OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

コクと香りがソウルフル

2007-11-10 15:33:06 | Weblog

実家に戻っても、今夜はクダラナイ宴会に2つも顔を出さなきゃならない……。また心にも無いことを言って、作り笑いか……。

本音は、ひし美ゆり子様が出演された映画「真・女立喰師列伝」を観に行きたいのですよぉ~~。

ということで、本日は「濃い」ものが聴きたいと――

Back At The Chicken Shack / Jimmy Smith (Blue Note)

名盤「ミッドナイト・スペシャル」の姉妹盤ですから、悪いわけがなく、それでいて一層のコクと香りがたまらないアルバムです。

と、言っても、所謂「コテコテ」じゃなくて、あくまでも「コクと香り」というのが、私の感じるところなんですねぇ。このあたりは私の稚拙な筆では表現不可能……。額に汗が滲みます。

録音は前述した「ミッドナイト・スペシャル」と同じ、1960年4月25日で、メンバーもジミー・スミス(org)、スタンリー・タレンタイン(ts)、ケニー・バレル(g)、ドナルド・ベイリー(ds) とジャケットには記載されていますが、演奏そのものは曲によって編成が異なります――

A-1 Back At The Chicken Shack
 ジミー・スミスが書いたゴスペルファンキーなブルース♪ ドナルド・ベイリーの調子が良いドラムスを土台にゴキゲンなテーマメロディが出てきた瞬間から、気分はジンワリと高揚してしまいます。ケニー・バレルの軽い鼻歌っぽいバッキングも良いですねぇ~♪
 それはアドリブパートに入ってからも分かり易いフレーズとグルーヴィなノリを大切したジミー・スミス、何時もよりはずっと軽いフィーリングが逆に黒っぽいケニー・バレル、豊かな音量と魅惑の音色で咽び泣くスタンリー・タレンタインの好演と続きます。
 グリグリにグルーヴィなバンド全体のノリも最高ですねぇ~♪ しかも決して力んでいないところに凄みがあると感じます。緩やかなフェードアウトもOKです。
 
A-2 When I Grow Too Old To Dream / 夢見る頃を過ぎても
 まず、ミディアムの4ビートが、たまりません。
 思わせぶりにテーマメロディを吹奏するスタンリー・タレンタインも最高です。そしてジワジワと熱くなっていくアドリブパートのドロドロ感覚! グイグイと強くなっていく全体のビート! まさに魂の熱演だと思います。
 しかも愕いたことに、ここにはケニー・バレルが参加していませんから、伴奏の要はジミー・スミスの左手&足によるグルーヴィなウォーキング! そこにドナルド・ベイリーが絶妙のアクセントを入れていくという恐ろしさです。
 もちろんそれに煽られてソウルフルな歌心を全開させるスタンリー・タレンタインは、テナーサックスの音色の魅力も同時に堪能させてくれます♪ あぁ、これがジャズの醍醐味でしょうねぇ~~♪
 さらにジミー・スミスが両手両足を完全稼動させたアドリブパートの物凄さ! 当に間然することのない名演だと思います。

B-1 Minor Chant
 スタンリー・タレンタインが自分のリーダー盤でも演奏しているオリジナル曲ですが、演奏はこっちが初演です。あぁ、マイナー調のテーマメロディとグルーヴィなノリが最高の気持ち良さ♪
 実はここにもケニー・バレルが参加していないのですが、ジミー・スミスのオルガン伴奏が素晴らし過ぎますねぇ~♪ スタンリー・タレンタインもソウルフルにグイノリして、吹きながら楽しんでいる感じですから、聞いている私も歓喜悶絶!
 そしてグビグビ~と入ってグルーヴしまくるジミー・スミスのオルガンアドリブ! ヒェ~~と鳴りまくるところとか、とにかくジャズ&ソウルなオルガンの真髄が最高です。ドナルド・ベイリーのドラミングもセンス抜群!

B-2 Messy Bessie
 ジミー・スミスが書いたオトボケファンキーな名曲で、ここでもケニー・バレルの軽い存在感が良い味だと思います。そして力んで豪快なスタンリー・タレンタイン! このコントラストを一層煽っていくのがジミー・スミスとドナルド・ベイリーという、完璧なバンドスタイルが完成されています。
 う~ん、それにしてもケニー・バレルの何気なさ! ジミー・スミスの脂っこさ、スタンリー・タレンタインの豪放さ、そしてドナルド・ベイリーの空気の読み方は、絶妙なのでした。

ということで、発売順から言えば、このセッションの約2ヶ月後の吹き込みから作られたスタンリー・タレンタインの「ルックアウト」、そして「ミッドナイト・スペシャル」が続き、このアルバムはそれから3年近くお蔵入りしていた事情があります。

その間にはスタンリー・タレンタインがスタアに成長し、ジミー・スミスは「ミッドナイト・スペシャル」をベストセラーにした実績が残されましたから、この作品は待ってましたの登場だったと思われます。

しかし気になるケニー・バレルの不在曲については、原因不明なんですが、ちょいとギターの鳴りがイマイチなんで、もしかしたら機材のトラブルとかあったのかもしれません。

しかし皮肉なことに、それが結果オーライという雰囲気の名演まで生まれたのですから、如何に当時のメンバーが充実していたかという証が、凄いところでしょう。

とても美味しい珈琲の様な、味わい深く、それでいて安心感もあるアルバムだと思います。

コメント (2)
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バド・パウエルの唯我独尊

2007-11-09 16:42:48 | Weblog

今日は本当にポカポカと、雪国とは思えない穏やかな晴天でした。たぶん、これが最後の「晴れ」になるのでしょうか。けっこう朝夕は冷えてきて、雨になれば霙に変わる気がしています。

ということで、本日は――

Time Waits / The Amazing Bud Powell Vol.4 (Blue Note)

1950年代後半に残されたバド・パウエルの演奏は、特に好不調の波が大きく、中には聞いていて辛い作品もあるのですが、それでもブルーノートから発売された3枚のアルバムは人気盤になっています。

それはプロデュースの上手さというか、3枚それぞれが個性的な仕上がりになっているからでしょう。

例えば、このアルバムは共演者にサム・ジョーンズ(b) とフィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、当時バリバリの売れっ子が起用されています。

録音は1958年5月24 or 28日、つまり時期的にはモダンジャズの黄金期であり、もしかしたらビバップ総本家のバド・パウエルにハードバップをやらせようとした企画かもしれません――

A-1 Buster Rides Again
A-2 Sub City
A-3 Time Waits
A-4 Marmalade
B-1 Monopoly
B-2 John's Abbey
B-3 Dry Soul
B-4 Sub City
(Alternate Master)

――という演目は全てがバド・パウエルのオリジナルというのも、意気込みを感じます。

そして特に期待されるのが、フィリー・ジョー・ジョーンズが特有のクッションを活かしたハードバップのドラミングなんですが、しかし結論は、冴えていません!

というか、フィリー・ジョーがほとんど本領を発揮出来なかったと、私には聴こえました。煽る前にバド・パウエルが先にノリを決め、どんどんイってしまうんですねぇ……。フィリー・ジョーはもちろん、サム・ジョーンズさえも、ついていくのが、やっと……、という有様じゃないでしょうか……?

