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憲法論議はいよいよ本番に。自由な掲示板です。憲法問題以外でも、人間的な話題なら何でも大歓迎。是非ひと言 !!!

百福瞑目(めいもく) 中野寂音

2008年10月14日 18時26分13秒 | Weblog


 私の家に『百福図』の掛け軸がある。
箱書に「有福」庚辰春日 贈中野兄 浄書表装 稲葉政吉と書き込まれてある。
稲葉政吉兄は私の戦友の一人で、平成十二年に彼から贈られたものである。

 昭和二十年私は中国石家荘の陸軍部隊にいた。十二月中国から帰還した。
佐世保から引き上げ列車に乗り三日掛かって東京に着いた。
列車の中で朝から晩まで、これからの人生を語りあった戦友のひとりが
この稲葉兄であった。
東京都新宿区大京町斉藤茂吉病院のすぐ裏に住んでいた。
東京に帰ってすぐここを訪ねた。
焼け野原の地下壕の中から元気な顔が表れた。
戦後はここに家を建て生涯住んでいた。純粋な江戸っ子であった。

戦後東京近辺の戦友七名で五十年間戦友会を続けてきた。
平成七年、東京で開いた戦後五十周年の戦友会で五十年ぶりに、
秦、荒関両氏を迎えた。
北海道稚内在住の荒関氏の希望で、次回の戦友会を稚内で開くことを約束した。

 平成十年六月。五十周年戦友会を記念して、昔と同じように
夜行列車に乗って一晩中語り明かそう。
そんな思いが上野から稚内往復鉄道の旅となった。
上野駅発夜行寝台車には四名が参加、この時の稲葉兄は、
元気に昔と変わらない口調で自分の戦後五十年の物語を、
たっぷりと私達に語り聞かせた。

 稲葉兄から『百福図』のことを聞いたのは、この稚内で開いた戦友会で、
荒関氏宅を訪ねたとき、床の間の掛け軸に『百福図』があった。
稲葉兄はこの『百福図』を自分で書いて、
手作りの表装をして何枚かを知人に贈っている。
私も『百福図』をぜひ欲しいと申しいれた。

「福」は古代より吉祥文字の代表とされ、「福」を百の字体により表記した
『百福図』は古代中国から伝来、「開運招福」として珍重されている。
『百福図』は百の「福」を贈る人にも、
贈られる人にも与えることができるといわれている。
 
稲葉兄の『百福図』は、偶然から生れた。
ある日彼が雑誌を読んでいると、企業の広告に『百福図』の写真を見つけた。
企業を訪れ、『百福図』の原図が欲しいと申しいれた。
後日、原図のコピーを手にした。
それから親しい友人に自筆自表装の『百福図』を贈り続けてきた。
完成日時は予定できないが、私にも『百福図』を贈る約束が
稲葉兄と北海道で出来上がった。

平成十三年に東京で戦友会が開かれたが稲葉兄は、
自宅でケガをして出席はできず『百福図』を贈られたお礼を、
直接会ってすることができなかった。

平成十四年夏逝去の通知。享年八十歳。
我が家の『百福図』を眺めながら生前の稲葉兄に会って、
贈られた『百福図』のお礼が言いたかった。
いま悔やまれる毎日である。
贈られた百福と稲葉兄の百福を合わせて、
二百歳まで私は生きて行かなくてならないと決意した。

 福を贈り続けた稲葉兄は、百福に囲まれて
天国の階段を登っていったであろう。





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米経済の崩壊、世界の多極化②の三・・・・・田中宇の国際ニュース解説

2008年10月14日 13時06分28秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
▼米利下げでインフレと原油高騰が再燃する

 連銀による利下げはむしろ、悪影響の方が大きくなる。その一つはインフレの激化である。金融危機によって、すでにドルの信用は潜在的に大きく失われており、利下げは世界的なインフレを悪化させる。インフレの再燃は、原油や金などの相場の再上昇を招く。米経済が不況になると石油消費が減るので原油安だとの予測も出ているが、私はむしろ、利下げによるインフレから来る原油再高騰の可能性の方が大きいと考える。(関連記事)

 利下げはまた、ドル為替の急落の懸念を拡大させる。今は欧州の銀行が潰れているのでユーロ安ドル高だが、この傾向はおそらく長続きしない。中国政府の専門家である巴曙松(Ba Shusong、国務院発展研究中心)は、米政府が利下げしたらドルが急落するかもしれないので、その時に人民元が連動して下落しないよう、中国政府は人民元の為替管理を緩やかにしておくべきだとの主張を、中国の経済専門紙に載せている。(関連記事)

 中国人民元は、ドルに対する疑似ペッグを維持しているが、ドルが急落した場合、これを断ち切らざるを得なくなる。中国が疑似ペッグをやめる時は、中国が経済的な対米依存を減らすときでもある。従来の中国は、対米輸出で国内産業を成長させ、その対価として輸出代金で米国債を買い、人民元の対ドル疑似ペッグを続けてきた(中国は米から非難され05年にペッグを形だけやめて疑似ペッグにした)。しかし今、米の消費は減り、中国企業は対米輸出ではなく、内需や、他のBRIC諸国などへの輸出で儲けるようになった。米政府は財政破綻の懸念が増し、巨額の米国債を保有し続けることも危なくなった。

