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 随筆 「座卓を塗る」  文科系

2010年01月07日 12時29分48秒 | 文芸作品
 昨年末は僕としてはかってないほどに大掃除に励んだ。僕の分担である窓周りで、家中の網戸を全部外して洗ったし、外さねば磨ききれない2階のサッシなども初めて全て外して、ガラス磨きをやった。サッシというもののなんと重いこと。おかげで、腿と肩が何日か痛かった。2階和室の畳を換えたから、こんな気になったのだと思う。「次は、座卓の天板塗りだな」。その和室に置いてある亡父お気に入りのそれは薄い塗り仕上げが劣化して、ところどころ白っぽく禿げたように乾いて見えていた。

 さて新年が開けて5日、家具職人の友人に教えてもらったとおりのやり方で400番のサンドペーパーをかけ始める。木片に厚い布とペーパーを巻いて、木目に沿ってゆっくりと、ゆっくりと。「丁寧に、丁寧に」。黒くて固い木の表面から、赤っぽい砥の粉のような物がペーパーにびっしりと張り付いてくる。とにかく「浅く、全面を均等に、だ」。「全ての傷を気にして研磨していくと切りがない」と聞いていたので、1時間半ぐらいで終えて、水ぶきをする。白いタオルに赤い粉が着いてこなくなるまで何回も拭いた後、から拭きをしてその日は終わる。1日乾燥させて、オイル仕上げの効果を高める積もりなのだが。

 6日正午過ぎ、刷毛塗りを始める。友人に頂いた「成分―米油、亜麻仁油」とある植物性オイルは意外に粘り気があって、つい塗りが厚くなる。厚くなったオイルを刷毛でなぞっては他の所に塗ったりしているうちに、刷毛へのオイルの付け具合など加減も次第に分かってきて、快調に。教えてもらったとおりにとにかくひたすら、「木目に沿って」。その後3時間ほど浸透時間を置いて、拭き取りに。黒光りする木肌の、何ときれいなこと!
 開けて7日、落ち着いてきた黒光りは心持ち褐色度を増し、名馬の地肌なんかを目の前にしているような気分。あちらこちらを触れまわしてもみたし、昨夜から2階に上がっては、もう何回見直したことか。こんなことを思いながら。
〈24日に、ずっとこの部屋でやってきた「ギター遊びの会」(11月22日当ブログ、随筆を参照)があるが、みんなもきっと驚くだろうな。この会も、春夏秋冬ともう二巡り、8回目だ。〉

 そして今、くだんの家具職人友人のこんなメールを思い出している。
 【知人で北欧の家具を輸入し、国内の自分の工場でリペアして再販しているお店があり、彼がつくづく言っているのですが、「I君、分かったんだけどもさ、何も欧州の人がお金持ちって訳じゃあなくて、親の代から大切に家具を受け継いで使うんだよ、だから修繕の業者も繁盛するしね、それからそういう古い家具を流通させる業者もあるんだよ」と。この話を聞いて、ああ、やはり日本はまだまだ発展途上国だな、急激な成長で、作ること、壊したり捨てたりすることばかりで、伝統文化をないがしろにしてきたんだな、と。ただ、私も努力不足ですが、国内にも、名古屋にも修理屋はあります、その気で直す意志さえあればどんな時代でも修理してくれる業者はあると思います。】
 無垢の木を使った古い家具は、全部塗り直してやろう。そんな気になっている。
コメント (4)
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