それは決して全盛期のような超アップテンポやウルトラスローの幻想世界ではありません。しかし……。まあ、このあたりの唯我独尊が、まさに天才の証明なのでしょうか……?

例えば、以降に十八番となる「John's Abbey」では、唸り声をあげて疾走するバド・パウエルにグイノリのサム・ジョーンズ、そこにブラシで斬り込んでいくフィリー・ジョー! しかし、あくまでもバド・パウエルが優先のノリなんですねぇ~♪

またラテンビートを入れた「Buster Rides Again」では、フィリー・ジョーもスティックで懸命のリズムを敲き出しているのですが、バド・パウエルの強烈な自己顕示に押され気味……。エキセントリックなさざ波のようなフレーズや不協和音ギリギリの展開が、この時期のバド・パウエルを良く表しているようです。

う~ん、フィリー・ジョー、どうしたんだぁ~~。

しかし「Marmalade」では、ようやく本領発揮というか、どうにか面目を保ったところでしょうか。もちろんバド・パウエルが凄すぎるのですがねぇ~♪ かなりアブナイ飛躍が、最高のスリルに繋がっていますし、サム・ジョーンズのベースソロとバックでビシバシとキメまくるフィリー・ジョーのブラシが、ハードバップしています。後半で展開される3者の絡みも良いですねぇ♪

そしてタイトル曲の「Time Waits」が、この時期ならではの哀切の……。鬱々とした曲想と自分を納得させようとするピアノタッチは、バド・パウエルだけに許されるものでしょう。聴いているうちに、どんよりと気分が落ち込んでいくのですが、それが心地良く感じられる私は……。

それはスロ~ブルースの「Dry Soul」も同質かもしれません。フィリー・ジョーがスティックで煽ろうとするのですが、バド・パウエルは納得せずに自己の世界に耽溺していきます。そして如何にもブルースというフレーズを大サービスし、不協和音を入れながら、ファンキーは拒否するという徹底ぶりが潔い! 流石だと思います。

ということで、もしアルフレッド・ライオンがハードバップのアルバムを作ろうとしたのならば、それは失敗……。というか、かえってバド・パウエルが唯一無二の世界を知らしめた成功作だと思います。

決して人気盤ではありませんが、やっぱりねぇ~♪

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ハードバップはボヘミアから

2007-11-08 17:47:39 | Weblog

今年も残りわずかになってきましたが、今年ほど大バカ者が登場した年も珍しいのではないでしょうか。

前総理大臣を筆頭に、政治家、食品関係者、建築業界、英会話学校、防衛産業&役人……。とても列記しきれないほどの呆れた状態でしたねぇ~。

これから、まだまだ出てくるのでしょうか? 

いや、これは自分の身を律する教訓とするべきなのでしょうねぇ。

ということで、本日は――

George Wallington Quintet At The Bohemia (Progressive / Prestige)

ジャズ史上有名なライブ盤ですが、オリジナルはウルトラ級の幻盤であり、そのオリジナル盤のジャケットを使って我国で再発されたプレスティッジ盤にしても、1974年頃には入手困難になっていました。

そこで私が買ったのは、掲載した米国プレスの再発盤で、もちろん擬似ステレオ仕様になっています。

しかし、これが良いんですねぇ~♪

擬似ステレオ特有のエコー感が、絶妙の残響音効果に繋がったみたいで、ライブ録音の雰囲気を高めていると感じます。しかもアメリカ盤特有のカッティングレベルの高さがありますから♪

肝心の内容は1940年代から頭角を表し、ビバップ時代には稀有の白人ピアニストとして認知されたジョージ・ウォーリントンが、ハードバップ勃興期にも大きな役割を果していたという記録です。

録音は1955年9月9日、ニューヨークのクラブ「カフェ・ボヘミア」でのライブ音源ですが、この店で録られたアルバムとしては一番有名なジャズメッセンジャーズのブルーノート盤の録音日が同年11月だったことを鑑みて、一足早いハードバップ誕生の証かもしれません。

メンバーはジョージ・ウォーリントン(p) 以下、ドナルド・バード(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds) という、当時バリバリの黒人若手精鋭達が集められています――

A-1 Johnny One Note
 原曲は映画音楽のスタンダードらしいのですが、それは後で知った事です。というのも、この演奏がメチャ、カッコ良い仕上がりですからねぇ~♪ 鋭角的なメロディ展開とスピードがついた緊張感が、たまりません。
 そのキモはドナルド・バードとジャッキー・マクリーンの絡みが強烈なテーマ、グリグリにドライブするベースとドラムの勢いです。
 もちろんアドリブパートも痛快で、ギスギスした音色とブツ切れフレーズが鋭いジャッキー・マクリーン、流麗なドナルド・バード、熱血なアートテイラーと快演が連続します。
 そして肝心のジョージ・ウォーリントンは落ち着いたセンスの良さを発揮して、若手の手綱を引き締め、無用な暴走はさせていませんし、自身のアドリブパートも溌剌として好感が持てます。

A-2 Sweet Blache
 滑らかなテーマメロディが印象的なジョージ・ウォーリントンのオリジナル曲で、これもスピード感のあるリズム隊が立派!
 ですからドナルド・バードがクリフォード・ブラウンのアドリブフレーズを大胆に使いまわして奮闘すれば、ジャッキー・マクリーンはアグレッシブなツッコミとタイミングの良いボケの独演が見事です。
 またジョージ・ウォーリントンの如何にも白人らしいフィーリングは物足りなくもありますが、ビンビンブリブリにウォーキングするポール・チェンバースが、見事にそれを補っているんですねぇ~♪ もちろん続けて入るアドリブも凄いと思います。

A-3 Minor March
 ジャッキー・マクリーンのオリジナル曲で、既にマイルス・デイビスとのセッションでも録音されていますが、それと比べても遜色が無いどころか、一層、若さ溢れる荒っぽい演奏になっていて、最高です。
 特に突っ込んだテーマの提示からアドリブに飛び込んでいくジャッキー・マクリーンが激烈! かなりエキセントリックなフレーズ展開を聞かせてくれます。続くドナルド・バードも必死の追走で素晴らしいですねぇ♪ ノリが弛みそうになると、すかさず強烈なアクセントを入れてくるアート・テイラーも流石です。
 そしてジョージ・ウォーリントンが珍しいほどの弾きまくり! リズム隊全体での勢いもありますから、ポール・チェンバースのアルコ弾きによるアドリブも結果オーライだと思います。
 ドラムスとの対決からラストテーマへの流れも、実に良い雰囲気で、観客からは大きな拍手喝采♪

B-1 Snakes
 ジャッキー・マクリーンが書いたとはいえ、元曲が「Get Happy」だと直ぐに分かってしまいます。しかし猛烈なスピードでの躍動感が、実に素晴らしい!
 まずジャッキー・マクリーンの豪快なツッコミが最高です。ギスギスした音色と破天荒寸前のビバップフレーズに正面から直撃されるんですねぇ~~~♪ まさにハードバップの真髄です。
 また気力充実のドナルド・バードが、これまた大熱演です。スピードがついたフレーズの連発を強烈に煽るリズム隊との相性も素晴らしいかぎり!
 さらにジョージ・ウォーリントンが、かなりエキセントリックなスタイルを披露しています。これはもちろんバド・パウエルの雰囲気に近いわけですが、リズム隊に物凄いドライブ感があるのですから、たまりません。そのまんま、アート・テイラーの激烈ドラムソロに雪崩込んでいくのでした。