 今後ドルが下落したら、中国は人民元の対ドル疑似ペッグをやめて対ドル為替の大幅上昇を容認し、その代わり米国債の買い増しもせず売り逃げを目指し、米の財政破綻を看過するようになる。通貨をドルペッグしているサウジアラビアなど中東アラブ産油国(GCC6カ国)も、中国と同じ方向の動きをするだろう。

 米言論界では「米金融界の救済にはあと5000億ドルぐらい必要だが、この分を中国に米国再追加購入させ、出してもらおう」との提案が出ている。もし他の分野、たとえば軍事や政治の分野で、これまで中国を困らせてきた問題について、中国に有利な施策を米政府が採り出すなら、それと交換条件で、中国が米国債を追加購入して米政府を助けるという展開があり得るかもしれない。(関連記事)

▼米を救済しうる中国を激怒させる自滅策

 しかし今、米政府が政治軍事分野で行っていることは、むしろ中国を激怒させることである。米政府は10月3日、2001年に米議会で決定されながら7年間も凍結されてきた、台湾への65億ドルの兵器売却(パトリオット迎撃ミサイル、F16戦闘機修理部品など)を実施すると、唐突に発表した。(関連記事)

 これは米政界内の事情としてみると、同時期に決まったインドへの原子力技術の供与と同様、ブッシュ政権の任期中に兵器や核関連の商談をまとめさせようと軍事産業が米政界に圧力をかけた成果なのだろう。台湾への兵器売却は、中国側に対する若干の配慮もなされ、総額は予定(120億ドル)の半分にとどめられ、台湾側が強く求めていた潜水艦は含まれなかった。(関連記事)

 しかし中国政府は、この売却決定に激怒し、ここ何年か続けられていた米中の軍事交流(米中間の軍事ホットラインの新設計画など)をキャンセルすると米政府に通告してきた。(関連記事)

 米中関係は、ここ数年しだいに好転し、米から台湾への兵器売却についても、今年7月に米軍のキーティング太平洋軍司令官が「台湾海峡で戦争が起きる懸念は非常に低い(ので台湾には兵器を売らなくても良い)」と不売を示唆していた。中国政府はおそらく、米中関係が中国の優勢の中で好転しているので、米が台湾に兵器を売ることもないと考えていただろう。そんな中で、唐突に米政府が台湾への兵器売却を発表したので、中国政府は米政府に対する信頼が一気に崩れた。(関連記事)

 こんな風に面子を潰されても、まだ中国政府が米政府を助けるため高リスクの米国債を買い増すかどうか。中国の指導者は、表向きは反米的な言動をとらず、露骨に反米的なロシアの指導者とは全く趣が異なるが、中露を中心に作るユーラシアの安保組織「上海協力機構」では、米の単独覇権主義は世界にとって危険なものであり、世界の安定化には、中露などが欧米とは別の地域安定勢力(覇権国)として存在する多極的な国際政治体制が必要だとのコンセンサスがある。(関連記事)

 おそらく中国政府の中枢では、米政府を助けて従来の米単独覇権体制の維持に協力するか、米を助けずロシアと組んで米覇権崩壊後の多極的な世界体制作りに協力するか、どちらの道を採るか、議論が続けられている(もう結論が出ているのかもしれないが、外からはわからない)。そんな微妙な時期に、唐突な台湾への兵器売却を発表して中国を激怒させるとは、ブッシュ政権のやり方は、いつもながら自滅的であり、隠れ多極主義的である。




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米経済の崩壊、世界の多極化②の二・・・・・田中宇の国際ニュース解説

2008年10月14日 03時03分53秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
▼ドル建て融資したがらない世界の銀行

 EUは域内の自由化の結果、大手金融機関の規模が一国の範囲を超えている。そのため10月4日、EUの主要国である英仏独伊のトップが集まり、EU諸国が一つの金融救済基金を作り、救済に乗り出す案について話し合った。しかし、仏サルコジ大統領が出したこの案は、英独に拒否され、成立しなかった。(関連記事)

 この直前、10月1日には、英独仏のトップが、米のブッシュ大統領に相次いで電話をかけ、米主導の欧米協調で国際金融の建て直し戦略を開始することを呼びかけた。しかし、米は欧米協調に消極的で、しかたなく欧州諸国だけで共同の金融救済策を作ろうと4日にトップ会議を開いたが、米抜きで欧州諸国が話し合ってもまとまらず、成功しなかった(7日になって、欧州各国が独自に行う金融救済の許容範囲だけ何とか決めた)。西欧諸国は、まだ対米従属の意識が強い。(関連記事)

 アジアでは、韓国の諸銀行が、貿易決済のためのドル資金を欧米の銀行間金融市場で調達することが難しくなり、10月6日に韓国政府が支援に入った。(関連記事)

 原油高で大金持ちのはずのサウジアラビアの金融界も、ドル不足にあえいでいる。サウジの通貨リヤルは、ドルに為替連動(ペッグ)しているが、これから米連銀が利下げするとともに米政府が金融救済で財政赤字を急増させると、近いうちにドルが下がり出し、サウジ当局はペッグの持続が不能になってリヤルの切り上げ(もしくはペッグ解消)せざるを得なくなる懸念がある。そのためサウジの銀行は、下落しそうなドル建てで融資を出すことを嫌い、市場にドルが足りなくなっている。世界的に、ドルは決済通貨としての機能を全うできなくなっている。(関連記事)

