す、すみません。
また、今日も、旅中です。
明日、早朝に帰ります。
今日も休載、ご理解願います。
森繁の「社長シリーズ」みたいな、浮いた話はいっさい、なし!
す、すみません。
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明日、早朝に帰ります。
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森繁の「社長シリーズ」みたいな、浮いた話はいっさい、なし!
急に暖かくなった所為でしょうか、昼飯喰ったら猛烈に眠くなって、困りましたね。シンドイ来客もあったりして……。
ということで、春にはこんなアルバムも良いかと――
■Tarnce / Steve Kuhn (ECM)
スティーヴ・キューンは所謂エバンス派のピアニストでしょうが、本家よりも甘く、一層ディープな耽美的感覚が魅力だと思います。
しかし同時にイケイケの姿勢もきちんと示していたのが、1970年代の活動です。特にこのアルバムは電化系の演奏も取り入れた忌憚の無い仕上がり!
録音は1974年11月11&12日、メンバーはスティーヴ・キューン(p,elp)、スティーヴ・スワロー(b,elb)、ジャック・ディジョネット(ds,per)、スー・エバンス(per) というハードコアな面々です――
A-1 Trance
いきなり浮遊感満点のメロディが流れ出し、不安と希望がゴッタ煮となる展開が、如何にも当時のジャズそのものだと思います。スティーヴ・キューンのピアノは多重録音されている部分もありますが、総じてアドリブパートには押し付けがましいところが無いんですねぇ~♪ けっこう考え抜かれたフレーズや仕掛けも使っているのですが。
またシンプル過ぎるスティーヴ・スワローのベースとは逆に多彩なリズムを作り出すジャック・ディジョネットとスー・エバンスの存在感も強いです。
非常に気持ちが良いので、ジャズ喫茶では居眠りモードの定番でもありましたですね。
A-2 A Change Of Face
一転して、おっ、チック・コリア!?
というようなエレピの響きからフュージョン期のサンタナのようなラテンロックな演奏となって痛快です。
しかしアドリブパートの核心はジャック・ディジョネットの豪快な4ビートが担っており、これも最高に心地良いです。スティーヴ・キューンのエレピは多重録音疑惑があるものの、こういうノリの楽しさこそ、リアルタイムで多くのジャズ者に認識されたのでした。
A-3 Squirt
これも如何にもスティーヴ・キューンらしいアグレッシブな演奏で、ピアノの力強さ、ジャック・ディジョネットの臨機応変なリアクションがあればこそ、フリーな領域でも厭味無く聴けるのですね。
幽玄の世界と破壊と調和! そんな感じが完全にジャズになっています。
A-4 The Sandhouse
これが実に柔らかくて、深遠な表現という、スティーヴ・キューンが最も「らしい」姿を記録しています。またこういう音の響きこそが、ECMというレーベルの象徴ですね。
今聴くと、些か時代を感じてしまうのですが、これは当時のジャズ喫茶には無くてはならないものでした。ちなみにこのアルバムは、スティーヴ・キューンがECMと契約して最初に出したものです。
終盤の盛り上がりが、本当にたまりませんよ。
B-1 Something Everywhere
これまた「A Change Of Face」の続篇のようなラテンフュージョンな演奏ですが、一層ストレートなノリが最高に気持ち良いです。
スティーヴ・スワローのベースソロはエグミもほどほどな不思議系ですが、絡んでくるエレピやドラムス、パーカッションが熱を帯びてくると、なかなか深遠な陰謀という感じでしょうか。
スティーヴ・キューンのエレピはアドリブになるとチック・コリアになってしまいますが、ギリギリで踏み止まるスリルが実に良い感じです。
B-2 Silver
短いながらもスティーヴ・キューンの存在感が存分に示されたソロピアノ♪ 本人は十八番のようで、ライブや新録音でも頻繁に演じられていますので要注意願います。
私なんか耽美なメロディ展開にグッと惹きつけられ、クライマックスの音の混濁に圧倒されます。
B-3 The Young Blade
これまた楽しいオトボケのジャズロックで、ジャック・ディジョネットが本領発揮のビシバシビートを敲きまくれば、スティーヴ・スワローのエレキベースが辛辣に蠢きます。
そしてアドリブパートは擬似4ビートからフリー寸前の展開まで、多彩なグルーヴが表出し、決して一筋縄ではいきません。こういうガッツが、当時のジャズ喫茶ではウケたように思います。
終盤からバンドが一丸となってエンディングに向かうところは圧巻!
