまでもありません。
もう、ここだけで、その日の会場に足を運んだファンは熱狂していたわけですが、既に述べたとおり、試合では真っ黒な水着のブラック・ペアから徹底的に痛めつけられ、苦戦悶絶する彼女達の魅力は最高♪♪~♪
一般的な(?)プロレスであれば、最後の最後で一瞬の逆転フォールとか、瀕死の反則勝ちというパターンがクイーン・エンジェルスには適用されない事も度々だったんですが、だからこそトミー青山やルーシー加山が忘れられないという本音は拭い去れるものではありません。
ということで、女子プロレスラーが出したレコードは相当数あるんですが、やっぱり基本はアイドル歌謡ということで、レコードやラジオ等々で楽曲だけを聴くよりも、彼女の達の動くお姿に接してこその魅力や楽しみが増えるのは自然の摂理でありましょう。
中でも、このクイーン・エンジェルスは突出した存在であり、しかし実質的に残されたレコードは、これっきりなのが至極残念でなりませんっ!
音源復刻の状況も芳しくはない現在、出来ることならば、当時の全日本女子プロレスリングの試合会場で見せていた試合前の生ライブ映像を纏めて発売して欲しいものです。
もちろん、それはクイーン・エンジェルスだけじゃ~なく、ナンシー久美やミミ萩原という有名スタアレスラーの復刻企画との抱き合わせになる可能性が高いのかなぁ……? というような推測も易いところですが、一度でもクイーン・エンジェルスをご覧になれば、グッと惹きつけられる事は必定!
それこそが、女子プロレス永遠の魅力のひとつかと思っているのでした。