▼一般企業のリスクをも背負う米連銀

 米国の金融危機は、米以外の世界の金融機関に悪影響を拡大させているだけでなく、同時に、米国内の金融以外の一般の各産業にも、資金調達難というかたちで悪影響を急拡大させている。米連銀は、金融界の次に危険なのは、しだいに資金調達が難しくなっている一般企業と、州市町などの地方政府であると考えている。たとえばカリフォルニア州は、財政破綻直前だと州知事が表明している。(関連記事)

 企業の短期資金の調達は、主にCP(手形。コマーシャル・ペーパー)を担保に銀行が金を貸すCP市場で行われてきたが、金融危機による貸し渋りで、CP市場はここ1カ月近くほとんど動きがなく、閉鎖状態だ。CPの満期は30日前後で、毎月借り換えをしないと、企業は運転資金難で倒産する。連銀がいくら米銀行界に緊急融資しても、銀行は貸し倒れを恐れ、企業に対するCP担保貸出を再開してくれない。このままでは今後2週間以内に米企業の大量倒産が起きる。(関連記事その1、その2)

 このため連銀は10月7日、銀行を介して企業に資金を供給することをあきらめ、連銀自身が企業のCPを担保に資金を融資する前代未聞の施策を開始した。これは、米当局自身が銀行業務を開始したことを意味する。米金融界では、政府が動かす連銀だけが機能し、他の民間銀行は機能不全に陥っている。機能不全は昨年から続き、しだいに拡大し、ここに来て急にひどくなった。今後、何カ月も機能不全が続くと予測される。その間、米当局(連銀と財務省)が唯一の貸し手となり、あらゆる金融リスクを米当局が背負い続けることになる。(関連記事)

 これで米経済が不況にならなければ、問題は金融界だけですむが、残念ながら、米経済の指標は、9月後半から急速に悪化している。10月3日に発表された9月の雇用統計は、失業者数が予想の10万人を大きく上回る16万人と発表され、失業が急拡大していることが明らかになった。(関連記事)

 米経済は、工業生産も急速に減り出し、消費も落ち込んでいる。これらの指標から見て、今後ひどい不況になる恐れが一気に強まった。少なくとも今後半年間は、米経済はマイナス成長になると、ゴールドマンサックスが予測している。(関連記事)

 米経済の急速な悪化を受け、連銀が景気対策として近く0・5%程度の利下げを行うことは、ほぼ確実となった。しかし利下げをしても、おそらく効果はほとんどない。利下げは、銀行から一般企業への融資の利回りを下げ、企業が金を借りて設備投資を増やしやすい状況を作り、景気減速を止めるのが目的だが、銀行が機能不全に陥っている米の現状では、利下げしても銀行は企業に金を貸すようにならない。(関連記事その1、その2)

 不況によって米企業に倒産が広がると、連銀が米企業への融資の担保として受け取っていたCPが次々と不渡りになる。米経済における最後の貸し手である連銀と財務省が、融資の担保として、民間銀行や一般企業から受け取った膨大な債券やCPの中に占める「紙くず」の割合が、今後の不況と金融危機の拡大とともに、どんどん増える。米政府の不良債権率が高まり、やがて米国債が世界の投資家に敬遠されて売れなくなり、債務不履行(財政破綻)に陥る。今のペースだと、そこまで行き着くのに1年かからないだろう。(関連記事)

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米経済の崩壊、世界の多極化②の一 ・・・・・田中宇の国際ニュース解説

2008年10月13日 22時58分59秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
★前回に引き続き「田中宇氏の国際ニュース解説」から最新解説をお伝えします。http://tanakanews.com  (ネット虫)
************************************ 

                                      10月3日、アメリカ政府による7千億ドルの金融救済案が米議会で可決され、実施が決まった。前代未聞の巨額な公金を投入して金融機関を救済する今回の政策は、投資の自己責任原則を無視しているとして一度は議会で否決され、米世論には反対の声も大きいが、これをやらなければ世界の金融システム自体が破綻するとの危機感でブッシュ政権は議会を説得し、議会が望む追加条項をつけて再提出し、ようやく可決した。だが、可決して早々、この金融救済策には大事な要素が抜け落ちているので効果が薄いとの指摘が出てきた。(関連記事)

 米金融界が抱える問題は、米住宅市況の下落によって、金融機関の大きな資産である不動産担保債券(債権)の価値が下がり、実体的な債券価格算出が難しいため、各社が持つ債券の価値の下落幅も確定しにくく、金融機関相互が疑心暗鬼となり、不動産関連以外の債権(各種融資債権、デリバティブ)にも下落が感染し、相互の貸付や一般企業への融資も貸し渋って「経済の血液」である金融の流れが止まっていることだ。今回の金融救済策は、米財務省が、金融機関が持つ下落した債券を米国債との交換などによって買い取り、金融機関の資産状況を改善して金融界の相互の疑心暗鬼を解き、金融の機能を蘇生しようというものだ。(関連記事)

 しかし困ったことに、米不動産市況は下落を続けており、来年末まで底を打ちそうもない。不動産市況が下落し続ける限り、不動産債券やその他の債権の価値も連動して下がり続ける。債券化された金融資産(レバレッジ金融)の総額は10兆ドルある。7千億ドルの公金では、米金融界が持つすべての債券を買うことはできず、米財務省は、金融界の自信再獲得に効果がありそうな部分を狙って買い上げ、弾みをつけて債券取引を蘇生する戦略だが、せっかく買い上げが効果を挙げても、翌月にはまた不動産市況が悪化し、一時的に改善した信用が、再び崩れてしまう。