B-4 Life's Backward Glance
スティーヴ・キューン自らが朗読する詩と幽玄な演奏の融合が試みられています。これは当時のECMばかりでなく、けっこうジャズの本流でも認められていた一種の技法でした。
しかし本質はスティーヴ・キューンの鋭いピアノタッチ、流麗なメロディ展開、そして独特の歌心が楽しめる素敵な演奏で、パンドの纏まりも素晴らしいですねっ♪ こういうところは、個人的にキース・ジャレットなんかも影響を受けていると思います。つまりスティーヴ・キューンが1960年代から演じていたエッセンスが、ここに完成した感じでしょうか。
何度聴いても、素敵です。
ということで、なかなか味わい深いアルバムです。尤もスタンダード曲を演じている最近の作品に比べれば、とっつきが悪いかもしれませんね。しかし本質は同じですし、多重録音を使っている点だって、きわめて自然ですから、気にはならないと思います。
春はエレピが心地良い♪
暖かい春の陽気に誘われて、今日は、これです――
■This Is How We Feel About“Q”/ Quincy Jones 1956-1981 (Universal)
大衆音楽の大御所=クインシー・ジョーンズの生誕70周年企画として我国で出されたベスト編集の2枚組CD♪ 1981年までの音源をいろんなレーベルから集めています。
う~ん、それにしてもジャストミートな選曲ですねぇ。私が選んでも、多分こうなるという気分の良さです――
Disc 1 Jazz Side
01 Sermonette
02 Moanin'
03 Air Mail Special
04 Quintessence
05 Soul Bossa Nova
06 On The Street Where You Live
07 Comin' Home Baby
08 Take Five
09 Pink Panther
10 The Midnight Sun Will Never Set
11 The Sidewinder
12 The“In”Crowd
13 I Got You
14 The Pawnbroker (45 rpm version / vocal by Sarah Vaughan)
15 Who Needs Forever ? (vocal by Astrud Gilberto)
まず1枚目はジャズ系の音源で、ド頭の「Sermonette」は名盤「私の考えるジャズ(ABC)」から♪ アート・ファーマーのミュートが実に良い雰囲気のゴスペルファンキーです。
また「Quintessence」は同名アルバム(impulse!)からフィル・ウッズが畢生のアルトサックスソロを披露したゴージャスな名演ですし、近年人気の楽しい「Soul Bossa Nova」やクインシー・ジョーンズのオリジナルとして有名な「The Midnight Sun Will Never Set」等々、知っている曲ばかりを分かり易くて、しかもグッとくるアレンジで聞かせてくれます。
もちろん各演奏にはミルト・ジャクソン(vib)、ラッキー・トンプソン(ts)、クラーク・テリー(tp)、フィル・ウッズ(as)、ズート・シムズ(ss,ts)、リー・モーガン(tp)、ローランド・カーク(fl)、ジム・ホール(g) ……etc. といったモダンジャズの名プレイヤーがアドリブで華を添えていますよ♪
そして最高なのが映画サントラから「The Pawnbroker / 質屋」のサラ・ヴォーンのボーカルバージョン! これが実にハートウォームな仕上がりで、一度聴いたら忘れられません♪
それと、これも映画「恐怖との曹禺」からサントラ音源の「Who Needs Forever ?」は、アストラッド・ジルベルトのボーカルに胸キュン♪ もちろんボサノバを拡大解釈した倦怠感が心地良いのでした。