B-2 Jay Mac's Crib
 一応はドナルド・バードの作曲となっておりますが、これはスタンダードとしてモダンジャズでも御馴染みの「朝日のごとくさわやかに」というのは、有名伝説♪
 ですから各人のアドリブパートも手慣れた雰囲気になるのですが、ポール・チェンバースのウォーキングベースが凄いと思います。また、ここでは問題児となったドナルド・バードが、汚名返上の味わい深いアドリブを聞かせてくれますよ♪
 
B-3 Bohemia After Dark
 オーラスは、この店のテーマとも言うべき、モダンジャズの傑作曲ですから、ここでも演奏に熱が入っています。あぁ、このグルーヴィな雰囲気は、あきらかにハードバップ特有のものでしょうねぇ。
 そしてアドリブパートでは、最初の部分で特徴的に展開されるトランペットとアルトサックスの単音フレーズによる掛け合いが、なかなか良いです。もちろん続く個人技の部分も歌心と緊張感が両立されています♪
 あぁ、それにしてもポール・チェンバースとアート・テイラーのコンビは、素晴らしい! まさに黒人でなければ出せないビートとネバリのリズム! 刺激的なアクセントの妙がありますから、ジョージ・ウォーリントンの些か淡白なピアノが、グッと引き立っていると感じます。
 演奏はこの後、ポール・チェンバースのグイノリのベースソロからラストテーマとなり、さらに「The Peak」という短いバンドテーマに移りますが、この雰囲気の良さ、ノリの強引さ、最後の唐突さが、全く名盤の条件ではないでしょうか。

ということで、勢いが素晴らしい演奏ばかりです。もちろん荒っぽさと強引さも同時にありますが、それがまた、気に入っています。

ちなみに1970年代後半には、我国のテイチクレコードから別テイク集のアルバムも発売されましたが、中身はそれほど違う印象ではありませんでした。

またオリジナル盤は、とても手が出ない異次元のブツなので、かなり後になって中古で日本プレスのモノラル盤を入手したのですが、なんとなくピンッときませんでした。音にキレがないというか……。

そして今日では、どうやらテイチクから出た別テイクまでも纏めたCDが出ているようです。買ってみたいなぁ~~。

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痛快なものしか聴きたくない!

2007-11-07 16:15:07 | Weblog

バカなリーダー、ダメな脚本、ヘタな芝居に気持ちの入っていない出演者という我国政界のテイタラク!

自分の不始末を恥じて自ら命を絶った某大臣さえ、潔く見えてくるから、困ったもんです。

同じ「無責任」でも、クレージーキャッツの映画は最高でしたよ。永田町の勉強会には上映してもらいたいと、熱望しています。

ということで、本日は痛快過ぎて、当たり前のアルバムを――

Whistle Stop / Kenny Dorham (Blue Note)

モダンジャズ創成期から活躍している黒人トランペッターのケニー・ドーハムは、所謂「イブシ銀」とか「ベテラン」とか称されていますが、実は何時だって攻めの姿勢を崩さなかった! と私は思っています。

しかし一番本領を発揮出来るのは、やっぱりハードバップのフォーマットでしょうねぇ。もちろん決して保守的という意味ではありません。

ガンガンに突っ込んだハードバップ!

それがこのアルバムです。

録音は1961年1月15日、メンバーはケニー・ドーハム(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、正統派の強力バンド――

A-1‘Philly’Twist
 ビバップ系のテーマながらフィリー・ジョーのドラミングを抜群のスパイスにした合奏、そしてスバリと斬り込んでいくケニー・ドーハムが鮮やかなブルースです。
 もちろんハンク・モブレーも絶好調で、独特のタメを活かしながら聞かせる流麗なフレーズ展開には、モブレーマニアが感涙の一時! 当然、全てのジャズファンを満足させるものです。
 さらにケニー・ドリューが飛んで弾ける大好演ですからねぇ~~♪ 続くポール・チェンバースのアドリブパートでも全く手を緩めないフィリー・ジョーが、流石のシンバル&ハイハットを聞かせてくれます。あぁ、クライマックスのドラムソロが短いなぁ……!
 当にタイトルに偽りなしのハードバップ大会! 聴いているうちに音量をドンドン上げてしまうのでした。

A-2 Buffalo
 抜群のイントロを作り出すリズム隊が、まず素晴らしすぎます♪ そして始るファンキーでグルーヴィなブルースのテーマメロディ♪ もうここだけで、気分は完全にハードバップなんですが、アドリブ先発のハンク・モブレーが必殺のフレーズとノリを存分に聞かせてくれますから、歓喜悶絶します!
 続くケニー・ドーハムも琴線に触れまくりの熱演で、トランペットの音色そのものに独特の魅力がありますし、キマり過ぎというアドリブフレーズが最高です。
 そしてケニー・ドリューが強引とも思えるゴスペル節! バックで煽りまくるフィリー・ジョー、グイノリのポール・チェンバースが恐いほどイカシているんですねぇ~~♪
 当たり前といえばそれまでなんですが、こんな演奏は、ちょっと再現不能だと思います。

A-3 Sunset
 一転してモード手法に拘ったミディアムテンポの名曲・名演です。テーマ部分はちょっと勿体ぶった雰囲気なんですが、アドリブパートに入ると直ぐに、グイノリのポール・チェンバースがバンドをリードしていくんですから、たまりません。
 ミュートで迫るケニー・ドーハムは、十八番の細かいフレーズの積み重ねが味わい深く、続くハンク・モブレーは相等に烈しく流麗なフレーズを吹きまくって、もう最高です♪ ちなみに時期的にはマイルス・デイビスのバンドに加入した頃ですから、こんな演奏を残していたら、さもありなんです。
 そしてケニー・ドリューの飛跳ね節も、たまりません。フレーズにもアウト気味のファンキー感覚がたっぷり♪ ポール・チェンバースとの呼吸もバッチリですねぇ~。

B-1 Whistle Stop
 ちょっと不穏な空気が漂うイントロから豪快なハードバップのテーマが始ります。テンションの高いリズム隊が、抜群に良いですねぇ~~♪
 そしてアドリブ先発のハンク・モブレーが唯我独尊の大熱演! フィリー・ジョーも必死の煽りなんですが、もはや、どうにもとまらない状態です。
 するとケニー・ドーハムまでもが全力疾走! トランペットの音色は、あの「イブシ銀」なんですが、フレーズが若々しいです。もちろんフィリー・ジョーは、ここでも独特のクッションを使って大暴れ♪
 さらにケニー・ドリューの登場を経て、演奏はフィリー・ジョーがキメまくるクライマックスへ突入し、抜群にカッコ良いラストテーマまで、完全に熱くさせられる名演だと思います。

