■恋の夜来香 / アイリーン (リプリーズ / ワーナーパイオニア)
掲載したのは、ジャケ写イメージから如何にもフェロモン歌謡の決定版!?
と思われがちですが、実は収録A面曲のタイトルからも皆様ご推察のとおり、山口 淑子が満州国の映画スタア・李香蘭として歌唱し、大ヒットさせた「夜来香」をソフトロックっぽくリメイクしたものですから、決して……、そっちを期待するとハズレます (^^;
もちろん、それはサイケおやじの苦い改悛の情と申しましょうか、当然ながらジャケ写スリーブに幻惑されての中古ゲットが真相だったんですが、ここでの主役たるアイリーンは昭和46(1971)頃から、それなりにテレビ出演もしていた歌手であり、その正体は香港の映画スタアにして、翌年に来日デビューするアグネク・チャンの実姉としての存在感が、今となっては有名かもしれません。
実際、アイドルとしてブレイクしたアグネス・チャンの現場マネージャー的な役割も担っていたらしく、サイケおやじにしても、確か……、何かの賞レースの舞台に姉妹揃って登場していた場面を記憶しているんですが、皆様はいかがでございましょう。
しかし、アイリーンの歌唱力も、なかなか侮れないものがあり、派手さはありませんが、安定感と微妙な音程外しが不思議な相性を聴かせてくれるあたりは、クセになる魅力かと思います (^^)
で、この「恋の夜来香」は作曲:黎錦光というクレジットは言わずもがな、中美千絵が綴った歌詞はオリジナルの味わいを用いつつも独自の世界であり、また既に述べたとおり、竹村次郎が施したアレンジは、これが発売された昭和46(1971)年6月の洋楽流行を巧みに取り入れたソフトロック調になっていますから、アイリーンの穏やかにしてキュートな声質とポップな節回しがジャストミートの仕上がりでしょうか (^^♪
そして、だからこそ、このジャケ写イメージとの差異が激しくて、ある意味じゃ~、「騙されモード」が好ましくも全開!?
まあ……、このあたりも、レコード蒐集の面白さであり、趣味の道の紆余曲折のひとつでもあると思うばかりで、決して憤慨するなんてこたぁ~、サイケおやじにはありませんでしたよ (^^ゞ
ということで、何かと物騒な世の中ではありますが、こ~ゆ~ソフトな懐メロ歌謡は、そんな時世だからこそ必要にされるんじゃ~ないでしょうか?
前述したとおり、これのオリジナルを歌っていたのが李香蘭=山口 淑子だったという歴史的事実に鑑みても、実感される様な気がしているのでした。