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民主党の憲法観を検証する。 マガジン九条特別対談から

2010年01月10日 19時47分07秒 | Weblog
★マガジン九条の新年号の伊藤真さんと小林節さんの対談です。http://www.magazine9.jp/taidan/008/index1.php (ネット虫)

伊藤真●いとう・まこと伊藤塾塾長・法学館憲法研究所所長。1958年生まれ。81年東京大学在学中に司法試験合格。95年「伊藤真の司法試験塾」を開設。現在は塾長として、受験指導を幅広く展開するほか、各地の自治体・企業・市民団体などの研修・講演に奔走している。著書に『高校生からわかる日本国憲法の論点』(トランスビュー)、『憲法の力』(集英社新書)、『なりたくない人のための裁判員入門』(幻冬舎新書
)、『中高生のための憲法教室』(岩波ジュニア新書)など多数。

小林節●こばやし・せつ慶應義塾大学教授・弁護士。1949年生まれ。元ハーバード大学研究員、元北京大学招聘教授。テレビの討論番組でも改憲派の論客としてお馴染み。共著に『憲法改正』(中央公論新社)、『憲法危篤!』(KKベストセラーズ)、『憲法』(南窓社)、『対論!戦争、軍隊、この国の行方』(青木書店)など多数。「大阪日日新聞」にてコラム「一刀両断」を連載中。
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今回は、「総選挙の結果政権交代が行なわれて、憲法状況はどうなった?」「凍結したまま動かない憲法審査会は?」そして「国民投票法が施行される2010年は、どうなる?」などについてです。3回にわたって転載します。


●総選挙マニフェストからわかる各党の憲法観
編集部  今年の夏に総選挙が行われて政権交代が行われました。「日本初のマニフェスト選挙」とも言われましたが、ほとんど話題にならなかったのが、「憲法」についての記載です。民主党のマニフェストには、ページの最後に憲法について次のように書かれてありました。これについては、どのように評価されてますでしょうか?

資料1)[国民の自由闊達な憲法論議を]
 「憲法とは、公権力の行使を制限するために主権者が定める根本規範である」というのが近代立憲主義における憲法の定義です。決して一時の内閣が、その目指すべき社会像やみずからの重視する伝統・価値をうたったり、国民に道徳や義務を課すための規範ではありません。民主党は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という現行憲法に足らざる点があれば補い、改める点があれば改めるということを国民の皆さんに責任を持って提案していきます。 民主党は2005年秋にまとめた「憲法提言」をもとに、今度も国民の皆さんとの自由闊達な憲法論議を各地で行い、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ、国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます。「民主党マニフェスト」

小林  民主党のマニフェストにあったこの憲法観については、点数でいくと私は100点満点だと思います。
 長いこと自民党による憲法をないがしろにした、いわば悪政の時代に一番無視されていたのが「憲法は主権者・国民が権力を託した人々を管理するための規範」であるということ。憲法は、「主権者国民と政治家の間の最高度の約束である」という、これまで一番忘れられていたことについて、民主党の枝野幸男さんや園田康博さんらが中心になって、憲法調査特別委員会においては、意識的に主張していました。それがこのマニフェストには、きちんと書かれています。「民主、人権、平和」という日本国憲法の三大原則を否定するのが、旧来の改憲・改悪派ですから、それに対して正しいことを簡潔にうたっている。
 かといって、憲法というのは不磨の大典ではなく、時代の産物だから時代の変化に応じて改正していっていいものだと、ただし、それは主権者・国民が決めることであると書いてあります。
 したがって、この文章自体は、抽象的に採点するなら、100点満点であると思います。

伊藤  私もこの文章自体は、100点だと思いますし、さらに総選挙前のマニフェストの中で政党としてきちんと掲げたというのは、とても意味のあることだ、と思っています。多くの国民が読み、意識するマニフェストというものの、最後のページではありますが、特別の枠を設けて、正しい理解に基づく「憲法とは?」 ということについて、国民に明確にこのように断言したのは、たぶん初めてではないかと思うんです。
 今回、他の政党のマニフェストなどをいろいろ見比べてみました。自由民主党はマニフェストの最後のところで、「自民党新憲法草案に基づき早期の憲法改正を実現する」と言っています。そもそも、憲法とか立憲主義とは何なのか、ということをまるでわかっていないグループの人たちによって作られたこの新憲法草案というものを、今だにそのままの内容で、いわば堅持しようとしている。自民党は憲法に関して、何の学習もできていないんだな、ということが、よくわかるマニフェストでした。