B-2 Sunrise In Mexico
 ラテンビートを使ったモード系の演奏なんですが、テーマメロディに独特の哀愁が滲んでいますから、執拗にアグレッシブなリズム隊の独走にも納得の名曲です。
 もちろんそれはアドリブパートなると、グイノリの4ビートに変化しますので、ケニー・ドーハムにとっては、薬籠中の展開! ハンク・モブレーもタメとモタレのモブレー節を全開させます。う~ん、このあたりは同じ事をやっていながら、明らかにマイルス・デイビスのバンドに居る時よりも、イキイキとしています。
 気になるリズム隊ではポール・チェンバースが抜群の存在感を示し、フィリー・ジョーも小技に意気地を感じさせてくれるのでした。

B-3 Windmill
 これまた最高にカッコ良いハードバップです。アップテンポで炸裂するフィリー・ジョーの4ビートが痛快ですねぇ~~♪
 ケニー・ドーハムの淀みないアドリブには良い意味での必死さがありますし、ハンク・モブレーは、これぞっ! という真髄を聞かせてくれます。
 そしてケニー・ドリュー! 弾けまくったファンキーピアノは、当に絶頂期の証でしょうねぇ~♪ ポール・チェンバースのアルコ弾きも、この雰囲気の中では、これしか無い! おまけにフィリー・ジョーが本領発揮のドラムソロ!
 こう、来てしまったら、後はハードバッブ天国に直行するしかありませんですねっ♪

B-4 Dorham's Epitaph
 オーラスは、なんとも意味深なタイトルの曲ですが、烈しいハードバップが続いた後ですから、ジンワリと心が温まる演奏になっています。
 ほとんどテーマメロディだけの短さが、逆に良いですねぇ~♪
 全体をリードするケニー・ドーハムは泣いていますし、バンドのアンサンブルも素晴らしいと思います。

ということで、これもあんまり有名ではないアルバムですが、内容はハードバップの超一級品! とにかく全員が絶好調なんですねぇ~~~♪

ただし、それが当たり前に聞こえてしまうのが、欠点でしょうか……。若干、分離が良くない録音も気になります。尤もそれは、私有しているモノラルバージョンでの話で、このあたりはステレオバージョンでは解消されているかもしれません。もちろんCDでも、ですね。持っていませんが……。

と、まあ、無責任の事も書いてしまいましたが、真実、これは聴かずに死ねるかの1枚だと思います。

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たまには持ち替えも♪

2007-11-06 17:12:00 | Weblog

なんだか我国の為政者は、ロクな筋書きが書けませんね……。現在のドタバタだって、台本があるんでしょうが、マスコミだって分かっていて猿芝居を止めないというテイタラクが情けない!

自分に言い聞かせる言い訳ほど、惨めなものもないでしょう。

国民をバカにする権力者は、潔く去ってもらいたいと思う他なし!

ということで、本日は怒りを収めるアルパムを――

Bud Shank Plays Tenor (Pacific Jazz)

バド・シャンクは西海岸派を代表するアルトサックス奏者ですが、その持ち味はアート・ペッパーのような鋭さよりも、むしろサラリとして爽快な魅力かと思います。

そういうバド・シャンクがタイトルどおり、テナーサックスだけを吹きまくって丸ごと1枚作ったのが、このアルバムです。

録音は1957年11月27日、メンバーはバド・シャンク(ts) 以下、クロード・ウィリアムソン(p)、ドン・プレル(b)、チャック・フローレンス(ds) という当時のレギュラーバンド♪ 本当に気心の知れたリズム隊と組んだワンホーン盤で、演目も全てが有名スタンダードいう、嬉しい選曲です――

A-1 Thou Swell
 自らのテナーサックスで作り出す魅惑のイントロから快適なテーマ吹奏に入っていくあたりで、グッときます。失礼ながら、幾分、ドタバタしたリズム隊も、ここでは良い方向に作用しているようですねぇ。
 そしてアドリブパートでは、バド・シャンクが持ち前の分かり易くて爽快な歌心を披露していますが、やはりアルトサックスに比べるとキレがイマイチ……。
 ただし、そうしたモタレが案外とクセになったりします。
 また個人的には大好きなクロード・ウィリアムソンが、ちょっと不調ながらも実力の片鱗を聞かせてくれますし、チャック・フローレンスのドタンバタンのバスドラが、けっこう良い味だと思います。まあ、このあたりは十人十色でしょうか。

A-2 Tenderly
 だいたいはスローテンポが多い曲なんですが、ここではスインギーな演奏に仕立てながら、バンド全体で大らかなノリを聞かせてくれます。そして、なんといってもクロード・ウィリアムソンが伴奏にアドリブに、素晴らしいですねぇ~♪
 肝心のバド・シャンクは相変わらずモタツキながらも、随所にテナーサッスならではの音色の魅力や白人系の流麗なフレーズを積み重ね、「歌」の魅力を感じさせていくのでした。

A-3 Over The Rainbow
 スローテンポの演奏で、有名なメロディをかなり崩して吹奏するバド・シャンクが良い感じ♪ フワフワな音色とフレーズの妙が、たまりません。
 似たようなアプローチではスタン・ゲッツに近い感じもしますが、ゲッツのような飛躍的なイマジネーションの発露よりは、むしろ分かり易いメロディフェイクが大きな魅力です。
 クロード・ウィリアムソンのピアノも美し過ぎ♪ あぁ、やっぱり良いです。

A-4 Long Go And Far Away
 急速テンポの演奏で、爽快にテーマを吹きまくるバド・シャンクが本領発揮! もちろんアドリブパートも流麗で痛快なフレーズの連続です。
 リズム隊も凄いノリで、クロード・ウィリアムソンは一瞬ですが、ホレス・シルバー状態にまでイっています♪ チャック・フローレンスのドラミングもカッコイイ! 終盤は、この人のための演奏になっていますよ。

B-1 I Never Knew
 B面ド頭も急速アップテンポの演奏で、バンド全体の勢いが、まず素晴らしいと思います。バド・シャンクも臆することなく、ドライブ感満点のテナーサックスを吹きまくっていますが、やはりアルトサックスに比べるとモタツキは否めません。
 しかしそこを補っているのが、独特の軽さがあるフレーズの積み重ねでしょうか、リズム隊の上手い煽りと呼吸も合って、なかなかの好演だと思います。
 チャック・フローレンスのクセの強いドラミングは賛否両論でしょうか……。

B-2 All The Things You Are
 これもアップテンポの演奏ながら、余裕を感じさせるテーマの吹奏からアドリブに入っていくバド・シャンクの手慣れたところが、流石というか、マンネリというか……。
 しかしバンド全体のノリは、なかなかにグルーヴィ♪ クライマックスではチャック・フローレンスのドラムスと一騎打ちを演じるバド・シャンク! このあたりはハードバップを超越したジョン・コルトレーン&エルビン・ジョーンズと同質のジャズ魂を感じてしまうのでした。
 如何にもというラストテーマの変奏も、ジャズっぽいです。

B-3 Body And Soul
 スカスカした、白人系テナーサックスならでは音色の魅力を活かした、バド・シャンクが渾身のバラード演奏です。強いアクセントをつけたリズム隊の存在感も、特にクロード・ウィリアムソンの繊細な表現は最高だと思います。
 しかし、まあ、それゆえに物足りないところも……。

B-4 Blue Lou
 無伴奏でシンプルにテーマを吹くバド・シャンク♪ そしてベース、ドラムス、ピアノと徐々に入ってくる伴奏の妙♪ 演奏はいつしか快適なスイングテンポになって、バド・シャンクは魅惑のフレーズを連発していきます。
 ただし中盤に感じられる若干の弛み残念……。
 しかしリズム隊の強いビート感と爽快なグルーヴは流石!