 今回の金融救済策の前に、サブプライム住宅ローン破綻に対する防止策など、不動産相場の下落を抑止する政策が打たれなければ効果がない。有効な不動産の下落抑止策はほとんど採られていないので、金融救済策だけやっても問題は解決せず、税金の無駄遣いとなる。7千億ドルの救済策が発効したとたん、金融界からは「これでは足りない」という政治圧力がかかり始めた。効果が挙がる救済策には、全部で2兆ドル必要だ、いや5兆ドルだ、といった巨額の議論が出ている。債券金融の総額が10兆ドルなのだから、その不良化部分を公金で買い上げるのに、最も非効率なやり方だと総額5兆ドルかかっても不思議ではない。(関連記事その1、その2、その3)

 投資家の気持ちが昨夏以前のイケイケ状態をある程度回復し、債券に対する投資が活発化すれば成功だが、そもそもこの目標は、すでに実現不能な過去の状態だ。この20年間、新しいゲームソフトを作るように各種の債券を発明し、新市場を作って業容を急拡大してきた5大投資銀行のうち3行は潰れ、残る2行(ゴールドマンサックスなど)は投資銀行を廃業し、自分たちが昨年まで馬鹿にしていた一般の商業銀行に転身することを決め、連銀に伝えている。投資銀行の全廃は、債券を使ったレバレッジ金融の業界が大幅縮小することを意味する。

 米金融界は伝統的な10兆ドル(預金金融。表の金融システム)と、レバレッジ型の10兆ドル(債券金融。影の金融システム)で構成されている。昨夏以来の危機でレバレッジ型が全崩壊して「終わり」が宣言された。金融界は、全力でレバレッジの解消(返済、償還、清算、投資の回収)を進めている。投資銀行の廃業は、その一環である。巨額で強烈な金融収縮が起きているのだから、少なくとも今後何年かは、投資が右肩上がりに戻るとは考えにくいし、貸し渋りが起きて当然だ。担保不動産を投げ売りして投資を清算する金融機関が多く、米英などの不動産市況の悪化に拍車をかけている。(関連記事)

 1997年からのアジア金融危機の時もそうだったが、国際金融の世界では、いったん大儲けの新手法が崩壊して「終わり」が宣言されると、その後同じ手法が大々的に復活することはない。金融危機が去っても、レバレッジ型金融の規模は大幅に縮小すると予測される。米では投資銀行だけでなく、大手商業銀行も97年の規制緩和(グラス・スティーガル法改定)以来、レバレッジ金融を急拡大させており、シティグループだけで帳簿外のレバレッジが1兆ドルある。そのうち最優良のもの以外は今後、清算されねばならない。清算過程が続く限り、銀行は塩漬け的な消極姿勢をとり続ける。(関連記事)

 米国での不動産融資契約の多くは「ノンリコース型」で、債務者からの返済が滞った場合、債権者は担保の住宅を差し押さえられるだけで、債務者の他の資産を押収できない。住宅市況が悪化し、住宅の価値が借金総額より少なくなったら、ローン債務者は返済を止めて、住宅を差し押さえしてもらった方が損失が少なくなる。そのため、投資目的でローンを組んだ米国民の中には、金に余裕があるのにローン返済を止める人も多い。債権者の金融機関の損失がふくらみ、押収、競売される住宅が増えて住宅市況の悪化も進む。(関連記事)

 これらの要件が重なり、米住宅市況はしばらく回復の見込みがない。担保価値の底が抜けている状態の中で、米政府が債権を買い取って銀行を救済しようとするのは、底なしの井戸に石を投げ込んで埋めようとするようなもので、とても非効率だ。

▼金融市場は凍結、株は暴落

 米政府の救済策が持つ非効率さを、市場は察知している。救済策が成立した後、株式市場は毎日のように世界的な急落となっている。銀行間の相互不信は全く解消されず、金融システムの中心的な機能だった銀行間融資市場は、世界的にほとんど取引がない凍結状態となっている。銀行間融資市場はもう復活しないとの悲観論さえ出てきた。金融機関が資金調達する唯一の方法は、各国の中央銀行からの融資のみとなっている。

 銀行間融資市場の崩壊を受けて、米国以外の国々の金融機関も資金調達ができず、危機に陥った。ドイツ大手のハイポ不動産銀行は、アイルランドにある傘下の不動産専業銀行(Depfa Bank)が資金調達不能になって本体も破綻しかけた。9月末、独政府が国内大手銀行を集めてハイポ救済の融資体制を組もうとしたが、他の銀行は疑心暗鬼でハイポに貸したがらず、救済案は失敗した。この失敗を見た独国民はパニックになり、預金大量流出の取り付け騒ぎが起こりかけた。独政府は「国民の預金は全額補償する」と発表し、政府による新たなハイポ救済策を作り直し、金融破綻の感染拡大を何とか防いだ。(関連記事)

 イタリアやイギリス、ベルギー、アイスランドなどでも、大手銀行が資金調達に行き詰まり、取り付け騒ぎが拡大したため、政府が緊急支援に乗り出した。アイスランドの大手銀行は、英など他のEU諸国で事業を積極拡大した結果、アイスランド自身のGDPの数倍の資産を持った状態で潰れかけており、アイスランド政府が救済できるかどうかも疑われている。(関連記事)