Disc 2 Soul Side
01 Killer Joe (single version)
02 Gula Matari (single version)
03 Ironside
04 What's Goin' On (single version)
05 You've Got It Bad Girl
06 Body Heat
07 Everything Must Change
08 If I Ever Lose This Heaven (single version)
09 Is It Love That We'er Missin' (single version)
10 Mellow Madness
11 Stuff Like That (single version)
12 I'm Gonna Miss You In The Morning
13 Tell Me A Bedtime Story
14 Betcha' Wouldn't Hurt Me
15 Ai No Corrida (single version)
こちらはズバリ、ソウルサイドということで、今ではお馴染みヒット曲がズラリなんですが、あえてシングルバージョンをメインにしているのが嬉しいところ♪ アルバムで聴いていた皆様には物足りない部分があるかもしれません。しかし私のようなヒット曲好きには、こういう企画でシングルバージョンを入れてもらえば大正解です。
演目では、誰もが知っている「Ironside」のカッコ良さ! 一緒に歌える「Ai No Corrida」、そして深いソウルフィーリングがたまらない「Everything Must Change」がやっぱり印象深いのです。そして個人的にはクインシー本人の朴訥なボーカルが憎めない「You've Got It Bad Girl」とか、一世を風靡したブラザーズ・ジョンソンお披露目の「Is It Love That We'er Missin' / 恋のあやまち」が大好きです。おぉ、山下達郎!
ということで、各時代から素敵な演奏ばかりを年代順に集めながら、曲の流れが抜群ですから、私は車に常備しているほどです。リマスターも秀逸!
また自然に聴いているのに、アッ、これはっ! と思わせられる瞬間が多々あって、例えば「The“In”Crowd」のアレンジ&演奏には大野雄二が如何に影響を受けているか、納得させられるでしょう。おぉ、ルパン三世!
いや、実に豪華絢爛、ド派手でシブイ演奏がテンコ盛りという贅沢盤です。クインシー・ジョーンズの入門用でもありますが、実は日常生活に潤いをもたらす実用盤でもありますね。
フッと気がつくと、陽が長くなりましたですね。本格的な春も近いのでしょうが、花粉症のマスクをしている人も目立ちます。
春も良し悪しがあるんですね。
ということで、本日は――
■Crazy Rhythm / Lionel Hampton (EmArcy)
1930年代に全盛だった所謂スイングジャズが進化して、R&Bとビバップに分化したのは歴史ですが、もちろん黒人系ビートを強調してダンス音楽の側面を強めたのが前者であり、暗黙の了解性を強めてリスナーの感性に強く訴える観賞用音楽となったのが後者です。
我国のジャズファンは、どちらかと言えば後者の贔屓が多いようで、R&Bスタイルのミュージシャンを軽視するところがありますが、その両方でリアルタイムに凄い活動をしていたのが、ライオネル・ハンプトンでした。
ご存知のとおり、ベニー・グッドマンのバンドでは看板スタアとして大ブレイクした後、独立してからはR&Bの創成に深く関わるダンスヒットを連発し、平行して正統派4ビート演奏もどっさり残しているのです。
その主要楽器はヴァイブラフォンなんですが、同時にドラムスやピアノでも独特の芸を持った才人であり、何よりも楽しさ優先モードのエンターテイナーでもあり、スイングもモダンも関係ない凄いアドリブが出来るジャズ演奏家だったと思います。