ということで、ハードバップ愛好者には明らかに物足りない演奏かもしれませんが、所謂レスター派の中毒を患っているのならば、これは宝物の1枚でしょう。

まあ、本音を言えば、この企画でアルトサックスを吹きまくってくれた方が良いと思えるのですが、それは流石にマンネリということなんでしょうねぇ。

しかしそうしたマンネリズムこそ、ジャズ者が求める至福じゃなかろうかと……。

些か贔屓の引き倒しになってしまいましたが、決して悪いアルバムではありません。個人的には「Over The Rainbow」と「Long Go And Far Away」に惹かれています。

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盟友の訃報……

2007-11-05 15:21:02 | Weblog

友人、知人の死は、いつだって悲しい……。

本日もひとりの盟友の訃報に接しました。

豊乳in My Life」というサイトを運営されている浩様が、今月3日早暁に永眠されたのです。

故人とは、もちろんネット上だけの付き合いですから、一面識もありません。しかし「豊乳in My Life」で繰り広げられる愛情に満ちたエッセイや薀蓄には、とても共感をおぼえ、拙サイト「サイケおやじ館」とは相互リンクしておりました。

そして3年ほど前からは、自分が癌であることをサイト上で告白し、病と闘いながら、それでも尚一層、豊乳への深い想いと自らの人生を重ね合わせた生き様を知らしめてくれたのです。

常に前向きっていうか、頑張りはしないけど、極めて自然体な……。

このあたりはエッセイを纏めた「巨乳な日々」を、ぜひとも読んでいただきたいです。特に「Part22」以降は、涙無くして読めません。

ちなみに「豊乳in My Life」の今後の運営については全くの未定だとか……。ですから、皆様は直ぐにでも訪れて、故人の素敵な想いに触れていただきとうございます。

趣味に生きる人生って、素晴らしい!

これを教えてくれた故人には、感謝したいです。

浩様、ありがとう!

そして本日は歌舞音曲を自粛し、衷心より故人の冥福を祈りたいと思います。

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ミルト・ジャクソンはアドリブ名人

2007-11-04 16:37:25 | Weblog

土日、たぶん、今年最後の休みになるだろうと思い、映画を観たり、ネタを仕入れたりしたした有意義な休日となりました。

それにしても1年とは早いものです。アインシュタイン博士の相対性理論からすれば、時間の流れよりも自分の行動が鈍くなって、そう感じるのでしょうか……?

ということで、本日は――

Ballads & Blues / Milt Jackson (Atlantic)

ミルト・ジャクソンは言わずと知れたアドリブの大名人! MJQ(Modern Jazz Quartet)での活躍は、もちろん素晴らしいですが、自身のリーダー盤も良いものばっかりで、これっ、というのを選ぶのに苦労するほどの苦笑いですよ。

で、本日の1枚はタイトルどおり、特にミルト・ジャクソンが本領を発揮するブルースと歌物バラードに拘った作品集♪ しかも異なる三種のグループによるセッションから纏められた丁寧な作りにも、好感が持てます。

まず最初のセッションは1956年1月17日の録音で、メンバーはミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、スキーター・ベスト(g)、オスカー・ペティフォード(b)、ケニー・クラーク(ds)、そしてラッキー・トンプソン(ts) というビバップ色が強い面々です(グループA)。

続く同年1月21日の録音はミルト・ジャクソン(vib) 以下、ジョン・ルイス(p)、バリー・ガルブレイス(g)、オスカー・ペティフォード(b)、ケニー・クラーク(ds) を中心に、フルートやオーボエ、クラリネット等々が加わった10人編成のバンドとなり、ラルフ・バーンズのアレンジがミソ(グループB)♪

そして最後の録音は同年2月14日、ミルト・ジャクソン(vib)、バニー・ケッセル(g)、パーシー・ヒース(b)、ローレンス・マラブルds)  という擬似MJQというか、メンバーからして西海岸でのセッションでしょうか(グループC)?

というように彩り豊かな演奏は――

A-1 So In Love (1956年1月21日録音 / グループB)
 木管を活かした柔らかなアレンジの中でミルト・ジャクソンの歌心が冴え渡った名演! 曲は美しいメロディが人気のスタンダードですが、それ以上の美メロが出るアドリブには陶然とさせられます。
 実はラルフ・バーンズのアレンジは香りが高くて、けっこう嫌味なところもあるんですが、ミルト・ジャクソンの落ち着いたヴァイブラフォンの響きが全てを満足させてくれるでしょう。
 ギターのバリー・ガルブレイスが使うコードワークにも、ハッとさせられます。

A-2 These Foolish Things (1956年2月14日録音 / グループC)
 これまた「泣き」が染み入る名曲・名演ですから、たまりません。バニー・ケッセルが作る素敵なイントロに導かれてミルト・ジャクソンがジンワリと奏でるテーマメロディの素晴らしさ! 本当に泣けてきます。
 落ち着いたスローなグルーヴを支えるローレンス・マラブルのブラシも流石ですねぇ~。決して派手な演奏ではないのですが、中盤からグッとビートを強くしていくところは、ジャズの醍醐味でしょう。ミルト・ジャクソンも縦横無尽にアドリブしています♪

A-3 Solitude (1956年1月21日録音 / グループB)
 デューク・エリントンが書いた有名なメロディですから、ミルト・ジャソンも歌心満点の本領発揮♪ ラルフ・バーンズの緻密なアレンジが邪魔になるほどジコチュウのアドリブ天国を現出させています。
 つまり、こういう演奏ほどシンプルなバンド編成が好ましいと思わざるをえません。するとジョン・ルイスが素敵な素描みたいなピアノでアドリブをやってくれるんですねぇ~~♪ 和みます。 

A-4 The Song Is Ended (1956年2月14日録音 / グループC)
 楽しいメロディを軽快な4ビートで演じ、ミルト・ジャクソンはもちろん素晴らしいのですが、バーニー・ケッセルが実に最高なギターを聞かせてくれます。ハズレそうで外れない、ゴマカシのようでごまかさない細かいフレーズと豪快なコード弾き! ちょっと真似出来ないと思います。
 するとミトル・ジャクソンが、ちょっと熱くなったようなアドリブを続け、そのまんまラストテーマに入っていくところが、憎めません♪ なんか最初よりテンポが速くなってしまったような!?