 他方、共産党はいわゆる護憲政党と言われていますけれども、共産党のマニフェストを読んでみると、立憲主義というものをきちんと国民に伝えようという意識が、伝わってきません。「憲法改悪を許さず、憲法の全条項をまもり、平和・人権・民主主義の条項の完全実施をはかります」という項目の中で、「憲法の前文を含むすべての条項を守る」と言っているんですね。「憲法改定に強く反対し、改憲につながる一切の策動を許さず」と言っています。憲法改定に一切反対だというのは、憲法の一言一句動かさないということなんでしょうか。天皇制も変えず、資本主義経済体制の財産秩序も変えずということを、このマニフェストで断言してしまっているんです。

 そして社民党も、これも護憲政党として知られますが、社民党は、冒頭で「憲法理念を実現します」ということを大きな4項目の1つに掲げています。それ自体はよいことだと思うのですが、その前提である立憲主義の理解、そしてそれを国民に伝えようという意識があまり伝わってきません。

 私は、今のこの国の憲法状況で最も問題なのは、国民が憲法とは何かを知らない、とりわけ政治家が知らない。そしてまた、そのことを伝えようという努力を政治家があまりしていない。立憲主義教育が行われていない、ということだと思っているものですから、その観点から見たときに、民主党が、「憲法とは?」「立憲主義とは?」という内容をマニフェストに掲げたということは、とても意味のあることだと考えます。

 もちろん、民主党のマニフェストのこの部分を批判する人も大勢います。特に後半部分のところで、「『憲法提言』をもとに、今後も国民の皆さんと自由闊達な憲法論議を各地で行い、国民の多くの皆さんが改正を求め、かつ国会内の広範かつ円満な合意形成ができる事項があるかどうか、慎重かつ積極的に検討していきます」というところで、いわゆる憲法改正を推し進めようとしているのではないか、というふうに読み取って、批判される方がいます。しかし、憲法改正の議論自体を封じ込めよう、要するに議論そのものを封じ込めようとする態度には、私は全く賛成できないんです。特に、これは「国民の多くの皆さんが改正を求め〜」と最初に書かれていますから、あくまでも、国民の合意形成が先だということは述べているわけです。国民が憲法を改正したいと思ったら変える、それが民主主義です。そういう議論すら封じ込めようとするような主張であるとしたら、それはそもそも憲法の理念に真っ向から反するものである、というふうに私は考えています。

小林  私も全く賛成ですね。最近、伊藤先生とは、意見の違いがほとんど、テクニカルな問題以外ないんですよ。

編集部  お二人とも民主党のマニフェストに書かれた「憲法観」については、100点満点ということですね。私もこれは、画期的だったと思いました。しかし残念ながら、選挙期間中もその後も、これらの文言は、ほとんど注目されませんでした。

伊藤  そうですね。この部分については、メディアは全く取り上げなかった。いかに日本の国民というか、我々の憲法意識が希薄なのか、ということを露呈してしまっている現象だと思いました。

●憲法の解釈と運用
編集部  さて総選挙の結果、政権交代が起こましたが、ここ最近で憲法について話題になったことの一つに、集団的自衛権の解釈をめぐる発言がありました。まず11月4日の国会で自民党の石破茂さんが集団的自衛権についての質問を鳩山さんに対してしましたところ、答弁がありました。*その同日、平野官房長官が、「政治判断で憲法の解釈をしてもよいのだ」というような発言があったと、テレビニュースで伝えていました。また、国会法を改正して、官僚の答弁を禁止し、「政府特別補佐人」から内閣法制局長官を外す法案も次の国会で出されることになりました。ここで心配になるのは、時の内閣の都合によって、「憲法解釈が進む」というのでは、自民党の時と同じではないのか、ということです。

*鳩山由紀夫首相は11月4日の衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を禁じた政府の憲法解釈に関し「歴史的経緯の中で考え方が固まってきたと理解しており、現政権で考え方を変えるつもりはない」と答弁し、従来の解釈を踏襲する考えを改めて示した。