 人口30万人のアイスランドでは、インフレと為替下落、預金取り付け騒ぎなどが起き、大変な状態だ。アイスランド政府は他の欧米諸国政府に緊急融資を求めたが断られ、破綻寸前だ。そこに登場したのがロシア政府で、ロシアがアイスランドに40億ユーロを融資する話が俎上にのぼっている。アイスランドは米英の間、北極圏に近い北大西洋上という戦略的要衝にある島国で、2006年まで米軍(NATO)の空軍基地があり、冷戦時代には米軍が北極圏方面のソ連の動きを監視していた。ロシアは、今回の融資の見返りに、06年に米軍が撤退してから空いている空軍基地にロシア軍を駐留させてくれと要求していると推測される。これが実現すると、米英は自分たちの間にある要衝の島を軍事的にロシアに取られてしまう。(関連記事)

/             (ネット虫)
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二つのサイトのご紹介  文科系

2008年10月13日 02時56分21秒 | 国内政治・経済・社会問題
田中宇(さかい)氏の1本の配信ニュース紹介が、日にちを3日先取りされて、3連載されている。12日付け投稿で、13日~15日それぞれ深夜の投稿として。この、「日にち先取り投稿」自身が以下の理由によってルール違反であり、ブログ管理者自身がこれをされるときでも今では、特別な理由があるときにそのムネを付言してしか行っていない。まず、サイト全体でも投稿目次でも「日にち先取り投稿」が真っ先に来て、新しい投稿がどれなのかわからない。つまり、古い投稿がいつもトップに来て、他を圧している感すら存在する。毎日ご自分を「真っ先に読め」と語っているかのごとくに。これは他の方々に対して失礼であろう。
次に、常連投稿者による別サイトの長大なこういう丸写しには疑問があって、僕はそのむねのコメントを送らせていただいたこともある。この種の長大な他サイト丸写しは、ブログの論調、思想に対する固定観念を生むことにもなりかねないとも危惧している。別に「天木ファン」さんもいらっしゃるようだが、これほどの長大な丸写しはかってなかったことだと思う。

僕も田中宇氏の紹介は時にやってきたが、以下、他サイト紹介はこの程度にして欲しいということで、改めて僕なりの具体的な意見に替えたい。

まず、「世に倦む日日」のことだ。作者紹介は一切触れられていないが、とにかく守備範囲が恐ろしく広く、かつリベラルなブログだと思う。作者は、多分政治学に近い関係の方ではないかと思うし、守備範囲の広さから言ってエントリーは複数で書かれているのかも知れないとも思う。読者も凄く多い。04年9月1日に始まって、さっき僕がアクセスした時点で千二百六十二万余人目と刻されていた。
この11日付のエントリーはこんな内容だった。最後だけを抜粋してちょっと説明を加えたい。
11日付投稿の題名は、以下の文章の三つのキーワードに触れられたものである。

「以上、①地銀の危機、②個人投資家、③時価総額、と三つのキーワードで10/10の東証暴落の考察を試みた。①は経済状況と政策に関わる問題であり、②は経済現象の主体の把握に関わる問題であり、③は言説と意味、すなわちイデオロギーに関わる問題である。時代の転換は範疇の意味転換を付随し、範疇すなわち視座の転換が時代の転換を媒介する。新自由主義は没落した。」

僕は上の末尾が気に入った。それを三つのキーワードで説明しているところも含めて説得力がある。世界金融崩壊とも言いうる現象を前にした時、「新自由主義経済」の総括は避けられないものと思うからだ。
ただしこのサイト、僕はこんな印象も持った。一つは、時にまた所々に、断定的な口調が目立つこと。それも非常に広範な領域の大きな問題をあっさりと断定されるから、学問的な文章ではないのは明白である。もう一つは、エキセントリックな物言い。こんなところがジャーナリスティックであって、受ける理由なのかも知れない。なお、このサイトは国際政治経済問題論者としての田中宇氏を、高く評価している。

もう一つは完全な、政治学の学問サイトを一つご紹介したい。「加藤哲郎のネチズン・カレッジ」という。名古屋大学にいたこともある現一橋大学政治学教授のサイトである。国際的にも高く評価されているリベラルな学者のサイトであって、97年8月開設、現在114万に近いアクセスになっている。学問的な専門的側面、分野は脇に置くとしても、常に時々の政治的話題にも触れられている点が、読み物としても興味深いと僕は思っている。アドレスは以下である。

http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Homef.html

なお、加藤哲郎の論文を直接読んでみたいと思われる方は次のアドレスへどうぞ。「加藤哲郎の仕事」という、政治学の、特に社会主義の歴史を踏まえた政治学の膨大な著作集である。そのサイトから直接アクセスできて、すぐに読める論文も非常に多い。

http://www.ff.iij4u.or.jp/~katote/Works.html



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テロ国家指定解除は吉か凶か?    落石

2008年10月12日 16時23分02秒 | Weblog
北朝鮮がテロ国家でなくなった。
あっという間の解除。
なにがあったのか?