A-5 They Didn't Belivev Me (1956年1月21日録音 / グループB)
 これも軽快なテンポの演奏ですが、ラルフ・バーンズのアレンジが??? しかしミルト・ジャクソンが強烈な存在感を示しますし、アドリブ先発のジョン・ルイスが良い味出しまくり♪ 木管アレンジとの共存共栄が見事です。

B-1 How High The Moon (1956年1月17日録音 / グループA)
 勿体ぶったイントロから緩やかなテーマのアンサンブルが、なかなか絶妙な演奏です。もちろんそれはテンポアップして燃えるアドリブパートへの布石なんですねぇ。
 ちょっとミエミエの演出が??? とは言えリズム隊の要としてキメを連発するジョン・ルイス、堅実なビートを送り出すスキーター・ベストに支えられ、ミルト・ジャクソンとラッキー・トンプソンがグイノリのアドリブを聞かせてくれます。
 またオスカー・ペティフォードの凄いベースソロとケニー・クラークのブラシもジャズを聴く喜びかと思います。

B-2 Gerry's Blues (1956年2月14日録音 / グループC)
 ようやくブルースです♪
 バーニー・ケッセルとローレンス・マラブルが作る快適なイントロからミルト・ジャクソンのヴァイブラフォンが響いてくれば、もう辺りはブルースがいっぱい! お約束のフレーズを、これでもかと聞かせてくれるんですから、たまりません♪
 パーシー・ヒースが強烈な4ビートのウォーキングから粘っこいアドリブに入るところもハードバップの醍醐味ですし、バーニー・ケッセルの余裕のギター、ローレンス・マラブルの大技・小技も実に楽しいです。

B-3 Hello (1956年1月17日録音 / グループA)
 和みのイントロからミルト・ジャクソンとラッキー・トンプソンがシブイ会話を交わす夜のブルース♪ というかブルース歌謡曲でしょうねぇ♪ ちなみに作曲はミルト・ジャクソンです。
 ミディアムテンポのグルーヴィなビートも素晴らしく、ミルト・ジャクソンは力強く、そして優しくハードボイルドなアドリブを披露すれば、ラッキー・トンプソンはブカブカしながらも芯の強いテナーサックスを聞かせてくれます。
 短い演奏時間が残念……。

B-4 Bright Blues  (1956年1月17日録音 / グループA)
 オーラスもミルト・ジャクソンが書いた正統派ハードバップのブルース大会です。もちろんアドリブにも十八番のフレーズがテンコ盛り♪ ちょっとリズム隊が古臭い感じなんですが、ラッキー・トンプソンが登場すると、それがピタリとキマッていきますから、結果オーライでしょうか。
 そしてオスカー・ペティフォードの豪腕ベース、スキーター・ベストのギターソロが味わい深いく、さらにジョン・ルイスのピアノは音数を切詰めていますから、これはっ!?
 つまり、こんなん聴いていると昨日と同じく、カウント・ベイシーのスモールコンポでも取り出したくなる私なのでした。

ということで、A面は歌物、B面はブルースの雰囲気とうバラエティ盤です。あまりジャズ喫茶では鳴らないアルバムかもしれませんが、逆に言えば、それはお茶の間向けの証明かも……♪

実際、些かショボイ雰囲気の録音が、自宅の小音量鑑賞にはバッチリじゃないでしょうか? もちろん和みがいっぱいですからねっ♪

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マリガン臨編バンド

2007-11-03 15:50:43 | Weblog

昨夜は我国の権力者同士が、なにやら会談したらしいですが、素直になれない苦汁が滲む結果でしたね。決断出来ない人間に権力を与えると、ロクなことにはならないという教訓と感じています。

ということで、本日の私は素直にこれを聴きましたが――

Gerry Mulligan Presents A Concert In Jazz (Verve)

ジェリー・マリガンは天才的なバリトンサックス奏者ですが、最初に認められたのはアレンジャーとしての才能でしたから、そっち方面の活動も素晴らしいかぎり♪

特に1960年からヴァーブに吹き込まれた臨時編成オーケストラによる5枚のアルバムは、いずれも聞きどころの多い名作揃いです。

この作品は、その三番目に発売された傑作で、録音は1961年7月10日とされていますが、これはちょっと諸説あるようです。

そして気になるメンバーはジェリー・マリガン(bs,p,arr) 以下、ニック・トラビス(tp)、ドック・セベリンセン(tp)、ドン・フェララ(tp)、ボブ・ブルックマイヤー(v-tb)、ウィリー・デニス(tb)、アラン・ラフ(bass-tb)、ジーン・クイル(as,cl)、ボブ・ドノバン(as,fl)、ジミー・ライダー(ts)、ジーン・アレン(bs,bcl)、ビル・クロウ(b)、メル・ルイス(ds) という凄腕が集結しています――

A-1 All About Rosie
 現代音楽やモード手法を大胆に取り入れていた進歩的作編曲家=ジョージ・ラッセルの代表曲で、モダンジャズでは優れたバージョンが様々に残されていますが、このジェリー・マリガンの演奏も強烈です。
 それは一応、3部構成的なテーマ部分の複雑で爽快なアンサンブルの妙、オリジナルに秘められた煮え切らない神秘的なものを、真っ向勝負のジャズで解釈した痛快さです。
 パート毎に変化する演奏スピードとリズムパターンを潜り抜けて展開される集団即興演奏っぽいアドリブでは、ジェリー・マリガンが何時もの「節」とリズム感の素晴らしさを発揮! ボブ・ブルックマイヤーはモゴモゴと蠢き、対照的にスカッとしたトランペットや燃えまくるアルトサックス(ジーン・クイル?)に繋いでいきますが、やっぱりこの演奏はアンサンブルの凄さに酔い痴れるのが、最高♪
 ビシッと終わる最終パートの潔さ!

A-2 Weep
 グルーヴィなリズム隊が縁の下の力持ち! という快適な演奏ですが、素材曲は近年のソフトロックブームで俄に再評価されたゲイリー・マクファーランドが書いた汎用度の高い名曲です。
 縦横無尽のアドリブを聞かせてくれるジェリー・マリガンはもちろん最高ですが、彩り豊かでシャープなバックのアンサンブルが、すこぶる気持ち良いです。
 またボブ・ブルックマイヤーとドン・フェララの無機質気味のアドリブも「味」の世界かと思いますが……。

B-1 I Know, Don't Know How
 B面に入ると、今度は一転して親しみやすい演奏が続きます。
 これはジェリー・マリガンが書いた優しいメロディラインが魅力の隠れ名曲♪ ソフトなバリトンにリードされた調子の良いアンサンブルと弾むようなリズム隊のコンビネーションが楽し過ぎます。
 あぁ、ジェリー・マリガンのアドリブは「歌」の宝庫ですよっ♪ 聴くほどに虜です。続くボブ・ブルックマイヤーはオトボケもほどほどにモダンディキシーの世界に入っていくのでした。
 ちなみに私はドライヴ用のソフトには必ず入れる演奏♪ 楽しいですっ!

B-2 Chuggin'
 これまたゲイリー・マクファーランドが書いた名曲で、ちょっとデューク・エリントンを意識したような作風とアレンジには、思わずニヤリとさせられます。
 そこにはクラリネットが上手く使われたディキシー調の部分、あるいはゴッタ煮のようなアンサンブルが表出して、味わい深い仕上がりです。

B-3 Summer's Over
 ジェリー・マリガンが書いた幽玄なスロー曲で、バンドアンサンブルも柔らかいのですが、全体にメリハリが効いていますから、眠くなりません。
 またアドリブパートはジェリー・マリガンの独り舞台とはいえ、バックのアンサンブルとの兼ね合いも素晴らしいと思います。

B-4 Israel
 ビル・エバンスの十八番としても有名なモード系の曲ながら、ここでの溌剌とした演奏にはモダンジャズの醍醐味がいっぱい! 特に格調高いアンサンブルからブリブリ~と飛び出していくジェリー・マリガンのアドリブが圧巻です。

ということで、ちょっと取っ付き難い演奏集かもしれませんが、凝ったアレンジを完璧にこなしていくバンドの凄さ、痛快さは存分に楽しめます。

しかしアドリブパートとの兼ね合いには出来すぎの部分さえあって、それが嫌味に感じられるかもしれません。そしてこういうのを聞いていると、無性にカウント・ベイシー楽団が聴きたくなる私なのでした……。

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プレ新主流派!?