このアルバムは1955年3月のフランス巡業の際、地元の精鋭を交えたセッションが収められていて、かなりモダンなアドリブの応酬と地味ながら洒落たアレンジの中で、ライオネル・ハンプトンの自然体の実力が楽しめる好盤になっています。
メンバーはライオネル・ハンプトン(vib,p,ds) 以下、ナット・アダレイ(tp)、ベニー・ベイリー(tp)、ベルナール・フリン(tp)、モーリス・メニエ(ts,cl)、ウィリアム・ブーカヤ(bs)、デイブ・エイムラム(fhr)、ルネ・ユルトルジェ(p)、サッシャ・ディステル(g)、ギ・ペデルソン(b)、マック・カック(ds) という、なかなか興味深い面々です――
A-1 Crazy Rhythm
如何にもジャムセッションにぴったりという狂騒の原曲も、ここでは膨らみがあって洒落たアンサンブルによる穏やかなテーマ演奏が、なんともパリの佇まい♪
アドリブパートでもライオネル・ハンプトンがスインギーな歌心を披露すれば、ナット・アダレイが明るい雰囲気のマイルス・デイビスみたいな名演を聞かせてくれます。
そしてウイリアム・ブーカヤの柔らかなバリトンサックス、ベルナール・フリンのハスキーな音色が魅力のトランペット、小粋なサッシャ・ディステルのギターと、地元勢も力演ですが、ルネ・ユルトルジェのファンキーモダンなピアノは新鮮ですねぇ♪
するとライオネル・ハンプトンが再登場し、刺激を受けたようなモダンな感覚のアドリブが、ハッとするほど良い感じの締め括りになっています。
A-2 Night And Day
ライオネル・ハンプトンとリズム隊だけの演奏で、お馴染みの名曲をリラックスしたテンポで聞かせてくれますが、ほとんど12分近い長丁場をワンマンショウの趣でアドリブに撤するライオネル・ハンプトンが実力の証明です。
もちろんルネ・ユルトルジェやサッシャ・ディステルにも短い出番はあるのですが、あまり冴えたことはやっていません。まあ、ルネ・ユルトルジェがジョン・ルイスっぽいところが面白いという……。
B-1 Red Ribbon
再びホーン陣が加わった景気の良いアップテンポの演奏で、ライオネル・ハンプトンが参加メンバーのアドリブ受渡しの頭に登場するという、全くジコチュウな仕掛けが憎めません。
もちろんそのアドリブパートは充実♪ 中でもモーリス・メニエのクラリネットが良い味を出しまくりです。
B-2 A La French
ライオネル・ハンプトンが書いた妙にウキウキする名曲・名演です。地元リズム隊によるミディアムテンポのグルーヴが、ジャズのお洒落な感覚を自然体で表しているのは目からウロコです。
演奏はホーン陣が抜けた小編成によるもので、またまたライオネル・ハンプトンの一人舞台が濃厚なんですが、今度はサッシャ・ディステルのギターが大健闘♪ 本当に良いフレーズを弾いてくれます。
ということで、なかなかモダンでお洒落な演奏ばかりなんですが、だからといってライオネル・ハンプトンに力んだところが感じられないのは流石です。もちろんアドリブフレーズはスイング時代と同じでも、ノリが微妙に変化しているのは当たり前で、それが極めて自然体なんですねぇ。
そういう人だからこそ、ジャズばかりでなくR&Bの世界でも大成功したのでしょうし、かなり高齢になっても衰えることのない楽しい演奏が出来たのでしょう。
我国のジャズマスコミではイマイチ、取上げ方が不足していると感じますが、スイングだとか、モダンだとか、そういうジャンル分けが無意味な天才演奏家だと思います。
こういう事は、ある日、突然やってくるというか……。
プリアンプの調子が悪いです。
暖まれば、なかなか使えるのですが、どうもヌケが悪いというか……。
元々は父が1970,年代に凝って集めたものですし、やっぱり寿命でしょうか?