小林  そもそも一般論として、憲法というものは──これは世界の常識の話をしているんですよ──高度の抽象規範である。憲法は、くるくる変えるものではない、一種の歴史的宣言書です。だから、解釈で運用していくしかないものなのです。
 例えば民法というものは、800条もあるにもかかわらず、憲法は民法に関しては、財産権とか家庭における男女の平等とか、そんな条文しかないでしょう。何が言いたいかというと、憲法は少ない条文でたくさんのことをカバーするわけですから、本質的に抽象的になるわけです。だから、それは解釈で運用していくしかない。
 解釈というのは、1つは、国会による有権解釈としての法律で具体化するし、内閣による有権解釈としての閣議決定その他で具体化していく。ときに裁判になったら、最高裁判例という形で具体化する。そもそも憲法というものは解釈で運用していくしかないもので、しかも歴史的文書で、しかも法の中で最も政治的なものなんです。
 だから、国民主権国家・日本において、主権者・国民の直接代表たる最高機関・国会の中から互選されてきた内閣総理大臣が、ときの最高権力者として内閣を仕切っていますが、憲法問題というのは国の命運にかかわるわけです。だから、それは最高政治権力者たちが解釈で運用していく。そして、その責任を次の選挙で問う。それだけの当たり前のことを言っているのですよ。
 それを、選挙で選ばれてもいない、たかだか役人の1人にすぎない法制局長官が、憲法解釈を決するということの方が、おかしい。それから、ある意味では、最高裁判事だって政治的責任をとる立場にはありませんからね。ですから、この件について、平野官房長官らは当たり前のことを言っているんですよ。

編集部  内閣・首相が責任を持って「憲法解釈」も含め運用していく、ということでしょうか?

小林  本来はそういうものなんですよ。自民党のこれまでの政治は、自分たちの頭が空っぽだから、あるいは空っぽのふりをしたいものだから、法制局のせいにしてやってきた。そして政治的に都合の悪いときは「法制局が悪い」と言ってきた。しかし、だからといって法制局長官をクビにするでもなく、そういう曖昧なことが行われてきたわけです。
 それに対して、「偏狭な護憲派」からしてみれば、憲法改正というのは少しでも動かないほうがいいと思うから、内閣法制局が頑張ってくれているから、かろうじて、集団的自衛権の行使や、あからさまな海外での武力行使は許してこなかった。と、こんな異常なことを当然のことのように言ったりするんです。 すでに9条は法制局に侵されているのに。
 国民が選んだ鳩山内閣が、法制局長官のお説に従っては行動しませんと言うのは、位置関係としては、当たり前のことなんですよ。これを「しんぶん赤旗」(11月7日)では、「内閣判断で、海外での武力行使につながる危険」という話にしているけれど、これは危険でも何でもないんですよ。私たちが選挙で断罪すれば直るのです。真っ当なことが始まったんです。自民党が、法制局を隠れみのにして、ときに法制局を悪者にしてやりたいことをやってきたことのほうが問題なんです。

伊藤  平野官房長官の会見で、朝日新聞(11月4日)によると、「これまでの法制局長官の憲法解釈には、内閣は縛られないのか」と問われ、「もちろんそういうことだ」と言っていますが、これは当たり前のことなんですね。法制局長官は役人ですから。内閣は、例えば憲法解釈ならば、内閣の公定解釈というものを出すわけです。そこに、法制局長官なり内閣法制局の解釈がたまたま時の内閣によって採用されている、というだけの話なんですね。法制局長官の口を通じて、内閣の考え方や解釈を今まで述べてきたというだけのことであって、これは昔も今も何も変わらないわけですよ。別に、法制局長官に内閣と異なる解釈を、1つの意味のある公権的な解釈として主張する権限は全くないですからね。その法制局長官の考えを参考にしながら、内閣が自分たちの考えとして発表するというだけのことです。

 ただ、発表するときにあまり専門知識はないし、自分で堂々と言えないものだから、法制局長官の口を借りて発表しているだけのことであり、結果的に法制局の解釈が採用されてきたというだけのことなんです。それを小林先生がご指摘のように、ずるい政治家たちが、あれは法制局長官が言ったことであって、別に私とは関係ないみたいなことを言い出す。そこがおかしいんですよね。
 ですから、そうではないんだと。あくまでも、内閣の考えとして堂々と発表するんだと。ただ、そのときに、当然ですが、法律の専門家の意見は聞いて発表することにはなると思いますがね。
 ですから、そのこと自体は何ら問題ないんだと思いますけど。