世界同時株安の大恐慌の足音が
ブッシュさんに解除を決断させたのか?
アメリカで何が起こっているのか?
とにかく変化が起きていることは確か。

日本外交はある意味で、正念場。
独立国としての自主外交をするチャンス。
もっとも日本外務省が願ってきたわけではないので、
とまどっているだけかも。

拉致問題の解決にとっては良いか?悪いか?
分からない。

「日本の存続をかける気構えで対処してほしい」
と、拉致家族会の談話。
気持ちは分かるけれど、日本人全体が危うくなっては困るな、
という気持ちも・・・

外務省はどういう態度に変わるのか?
すくなくとも日本だけ強硬路線はとれない。
路線の変更を余儀なくされる。

ひとつの可能性。
戦後処理で援助をしていく。
これが北の経済発展に役立つようになれば、
北の人たちの気持ちも変わることは間違いない。

やがて自由な交流が可能になってくれば、
拉致家族が北へ渡って、肉親に会える可能性は増す。
それに何年かかるかは、予想がつかないが、
急がば回れ、のことわざが、案外、正解なのかもしれない。

外務省の方向が決まれば、やがてマスコミに世論誘導の
記事が登場するでしょうが・・・








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戦 友 会 中野寂音

2008年10月12日 12時51分53秒 | Weblog

 ある日ラジオを聞いていて、さだまさしの唄う「戦友会」を聞いた。
面白い歌詞なので調べてみた。

櫛の歯の欠けるように 仲間が減ってゆく
   戦友会に出かけた夜、おやじが呟いた
学舎でなく古の戦いの友が集う
年に一度の 思えばなんて儚い祭りだろう

 戦後の社会現象といわれ、太平洋戦争に参加した戦士達の戦友会が
日本全国で開かれていた。
戦後六十年は一つの区切りで多くの戦友会が儚く消えていった。
私の参加した二つの戦友会も消えていった
昭和二十年八月十五日中国石家荘の教育隊で終戦を迎えた。
中国から帰還の時、東京まで同行した七名で戦友会「石門会」を
今まで年に二回続けてきた。

戦後六十年はひとつの区切りとして最期の戦友会を伊豆で開いた。
もう一つの戦友会は戦後五十年経って始めて参加した。
私の原隊は三重県済宮の第七航空通信連隊である。
斉宮の部隊から昭和二十年三月末中国南京の第四航空通信部隊に転属した。
部隊のことは断片的な記憶だけで、戦友も思い出すことはなかった。
昭和二十年五月部隊に、四月入営の三十名の初年兵が到着した。
たしかどこかで見たような顔をみつけた。
声をかけて聞いてみると、私と同じ小学校の二年下、私の妹と同級で、
名前は志村という、家はすぐ近くブリキ屋の息子である。
私が小学校六年生の時、ラジオ体操の号令をかけていたのでよく覚えていた。
すぐ小学校時代を思い出した。

志村君とは同じ内務班で数ヶ月生活を共にした。
その後飛行場勤務となり部隊を離れ、
八月はじめ石家荘の教育隊に派遣となった。
思い出す第四航空通信部隊の戦友はこの志村君だけであった。
内地に帰還して東京で家も近いので訪ねてみた。
志村君は戦後区役所に勤め定年を迎えたところであった。
戦争のことは思い出したくない、軍隊はすべて忘れてしまった。
数ヶ月の初年兵生活、その後八ヶ月の過酷な収容所生活、
思い出したくないのは無理のないことであろう。
戦友会も誘われたが出たことはない。

近くに戦友の谷口君が住んでいる、谷口君から来た
戦友会の記録「二一会」の資料があると渡された。
「二一会」は第四航空通信部隊田中隊の有志が日本に帰国後、
関東と東京在住の人を中心に集まったのが始まりで、
昭和四十二年田中隊長も参加、毎年国内旅行会を続けてきた。
「二一会」のあゆみは六ページ手書きのプリント、三十周年を記念して
前野、佐伯、秋山(いずれも故人)により作成された。
斉宮入営から中国南京転属そして終戦、中国各地の収容所を経て
日本への帰還、帰国後の戦友会の記録まで簡潔に見事にまとめられ感心した。
「二一会」の戦友とは外地を含め八ヶ月間軍隊生活を共にした。
五十年前をこの記録により思い出すことができた。
「二一会」の名簿をみても思い出す人は、志村君、田中中隊長、
香田見習士官の三名だけであった。

戦後五十年を迎えたが「二一会」に出席する気はなかった。
その頃「二一会」を熱海で開くと通知があった。
別の会合予定があったが、やはり何となく懐かしく、
夜の会食にだけ参加を決心した。
平成八年七月五日熱海かんぽの宿「二一会」に参加した。
参加者は十三名であった。
五十年前の私のことを覚えている人は当然いなかった。
しかし斉宮時代の五中隊の話を出すと、参加者すべてに
五十年前の思い出がわき上がってきた。
この会では戦後中国の収容所の思い出が多かったが、
私の参加により話は一挙に斉宮時代に戻つていった。
田中中隊長は私のことは記憶になかった。
しかし斉宮から中国南京到着までの転属の詳細な話を聞くことができた。
田中中隊長は幹部候補生出身砲兵である。
満州から部隊新設のため斉宮の部隊に配属となり、
全転属部隊の輸送司令官として中国南京に着任した。
戦後語学を生かして製薬会社に就職永らくブラジル勤務で、
その後定年退職された。この後「二一会」に何回か参加。
田中中隊長の活躍の話を楽しみにしていたが、平成十四年逝去された。
戦後六十年集まる人も減り「二一会」も解散することになった。                
                  (平成十七年四月一日)

   
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今後は、シュート練習だけを!   文科系

2008年10月12日 10時41分25秒 | Weblog
「大久保らFW赤っ恥…小学生並みシュート練習」
「岡田監督激怒!FW陣がシュート外しまくり」
サッカーサイトの見出である。サンスポによるとこんな光景だったらしい。