個人的にはPC繋げるような最新式も欲しいし、休み中に探索してみます。
ということで、本日も休載、ご容赦願います。
昨夜までのゴタゴタをブッ飛ばす意味で、本日は朝から、こんなん聴いてます――
■This Time The Drum's On Me / Stan Levey (Bethlehem)
ジャズは大音量で聴いてこそ! という部分は否定出来ず、このアルバムはそうした効果があって最高に輝く名盤かもしれません。
つまり普通の音量というか、お茶の間での“それなり”の音量ではイマイチ、良さが認識出来ないというのが、私の感性です。
実際、ジャズ喫茶で聴いて、おぉっ♪ と感動し、レコードを買って自宅で聴いた時は、ちょっと???でした。これは日本盤だった所為もあるのですが……。
ところが現在、単身赴任で木立に囲まれた山間部の家を借り、ひとりジャズ喫茶を心置きなく楽しめる身分となって、あの感動が蘇えりました。これには心から感謝♪
録音は1955年9月27&28日、メンバーはコンテ・カンドリ(tp)、フランク・ロソリーノ(tb)、デクスター・ゴードン(ts)、ルー・レヴィー(p)、リロイ・ヴィネガー(b)、スタン・リーヴィー(ds) という西海岸では相等にシュートな面々です――
A-1 Diggin' For Diz
ハードバップな曲想と西海岸派のスマートなアンサンブルが奇妙に合体した演奏ですが、アドリブパートは間違いなく本物の魅力に溢れています。
スタン・リーヴィーの小型マックス・ローチというドラミングがイントロとブレイクで冴えわたり、コンテ・カンドリの溌剌としたトランペットを上手く導いていますが、続くデクスター・ゴードンは強烈な自己主張で、逆に演奏全体をグイグイとリードしていきます。ルー・レヴィーのファンキーな伴奏も良い感じ♪
そしてフランク・ロソリーノが大らかな持ち味を発揮すれば、クライマックスはドラムス対ホーン陣のソロチェンジ! 各人が見せ場の連続となるのですが、リロイ・ヴィネガーの骨太ウォーキングも素晴らしいですねぇ。
さらに終盤では予定外と思えるほどにファンキーで小粋なルー・レヴィーのアドリブまで楽しめるのでした。
A-2 Ruby My Dear
セロニアス・モンクが書いた耽美な名曲を、ふくよかなアンサンブルで演じています。テーマメロディをリードするコンテ・カンドリのトランペットをがっちりと支えるリロイ・ヴィネガーのベースが実に良い雰囲気ですねぇ。
そしてアドリブパートではルー・レヴィーのビアノが物凄くファンキーなんです♪ う~ん、恐るべしです。
A-3 Tune Up
これまたハードバップのファンには説明不要の名曲ですから、このメンツならアップテンポのガチンコ演奏は間違いないところです。
アドリブ先発のデクスター・ゴードンが幾分ギスギスしたビバップ魂を全開させれば、コンテ・カンドリは白人らしい明快な歌心で対抗します。ただし両者とも、やや自意識過剰というか、イマイチ本調子ではないかもしれません。
しかし続くフランク・ロソリーノが本領発揮の小刻みなフレーズの連発で、最高に爽快なアドリブを披露♪ 続くルー・レヴィーもケニー・ドリューっぽい飛跳ねピアノで楽しく、またファンキーな味わいも絶品だと思います。快演ですねぇ~~~♪
そしてリロイ・ヴィネガーの4ビートウォーキングに続いてのソロチェン場では、スタン・リーヴィーがビシッとキメまくり、このパートが短いのが勿体無いです。
A-4 La Chaloupee
リロイ・ヴィネガーの4ビートウォーキングが演奏全体をリードした快演です。テーマメロディとアンサンブル、そしてアドリブパートには西海岸派特有の楽天的なフィーリングが濃厚ですが、しかし演奏全体のグルーヴは完全にハードバップという、この時期、この場所でしか生まれなかったノリが、たまらないところ♪
フランク・ロソリーノはもちろん、ちょっと軽めの黒っぽさを発散するデクスター・ゴードンには、目からウロコ状態ですし、コンテ・カンドリも泣きのフレーズを上手く入れていますから、グッときます。
気になるリズム隊の存在も流石の力強さで、好感が持てますね。ルー・レヴィーが小粋なファンキー節をたっぷりと聞かせています。。
B-1 Day In Day Out
軽くて楽しいスタンダード曲で、全く西海岸派ジャズにどっぷりのアレンジ&アンサンブルなんですが、アドリブパートにハードエッジな感覚が横溢するのは、先発のデクスター・ゴードンの熱演によるものです。あぁ、この歌心の男意気!