2007-11-02 17:03:29 | Weblog

昨夜の日本シリーズ、中日・落合監督の采配が賛否両論ですが、勝負師はどっちにしろ、結果論で何か言われる運命でしょう。

自分が落合監督の立場だったら、果たして……。

やっぱり凄い人なんですねぇ、落合監督は! そう思います。

ということで、本日は――

Royal Flush / Donald Byrd (Blue Note)

1960年代のジャズを引っ張った新進気鋭の若手を称して「新主流派」という中には、ウェイン・ショーター(ts)、フレディ・ハバード(tp)、トニー・ウィリアムス(ds)、チック・コリア(p)、ハービー・ハンコック(p) ……等々が特に注目すべきリーダー盤を作っていました。

その土台はモード手法であり、ルーツはマイルス・デイビスの「カインド・オブ・ブルー(Columbia)」なんでしょうが、それを継いでいたのは前述のような若手ばかりで無いようです。

例えばハードバップの代表的なトランペッターであるドナルド・バード! 1950年代から常に新機軸を求め続けた活動は、もっと高く評価されても良いはずなんですが……。

このアルバムもそうした中の1枚でしょう。録音は1961年9月21日、メンバーはドナルド・バード(tp)、ペッパー・アダムス(bs)、ハービー・ハンコック(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンズ(ds) となっていますが、このリズム隊がクセモノです。

ちょっと前までドナルド・バードの懐刀だったデューク・ピアソンと別れ、当時の新鋭だったハービー・ハンコックが入り、ドラマーにはオーネット・コールマン(as) の盟友だったビリー・ヒギンズ! さらに独特の生硬なウネリが持ち味のブッチ・ウォーレンが居るのですから、タダでは済みません――

A-1 Hush
 ドナルド・バードが書いた死ぬほどカッコ良いファンキー・ハードバップ曲で、実はこのセッションの数ヶ月後にはデューク・ピアソンのバージョンも残されるのですが、それに比べると奥深い表現になっているのが意味深でしょうか。
 もちろんゴスペル味もたっぷりなんですが、ドナルド・バードのアドリブにはクールな表現が目立ちます。伴奏するハービー・ハンコックのコードワークも、どこかしら新鮮な響きがっ!
 するとペッパー・アダムスのバリトンが豪放に炸裂して、と書きたいところなんですが、実際はじっくり構えて強引なブローは抑えているようです。う~ん、このあたりは、ちょっと物足りない……。
 しかしハービー・ハンコックのピアノが実に良いです。もちろんゴリゴリよりは軽妙な味わいすら感じられるノリなんですが、明らかに既成のゴスペルファンキーから脱却した雰囲気が♪ このあたりは前述したデューク・ピアソンのバージョンと比較すると、かなり鮮明かと思います。

A-2 I'm A Fool To Want You
 フランク・シナトラで有名な「泣き」の歌物バラードを、なんとドナルド・バードは超スローテンポでジックリと歌いあげます。それはもう、ほとんどテーマメロディしか吹いていないんですねぇ~、それで6分近く、演じるのですから!
 そこには伴奏するハービー・ハンコックの多彩なピアノが、しっかりと寄添っています。あぁ、これが秘密の味付けだったのかっ!? それだけ聴いていても素晴らしいです。
 余計な手出しをせずに美しい流れを引き立てるベースとドラムスも良い感じ♪

A-3 Jorgie's
 ちょっと不穏なムードのリズム隊の動き、そしてイントロが強烈な印象ですが、ドナルド・バードとペッパー・アダムスが吹奏するテーマメロディが出ると、辺りは穏やかな安らぎに包まれます。
 あっ、これはっ! 後にハービー・ハンコックが吹き込む「A Tribute To Someone」の原型か!? ちなみにその曲は「マイ・ポイント・オブ・ビュー(Blue Note)」に収録されています。
 で、ここでのドナルド・バードは柔らかな好演です。しかし続くペッパー・アダムスが本領発揮のゴリゴリ垂れ流し! 否、これは決して悪いわけではなく、これが出ないとペッパー・アダムスのバリトンサックスとは言えません。
 そしてハービー・ハンコックが素晴らしいです♪ リズム隊としての纏まりも最高ですし、ここにマイルス・デイビスが出てきても違和感が無い雰囲気だと思います。

B-1 Shangri-la
 ハービー・ハンコックの思わせぶりなイントロから一転、強烈な刺激がたまらないハードバップが始ります。しかし、とは言っても、これはモード手法が大きく入った演奏で、テンションの高いビリー・ヒギンズのドラミングを中心としたリズム隊の高揚感が、確実にドナルド・バードを煽って止みません。
 もちろんドナルド・バードもリーダーとしての意地を発揮していますし、ペッパー・アダムスがゴリゴリに押しの強いバリトンでリズム隊を蹴散らしにかかります! あぁ、これがジャズの楽しさでしょうねぇ~~~♪
 ハービー・ハンコックは、そんな修羅場を楽しんでいるかのようなムードの急変を試み、やはり思い直したようなファンキー節を弾きまくり♪ ドラムスとベースの柔軟な対応も素晴らしいかぎりですから、グッときます。熱くなりますねぇ~~~♪ ビリー・ヒギンズ万歳です!

B-2 6m's
 おぉ、これはマイルス・デイビスの「All Blues」じゃないかっ!? 同じベースのリフとリズムパターンを拝借したモロに盗作≒倒錯した演奏が心地良いです。
 ミディアムテンポでクールの構えたドナルド・バードにも開き直った良さがありますし、煮え切らないペッパー・アダムスはリズム隊の煽りを直撃されて迷い道……。しかし、それがまた、美しき流れになっていると感じます。
 もちろんハービー・ハンコックは俺に任せろ! けっしてモードに耽溺せずにブルースの本質を追及せんとする姿勢は潔いばかりです。

B-3 Requiem
 そのハービー・ハンコックが書いた隠れ名曲♪ かなりゴスペル味も強いのですが、テンションの高いメロディ展開と衝撃的なリフの使い方が秀逸です。
 仕掛けが多いリズム隊の動きも素晴らしく、それがアドリブパートでは痛快な4ビートに転じていくところは最高です。
 そうした曲想を真摯にとらえたドナルド・バードは流麗なアドリブを展開していますし、ペッパー・アダムスは力むところは思いっきり! という姿勢に好感が持てます。
 そしてハービー・ハンコックが、やっぱり良い! もう完全に自分の個性と「節」を完成させていると思います。

ということで、これはブルーノート的元祖「新主流派」というか、ルーツ・オブ・新主流派の1枚かと思います。それはドナルド・バードの意欲的な姿勢もさることながら、ハービー・ハンコックの鮮烈な存在感とビリー・ヒギンズのテンションの高いドラミング!