【 屈辱的な光景だった。約1時間40分の練習を終えると、岡田監督はFW陣にMF香川を加えた8人を呼び出し、居残りシュート練習を指示。DFを1人も置かずにGKと1対1、ゴール前10メートルもない至近距離から、転がってきたボールを蹴ること20分。選手は黙々と両足を振り続けた。
(中略)
 サッカーを始めた息子にシュートの打ち方を教えるお父さん。それなら微笑ましいが、ここは日本サッカーの最高峰。シュート練習を好んだジーコ元監督ですらなかった超初歩的な内容に、選手は赤面を禁じ得なかった。】

さて本日のこの結果はどうだったか? 117本のうち76本入っただけ! 1番が玉田の15分の13、2番が大久保の14分の10。大分の森島にいたっては14本打って7本!
この記事を読んで思った。日本のサッカー界全体の『選手育成戦略』が根本的に誤っていたのではないかと。僕はサッカーもやったが、これは酷すぎる。いくらなんでも! スポーツの基礎というものの考え方が、サッカー・トップの世界ではゆがんでいたとしか思えない。

次にこんなことも思った。Jリーグチームや歴代の代表監督たちは、こういう実情も知らなくて日常の練習をやっていたのか? とも。つまり、選手の実情に対して、練習内容が合致していなかったということである。こういう実情に無意識のままで練習を重ねても、実際のゲームの緊張したシュート場面では、ミスるのが当たり前ではないか。

何か、ここに日本サッカーの点取りがだめな原因を見たような気がしたのは、僕だけだろうか? 「論語読みの論語知らず」「医者の不養生」など、一種の専門馬鹿の落とし穴と見えなくもない。それも、日本のサッカー界全体がそんな病気、誤り、考え違いに陥っていた? 多分、この選手たちも、昔はこんなことは容易にできたのに、いつの間にかできなくなっていたということなのではないか。とすると、「常に基礎に帰るべき」という鉄則を忘れていたということになる。指導者たちが忘れさせていたのだ。

日本サッカー協会の役員たちは、全員坊主になって出直すべきだ。それくらいの決意で、再出発して欲しい。こんな初歩的な、しかも暦年のサッカー界全体をおかしていたと思われる戦略的誤りがあっては、サッカー協会の役員たちは彼らの主人公である国民に対して申し訳が立たないはずである。
こんなていたらくでは、これからは絶対にこうすべきだろう。ある年のうちに一度でも、15本のうち15本決められない奴は、全日本に入れない。その上で、次が「DF1人をこんなふうに付けて」、さらには、「全速力で走り込まねば届かない状況下で」などなども試してみる。その成績のよい奴から代表レギュラーに抜擢する。こんなのは当たり前のことではないか!! 他の能力は、もうそればかり練習してきたのだろうからみんな一定水準で持っていると、分かっているようなもののはずだ。




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本日は晴天なり    中野寂音

2008年10月11日 20時27分45秒 | Weblog
                           
昔から「縁は異なもの」といわれるが、私は「本日は晴天なり」
という言葉と意外な縁がある。
私が仕事とした音の世界と最初に関わった言葉で、
いまでもこの言葉とは切っても切れない「縁」がある。
昭和十六年十二月八日太平洋戦争が始まった。
非常時で学校は十二月末繰り上げ卒業。
内定していた日本放送協会技術部に就職した。
新人社員最初の仕事が、スタジオの中で放送用マイクロホンの前に
直立不動で立って、お天気に関係なくマイクテストのため
「本日は晴天なり」と声を出すことであった。

当時の無線局は、マイクから放送系統のテストまで
すべてこの言葉で行なわれていた。
大正十四年に中央気象台が、天気予報の試験放送をした時に使われ始めた。
元はアメリカのマイクテストに使われたIt is a fine day To dayの
直訳だったらしい。
この言葉に含まれる母音や子音の明瞭度を知るためのテスト用語であったが、
日本語の「本日は晴天なり」は明瞭度の判定には意味のない言葉であった。

私たち新人社員はスタジオの中で、当時使われていた
真っ黒のベロシティマイクに向かって「本日は晴天なり」を
調整室の中からOKが出るまで、何回も唱えるのが仕事であった。
最初は声がふるえるやら、「声が小さい」「発音が悪い」
「マイクとの距離が悪い」と怒鳴られる毎日であった。
スタジオのマイクテストが出来るようになると、
今度は観客の入ったホールで舞台に登場して、
何本ものマイクに「本日は晴天なり」を何回も唱える。
時々は観客の拍手を浴びることもあり、馴れるまでには時間がかかった。
新人が入ると今度は「本日は晴天なり」を調整室の中から、
新人達に唱えさせる立場となる。

いまでもマイクに向かうと無意識に「本日は晴天なり」が出てくる。
おそらく私とは死ぬまで「縁」が切れない言葉であろう。

(中野さんの随想を随時、掲載します。  落石)




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株も心配だが「民主党」も           まもる

2008年10月11日 09時43分51秒 | 国内政治・経済・社会問題
★「進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党」というタイトルの記事を「世界の片隅でニュースを読む」http://sekakata.exblog.jp/というブログで見つけ共感したので紹介したい。