するとコンテ・カンドリは流麗なフレーズを積み重ね、フランク・ロソリーノが十八番の芸の細かいスライドワークで、これぞの自己主張です。シャープなピアノタッチのルー・レヴィーも素晴らしい快演で、本当にたまりませんねっ♪
B-2 Stanley The Steamer
このアルバムのハイライトというか、評論家の先生方も昔から大絶賛しているモダンジャズの名演で、主人公はデクスター・ゴードン! ルー・レヴィーのファンキーなイントロからミディアムテンポの粘っこいグルーヴが充満し、デクスター・ゴードンが唯我独尊のアドリブを展開していきます。
それはやや遅れて始るアドリブフレーズの頭、しかしケツはぴったりと合っているというデクスター・ゴードンだけの名人芸で、う~ん、聴くほどに快感♪
リズム隊のヘヴィな感覚も素晴らしく、とても西海岸で録音されたとは思えない雰囲気は、やっぱり凄いですね。特にスタン・リーヴィーのドラミングが、そういうフレーズとノリに鋭く対応し、このアルバムの中では一番熱気の醸し出しています。
B-3 This Time The Drum's On Me
オーラスはアップテンポで演じられるアルバムタイトル曲ですが、実はビバップの名曲「Max Is Makin' Wax」と、ほとんど同じですから、メンバー全員が心置きなくアドリブに専心しています。
特にここでもリズム隊のノリが素晴らしく、ルー・レヴィーはホレス・シルバー状態! ガンガンにイケイケです。
ということで、ちょっと聞きには期待ほどではない雰囲気なんですが、音量を上げると物凄い存在感を示すリロイ・ヴィネガーのベース! そして小粋にファンキーなルー・レヴィーの素晴らしさが、グッと前に迫出してきますから、フロントのホーン陣のアドリブもブリブリに楽しめます。
肝心のスタン・リーヴィーのドラムスが、ちょっと薄目の録音なのが勿体ないところですが、それも音量が解決してくれると思います。
ですから、ジャズ喫茶みたいな大音量があれば最高というアルバムです。尤もそれは、このアルバムに限ったことではありませんが……。
ルー・レヴィーのファンは必聴!
帰国、できた……。
なんだか気持ちだけ、疲れましたですね。
体力は、一応、大丈夫!
機内食、不味かったです。
明日から、通常ペースでいきたい……。
というか、全く予期せぬ出来事の連続で……。
今日は、ほとんど終日、車で東西奔走、南北で泣き笑いです。
もちろん車中ではストーンズ鳴らしっぱなし!
例えば――
■Empire Pool 1973 / The Rolling Stones (SODD)
1973年9月8日のロンドンライブ♪ ミック・テイラー在籍時の最高に熱いステージです。
詳しく書きたいけれど、時間がないので、いずれということで、本日はご容赦願います。
今日は家へ帰れるのだろうか……。
昨夜は久々にブート屋を急襲して、いろいろなブツを仕入れてきました。特にストーンズ物が充実♪
その中には――
■Altamont Speedway Free Festival / The Rolling Stones (TARKL)
ストーンズの、というよりも、ロック史上最も混乱と悲劇に満ちたコンサートが、1969年12月6日、サンフランシスコ郊外のオルタモントで行われた無料コンサートです。
これは同年、ライブの現場に復帰したストーンズが北米巡業を成功させた勢いで行ったイベントで、サンタナやジェフースンエアプレイン、フライング・ブリトーズやCSN&Y等々の有名バンドも同時に出演した野外フェスでした。
もちろんこれは同年に行われた「ウッドストック」を意識していたはずですし、ストーンズに限って言えば、ハイドパークでのコンサートもありましたから、決して自信過剰でもなかったはずですが……。
結論から言えば、夜中には氷点下の砂地で水もトレイも充分ではなく、医療設備や飲食施設もロクに用意されていない場所へ、なんと50万人もの若者が集り、道路は大渋滞、会場は演奏が始る前から混乱の極みだったようです。
しかし1日限りのコンサートでしたから、会場警備にはバイク集団のヘルスエンジェルズが雇われ、ヒッピー文化の愛と平和、共存意識に頼りきった運営が裏目となるのです。
そしてついにストーンズの演奏中に黒人青年が殺害され……!