もう、これさえあれば、後の「ブルーノート」は任せたぞっ!

ちなみに当時のドナルド・バードは新鋭のハービー・ハンコックを発見してバンドに入れたことが嬉しくてたまらず、マイルス・デイビスに自慢していたらしいですが、まさか2年後にハービー・ハンコックを引き抜かれるとは、神様だけが知っている、というよりも、マイルス・デイビスの策謀!?

まあ、それはそれとして、味わい深い傑作アルバムだと思います。もちろん冒頭に記した新主流派の面々が、この作品中の曲を演奏しても、全然OKでしょう。聴いてみたいですねぇ~。

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ハードバップのチェット・ベイカー

2007-11-01 17:03:21 | Weblog

ガソリン、高くなりましたですね。地方で生活していると車は必需品ですから、受け容れる他はないのですが……。

ということで、本日は――

Chet Baker In New York (Riverside)

1950年代で一番大衆受けしていたジャズメンは、多分チェット・ベイカーでしょう。カッコ良いルックスに西海岸派特有のスマートな演奏、そしてアンニュイなボーカル♪

トランペッターとしても、マイルス・デイビスより人気があったと言われています。

さて、このアルバムは人気絶頂時にタイトルどおり、ニューヨークで吹き込まれた1枚で、録音は1958年9月、チェット・ベイカー(tp)、ジョニー・グリフィン(ts)、アル・ヘイグ(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds) という、興味津々のメンバーが集いましたが、ジョニー・グリフィンの参加は3曲だけです。また憂愁の白人ピアニストとしてマニアにはたまらないアル・ヘイグの参加も、味わい深いところでしょう――

A-1 Fair Weather (Quintet)
 ベニー・ゴルソンが書いた人気のソフトバップ曲で、同時期にはアート・ファーマーが「モダン・アート(United Artists)」という名作アルバムに残した演奏が有名ですが、このバージョンも捨てがたい味わいです。
 まず不穏な空気のようなイントロが素晴らしく効果的! 続けて演奏される素敵なテーマメロディが一層、引き立っています。力強いビートを作り出すリズム隊も、最高ですねぇ♪
 アドリブ先発のチェット・ベイカーは、もちろん歌心の塊ですが、何となく力みも感じられます。すると続けて出るのがポール・チェンバースのベースソロ! この意表をついた仕掛けにはゾクゾクしますし、バックには的確なコードワークのアル・ヘイグとヴィヴィッドなフィリー・ジョーのシンバルが気持ち良い限りです。
 そして、お待ちかねのジョニー・グリフィンが熱血のブロー! バランスの崩れもお構いなしのジコチュウなんですが、やっぱりグッときます。
 さらにアル・ヘイグの柔らかなピアノの後には、この曲の最高の場面である魅惑のセカンドテーマが出てきますから、私のような者は涙そうそう♪ 全体的にアート・ファーマーのバージョンよりもゴリゴリした雰囲気が、憎めない仕上がりだと思います。

A-2 Polka Dots And Moonbeams (Quartet)
 チェット・ベイカーのワンホーンで演奏される、これも魅惑のメロディというスタンダード曲です。まずアル・ヘイグが作るイントロが良いですねぇ~♪ もちろん伴奏のコードワークとアドリブも素晴らしいと思います。
 そしてチェット・ベイカーが、ちょっとハスキーな音色で吹奏してくれるテーマの甘さ、せつなさは絶品♪ ポール・チェンバースの控えめな絡みも結果オーライだと思います。
 さらにアドリブパートでは、力強いフレーズも出るんですが、やはり滲み出る儚さがジンワリと胸に迫ってくるのでした。

A-3 Hotel 49 (Quintet)
 如何にも全盛期というハードバップの雰囲気が存分に楽しめる名曲です。アップテンポで真っ黒なテーマメロディの合奏、さらに燃え上がるジョー・グリフィンのアドリブには大満足! ブレイクから炸裂するフィリー・ジョーが独特のクッションを効かせたバスドラとシンバルのコンビネーションにも心底、シビレます♪
 そしてアル・ヘイグのピアノが顔で笑って、心で泣いて……♪ ちょっと迷い道もありますが、それすらも企図されたものかと納得してしまいます。
 肝心のチェット・ベイカーも十八番のフレーズを出しまくったアドリブで熱演していますが、ちょっと押され気味……。ポール・チェンバースとフィリー・ジョーのコンビが凄すぎるのかもしれません。特にフィリー・ジョーはドラムソロでも大暴れです。

B-1 Solar (Quartet)
 マイルス・デイビスのクールなオリジナル曲ですから、チェット・ベイカーの演奏となれば興味深々! リズムパターンは、これもマイルス・デイビスが当りを取った「Dear Old Stockholm」からの引用まで使います。
 しかし全く自己のペースで歌心満点のトランペットを鳴らすチェット・ベイカーは流石です。アル・ヘイグも力まない好演ですし、それが物足りなくもありますが、フィリー・ジョーのブラシとポール・チェンバースのブンブンベースが良い感じ♪
 最終パートのドラムス対トランペットも、上手く纏まっています。

B-2 Blue Thoughts (Quintet)
 これまたベニー・ゴルソンが書いた哀愁のメロディがたまらない、イカシたハードバッブになっています。ミディアムテンポで例の「ゴルソンハーモニー」が使われているんですねぇ~。ジョニー・グリフィンの意外な器用さに驚かされます。
 チェット・ペイカーの演奏も素晴らしく、思わせぶりと歌心のバランスが秀逸です♪ ちょっと聴くと地味な感じなんですが、味わい深いです。
 またアル・ヘイグが本領発揮の仄かな煌き♪ 煮え切らなさを逆手に取った名演ではないでしょうか。続くジョニー・グリフィンもテナーサックスの音色の魅力を存分に活かした吹奏で、飽きません。
 
B-3 When Lights Are Low (Quartet)
 これもマイルス・デイビスが十八番にしているスタンダードの歌物曲で、このセッションを支えたポール・チェンバースとフィリー・ジョーが参加のバージョンも残されていますから、これは大いに気になる演奏です。
 そして結論から言うと、チェット・ベイカーの歌心が独特の上手さ発揮した名演だと思います。ただし正直言えば、ちょっと不安定で、決して凄いアドリブではありません。あくまでも「味」の世界でしょう。それがグルーヴィなリズム隊によって活かされている感じです。
 そのあたりは私のような素人が云々しても不遜になるばかりですが、そういうマイナス面すらも魅力になっているのが、このアルバムの良さではないでしょうか……。

ということで、ご承知の通り、チェット・ベイカーは当時から悪いクスリに中毒状態……。このセッションでも、ちょいとそうした弊害が感じられますが、それはフィリー・ジョーやポール・チェンバースあたりも同様でしたから、そういうジャンキーの仲間意識が良い方向作用した、と書いたら問題でしょうか?

チェット・ベイカーはこのセッションの後、ほどなく渡欧して孤高の道を歩むわけですが、ここで本場のど真ん中というハードバップを演じてくれたのは暁光でした。

そして独り、居心地の悪そうなアル・ヘイグが、なんとも気になるアルバムでもあります。

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