●ご都合主義の憲法解釈には、国民がノーを突きつけるべき
編集部  平野官房長官の発言は、立憲主義からみて真っ当で当たり前のことなのですね、よくわかりました。官僚政治から、今ようやく本来の政治が始まろうとしているところなんですね。

小林  だから、そういう手続き論にかみつくよりも、その手続き論を逆手にとって憲法を空洞化しようという右や左の動きがあるんです。その内容を突かなきゃいけないんですよ、あなた方は。

伊藤  法制局長官に答弁させる、させないという問題じゃなくて、内閣自体がころころ、そのときのご都合主義で解釈を変えようとしていくということが問題なのです。

小林  憲法というものは、内閣の責任で解釈は決め、必要とあれば変えていくものなのです。ただし、それが文言的にでたらめだったり、論理的にでたらめだったり、憲法制定者の趣旨に合わなかったりするものは、だめです。ですから、権限は内閣にあるけれど、「おばかな内閣」はだめ。だから、問題がある場合は、その権限を行使しちゃだめよと、かつて小泉や安倍に向かって言ったのと同じことを、今度は鳩山と平野に向かって言えばいいわけです。要は、それをもって何をしようとしているかが問題なんですから。

伊藤  これまで、いわゆる法令違憲、法律が憲法違反だというふうに最高裁で判断されたものは、戦後、8件しかないんですね。その1つの理由は、法制局などで事前にきちんとチェックをしているからだといわれます。例えば、内閣法制局の見解を無視して政治家がさまざまな法案を通してしまって、内閣が憲法違反の行動をとるようになったら、最高裁がどんどん違憲判決を出して、それをつぶしていくというだけのことです。
 その際に、最高裁が違憲判断も出さずに、合憲判断で内閣を追認していくようなことになったら、最高裁が憲法の番人としての役割を果たしていないというだけのことだと思います。そして最後は国民です。

編集部  政権交代によって、最高裁は憲法の番人として、違憲判決を出していくというようなことも増えるのでしょうか? しかしこれまでの経緯を考えると、なかなかそうはならないのでは、ないでしょうか?

小林  我々国民が監視人になるんですよ。「法制局が頑張ってくれ」とか、「最高裁が頑張ってくれ」とか、そうじゃない。要は内閣が法制局をどう道具として使おうが、最高裁がどういう憲法判断をしようが、それについての最終判断は、我々、国民がやっていかなきゃいけない。

●鳩山首相の「憲法9条について」
編集部  さきほど、民主党のマニフェストにかかれた憲法観についてお聞きしましたが、選挙公示の直前に「憲法9条あなたの考えは?」というアンケートを、「マガジン9条」のほうから、民主党の候補者全員に出しました。その結果、鳩山さんからは資料2)のような回答がありました。
 これは、もちろん首相になる前の鳩山由紀夫という名前での回答ですが、民主党のほかの候補者も、これに倣って答えている方が数名おり、民主党の一つの「模範解答」となっているのかな、とも思いました。これについては、どう思われますか?

資料2)「憲法9条あなたの考えは?」のアンケート回答
鳩山由紀夫:「自衛の範囲を超えた武力行使や、国連決議によらない海外での武力行使を結果的に認めるような改憲には反対です。一方で、いくら9条を墨守してみても時々の内閣の都合で事実上の解釈改憲が進んでいます。政府が行う自衛権行使や国際協力について、国民が憲法の明文できちんと歯止めを設ける必要性が高まっています。自衛隊の「できないこと」を明確にするという観点であれば、条文を変えた方がより良くなる余地があると考えます。」

小林  この考えは、私と全く同じです。実は昔、彼とは憲法論議をやっているんです。9条についても、2年ぐらいに渡って議論をしています。鳩山さんは、東大工学部卒ですから、憲法というものについての予備知識がないんです。そこへ、真っ当な憲法論が入っていったわけですよ。