しかもその一部始終がフイルムに収められて、映画「ギミーシェルター」として公開されのは鮮烈という以上に、狂気の沙汰でした。
で、問題のストーンズの演奏は、その映画でも観ることが出来ますが、全曲を聴くためにはブートしかありません。このブツは、その最新盤というわけです――
Disc 1
01 Jumping Jack Flash
02 Carol
03 Sympathy For The Devil #1
04 Sympathy For The Devil #2
05 The Sun Is Shining
06 Stray Cat Blues
07 Love In Vain
08 Under My Thumb #1
09 Under My Thumb #2
10 Brown Sugar
Disc 2
01 Midnight Rambler
02 Live With Me
03 Gimme Shelter
04 Little Queenie
05 (I Can’t Get No) Satisfaction
06 Honky Tonk Women
07 Street Fighting Man
――という演目のソースは、これまで出ていた様々な音源、例えば会場での隠密録音やラジオ中継放送等々を上手くミックスしてあります。
そして実際に聴いてみると、ドラムスの重低音が物足りませんが、演奏そのものはしっかりと録音されています。ただし、とてもブート初心者にはオススメ出来ません。なにしろ初っ端の「Jumping Jack Flash」なんか凄くピッチが遅くて、どうなることか……、と眼の前が真っ暗になります。
しかし慣れてしまえば、後はピッチもなんとか正常値に近くなり、音質もこれまで以上にクリアになっていますから、後は臨場感に酔い痴れるのがストーンズフリークの宿命でしょう。
今まで切れていた「Midnight Rambler」の始まりの部分や「Brown Sugar」のエンディングもカバーされているのは高得点♪
注目されるのは、この日だけの特別演奏であるブルースカバーの「The Sun Is Shining」でしょうか。まるでブライアン・ジョーンズの魂が降臨したかのような名演だと思います。あと、後年の大ヒット曲「Brown Sugar」は、これがライブ初演奏♪ もちろんレコード化される前の出来事です。
気になる会場の混乱と悲劇は、まず「Sympathy For The Devil」が分断されているように、途中で演奏を止めて観客に冷静になるように呼びかけるメンバー、関係者のゴタゴタが印象的です。
そしてついに「Under My Thumb」の演奏途中で、黒人青年が警備のヘルズエンジェルズによって刺殺されるのです。この場面は映画でもミック・ジャガーが真っ青になり、観客も大混乱という、夢も希望も地獄に堕ちた瞬間です。
ストーンズの演奏は、そんなこんなで、やはりテンションが高く、「Sympathy For The Devil」終盤でのミック・テイラーのギターとか、「Midnight Rambler」でのゴッタ煮グルーヴ、そして後半のクライマックスには、申し訳なくも、かなり熱くさせられます。
録音そのものも観客の歓声や合唱・手拍子を適度に拾っていて、臨場感満点! 間違いなく歴史的一夜にタイムトリップさせられるでしょう。ただし、けっこう高音域が強いので、PCやウォークマンでは鑑賞がシンドイかもしれません。それでも既発のブツに比べればマイルドになっているんですが……。
今後の望みとしては、記録映像フィルムの全貌が観たいものです。