編集部  憲法を学ぶ上で、鳩山さんが理系だったから、かえって良かったと。

小林  そうです。この回答を読むと、まず「自衛の範囲を超えた武力行使」とありますが、これは、いけませんに決まってますね。そして「国連決議によらない」、つまり、世界の常識に反する「海外での武力行使も、結果的にどういう理屈をつけようが認めるような改憲は反対です」。これは、私がいつも言っていることと同じことですね。
 一方で、「幾ら9条を墨守してみても、時々の内閣の都合で事実上の解釈改憲が現に進んでいます。」そう、護憲派は、9条が守られていると喜んでいるが、私に言わせりゃ、9条なんかずたずたじゃん、と。あれだけ、自民党政府によって拡大解釈が行われている9条を、いまだに「汚れていない」なんて言うから「ばかやろう」と言いたくもなる。
「政府が行う自衛権行使や国際協力について、国民が憲法の明文できちんと歯 止めを設ける。」そうなんですよ。自民党によるずたずたな解釈改憲ができないように、憲法9条でできること、できないことを書きなさいよ、と。これ、いつも私が言っていることと同じことでしょう。
 自衛隊の「できないこと」を明確にするという観点であれば、これが立憲主義じゃないですか。そういう意味では、条文を変えたほうがよりよくなる余地があると考えます。私、これもまた100点だと思う。

編集部  小林先生が、鳩山さんに憲法指導をされていたとは、知りませんでした。

小林  別に教えるというつもりはなかったけれど、彼と2年ぐらい一緒に昼飯を食っているうちに、彼がいろんなことを聞いてくるわけです。僕のことを憲法学者だと知っているから。そして、ある時彼は、憲法私案の下書きを持ってきたので、僕が徹夜で真っ赤にして返したことがある。当然その後、激論を交わしましたが、1点をのぞいては、考え方が共有できました。外国人参政権については意見が一致しなかった。僕は反対、彼は賛成。彼は宇宙人ですから。僕は日本人ですから。宇宙に国籍ないからね。(笑)

伊藤  立憲主義という観点からは、この文言は極めて真っ当な発言です。これを、鳩山さんが正しく理解しているように、民主党議員や他の政党の国会議員にも理解してもらえると、ありがたいなと思いますね。
 その上で、最後に書かれている「憲法に明確にするという観点で条文を変える」ということのメリット、デメリットを、具体的に検討し議論する。そういう場がいろいろと出来ていけば、より良いのではないかと思うんです。
 たとえば、自衛隊にできないことを明確にするという観点で、そういう善意で条文を変えるとしても、それを時に悪用したりする輩が出てきたときに、きちんとそれに対して歯どめをかけられるだけの力、つまり立憲主義の力を国民がつけることなどが、前提として必要だと私は思いますから、そういう議論などを含めて、よりよくなる余地があるのかを検討し議論することは意味があると考えます。憲法を変えることによるメリット、デメリットをきちんと検討していくということはありなんじゃないでしょうかね。

編集部  立憲主義を正しく理解している鳩山さんが、まさに今、私たちの国の首相だということは、とてもいい状況なんですね。

小林  そうですよ。小泉とか安倍とか麻生とか、鳩山とは真反対のおばかで悪人が続いた後に、真っ当な立憲主義を理解している鳩山内閣が立ったんですよ。喜ぶべきことなんです。

編集部  そうですね。そういった中で、国民投票法が来年5月には施行されるわけですけれども、一方で、憲法審査会が凍結されているという現状もあります。この点について、引き続きお聞きしていきます。

その2へつづきます
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番組紹介 BS特集「反骨の映画監督 マイケル・ムーア」

2010年01月10日 10時48分56秒 | Weblog
★ 坂井貴司さんから、番組の紹介がありました。是非見てください。(ネット虫)
 
 新作映画「キャピタリズム~マネーは踊る」の宣伝で日本を訪れたマイケル・
ムーア監督のインタビュー番組がNHKBSで放送されます。
 
 NHKBS1
 
 BS特集「反骨の映画監督 マイケル・ムーア」
 放送日 :2010年 1月16日(土)
 放送時間 :午後0:10~午後1:00
 http://www3.nhk.or.jp/hensei/program/p/20100116/001/11-1210.html
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新政権をめぐる最大の世界的問題  文科系

2010年01月10日 00時20分46秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 以下に、新政権をめぐって最も重要と考えている世界的な矛盾、判断の分岐点のようなものをまとめてみる。この間切り抜いた以下3つの毎日新聞記事の言葉で、これをやる。新政権を最も大きく動かすだろう根本的な世界の矛盾を押さえておくと、非常に多くのことが正しく見えてくるのではないかと思い立ってのことだ。
 
①11月24日「なぜ今、保護主義なのか?」 エマニュエル・トッド(フランス人類学者)、御厨貴(東京大学教授)、片山善博(慶応大学教授)の3者対談 
②中谷巌(三菱UFJリサーチ・アンド・コンサルティング理事長)の12/2「インタビュー、この国はどこへ行こうとしているのか 『貧困』」、1/7「経済への視点 世界的な需要不足 中流階級没落こそ根本問題」
③1/8 加藤陽子(東京大学教授 日本近代史)「論点 2010年日本への提言 政策論議は長い目で」

 読みやすいように結論を先に述べておくと、こういうことである。世界経済が相変わらずグローバリズム中心で行くのか、世界的な需要創出に比重を置いて行くのかということである。前者は、国際的金融資本や世界的輸出産業を抱えた大国だけが持ちうる強者の理論であり、後者はそれ以外の世界の人々の職業、人生、死活問題に一定目を向けてくれるもののようである。需給関係という近代経済発生以来の最大難問で言えば、レーガノミックス以来の供給サイド経済か、ケインズの例のような需要サイド経済かと言っても良いのだろう。
 そして、この日本で最近起こった自民党政権から新政権への移行は、予算編成方針などがよって立つ理論が前者から後者へ転換したということでもあるようだ。①~③の記事は、こう語っている。上の前者が、大国やそこの超大企業の株価だけを上げても失業者・低所得者を世界に溢れさせるといった社会を作るのであって、世界の大部分の人々の生活を無視する理論であると。

 三つの資料から抜粋してみる。
『保護主義は、内需拡大に繋がります。それによって、地域外との交流もむしろ増えます。逆に、今の自由貿易は、世界規模では需要減少をもたらしている。私の主張する保護主義は、内にこもって外を排斥する非理性的なものとは違います。
 この前の金融危機にもかかわらず、世界のリーダーたちは危機が終わったと考え、自由貿易で再出発したがっています。まだ人々の苦しみが足りないので、保護主義を論ずるに至っていません。自由貿易には、理性的に見れば問題がたくさんあるのに、特に指導者層の、いわば信仰となっている。これが保護主義の実現を妨げています』(上記①トッド)
『〈……「構造改革」と、それに伴って急速に普及した新自由主義思想の跋扈、さらにはアメリカ型の市場原理の導入によって、ここまで日本の社会がアメリカの社会を追いかけるように、さまざまな「副作用」や問題を抱えることになるとは、予想ができなかった〉中谷さんが1年前、”懺悔の書”と銘打って著した「資本主義はなぜ自爆したのか」の一節だ』(②の前者)
 『このように、「中産階級の崩壊」は世界の需要不足問題の根幹に位置する最重要な問題なのである。(中略)中産階級の崩壊は中国でも顕著になっているのだ。すなわち、世界の需要不足問題は中産階級の没落という根本的問題を解決しない限り、解決しないと考えなければならない』(②の後者)
 『しかし、総供給が総需要を上回っているのが不況なのだから、生産側ばかりを成長させれば需給ギャップが広がり不況は深刻化する。よって「国民の生活第一」として需要拡大を目指す鳩山内閣の政策は、社会経済学者の松原隆一郎氏が論壇時評で述べてたように、方向性として正しい(12月26日付「朝日新聞」朝刊)。経済学の指し示す基本として、先ずこの点を確認しておきたい』(③)
 
 トッド氏と中谷氏の紹介をちょっと詳しくしておく。
 トッド氏は「英国ケンブリッジ大博士号取得 仏国立人口統計学研究所所属」「ソ連崩壊や金融危機を『予言』してきたトッドさん」などと紹介してあった。因みに彼は、フランスの作家、ポール・ニザンの孫でもあるらしい。
 中谷氏は「小渕恵三首相(当時)の諮問機関『経済戦略会議』で議長代理。99年に出した最終答申『日本経済再生への戦略』では『労働者派遣の早期原則自由化』を提言し、同年の労働者派遣法改正に道筋を付けている」と紹介があった。そういう人が今、上のように過去を懺悔しているのである。

 最後に日本の今後に関するトッド氏の言葉を抜粋してみよう。
『日本社会は、フランスよりはるかに平等的でした。技術力や教育の高さがあり、社会が一つの家族のように機能してきた。だから、格差が小さかった。今後、格差拡大が止まらないと、否定的な反応がフランスなどに比べてもはるかに大きく出る可能性があると思います』
『私の申し上げる保護主義は、生活水準の均質な欧州内での話です。日本とその周辺では、中国の人口があまりに多いし、給与水準も違いすぎる。日本は、欧州と比較できない固有の状況に基づいた解決策を模索し続けるしかありません』
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