         「進む自公民談合・協力体制~インド洋給油活動延長を黙認する民主党」            昨年の今頃、国会における政局の焦点は、インド洋での海上自衛隊の給油支援活動を継続するためのテロ特措法の帰趨であった。結果は、野党が多数を占める参議院が否決したため、政府・与党は衆議院で3分の2の多数による再可決を強行し、給油活動は1年延長された。その現行法は1年時限なので、活動を継続するには再び国会で法改正しなければならない。今年もまたテロ特措法改正案を巡る攻防が臨時国会で繰り広げられるはずだった。

 ところがである。昨日の新聞各紙は、民主党が同法案の審議の短縮と早期の採決を容認し、会期内での衆院再可決が可能となったため、今国会での成立が確実になったと報じた。「民主党側は8日、改正案の委員会審議に10日に入り、同日中の採決にも応じる考えを自民党側に伝えた」(朝日新聞2008/10/08 15:08)、「民主党としては、麻生首相が成立への意欲を示す同改正案を早々と成立させることで衆院解散を促し、次期衆院選での争点となることを回避する狙いがある」(読売新聞2008/10/08 14:35)。

 要するに民主党は早く解散して欲しいので、テロ特措法改正案には形だけの反対しか行わず、早期の成立を黙認するということである。昨年は一応抵抗の姿勢を示し、対案すら提出している問題なのに(その対案には問題があるが)、今回は政局を優先して抵抗を事実上放棄するというのは公党としてどうなのか。補正予算も大した審議もせずにあっさりと賛成したが、これでは「解散してほしくば、政府・与党案に協力しろ」と迫られ、次々と妥協を繰り返しているようである。

 しかも早期解散を求める一方で「次期衆院選での争点となることを回避する狙い」とは片腹痛い。麻生政権がテロ特措法を総選挙で争点化するのならば、堂々と受けて立てばよい。アメリカ発の金融危機で対米一辺倒の外交路線の見直しが現実的課題となり、外国軍への「無料ガソリンスタンド」など行う経済的余裕が消えているという現況にあって、この問題の争点化が特段与党に有利に働くわけでもない。選挙戦略としても理解不能である。

 今回の民主党の姿勢は、結局のところインド洋給油問題を軽視し、本気で抵抗する気が最初からなく、せいぜい政局の道具として反対しているにすぎないことを実証したと言えよう。麻生首相が就任直後、真っ先に給油継続を国際公約するほど、政府・自民党はアメリカへの「忠誠」の証を示すことに躍起となっているが、民主党も政権獲得が現実味を帯びてくるにつれて、自民・公明両党と同様、ますます日米安保体制の強化という支配層主流の既定路線を邁進している。「政権交代」で自民党政治が終わると信じている人々の思いとは裏腹に、民主党の顔はすでに財界とアメリカに向いているのだ。

 ある意味今国会は、これまでも(たとえば労働契約法や宇宙基本法で)顕在化していた自公民談合・協力体制が完成しつつあると言える。どうせ解散になるから、と楽観している間に、次々と悪法の「駆け込み可決」が行われることが心配だ。すでに福田前首相が退陣表明した直後、大勢が新内閣発足直後の解散を予想する中で、弊ブログでは即時解散が望ましいが、実際には自公政権は「衆院3分の2」を簡単には手放さない、解散は先送りされると指摘したが、当時の私の予測が現実になっている。いかに野党が与党に「塩」を送ったところで、解散は首相の胸先三寸次第であり、民主党の行いは「エサ」に釣られた単なる一方的屈伏でしかない。

 こうも躊躇なく自公政権と協調できるのは、改めて総選挙後の民主党の動向に疑念を生むことにもなろう。選挙結果がどうなろうとも、参院の現況や経済情勢も考慮すると、表向きは激しい対立を装いつつ、要所では助け合う自民・公明と民主の「あ・うん」の呼吸は長らく続きそうである。

【関連リンク】
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法 - 法令データ提供システム
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H20/H20HO001.html
テロ対策海上阻止活動に対する補給支援活動の実施に関する特別措置法の一部を改正する法律案 - 衆議http://www.shugiin.go.jp/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g17005004.htmTags:
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どこまで下がる?   落石

2008年10月11日 09時25分37秒 | Weblog
株価の暴落で、13兆円の個人資産が煙と消えたとか。
およそ1割の価値が消えた。

消えた、とは良い表現ですね。
もともとあったのか?
というニュアンスがあります。

円もドルも、もとを正せば紙。
信用のうえに成り立っている世界。
江戸時代の商人は信用が第一と言っていた。

その信用をなくしたアメリカ。
実体経済にも大きな影響。
名古屋でも解雇される人たちが急増してると言います。
皆を不幸にして・・・

光あれば影。
環境度という点で、この事態を見れば
全く逆の評価でしょうね。
せめて、そう思うことにでも・・・

はやくセーフティネットを充実させることが
政治の緊急課題。
民主党はやってくれるかな?












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ウズベキスタン戦しだいで岡田監督は解任すべきだ  文科系

2008年10月10日 15時17分37秒 | スポーツ
バーレーン戦も、最後の2失点で猛烈に腹が立ったが、昨日のUAE戦は、ちょっともうこの監督に愛想が尽きた。次のウズベキスタン戦で点取り方に改善が見られなかったら、監督解任だと思う。その訳を述べてみたい。

岡田監督はいまだにFWをころころ替えているが、もうFWの人選をやっている時ではないのではないか。WC予選、同組の強敵オーストラリアに負けるとか、ウズベキスタンから点が取れないとかならば、アジアにおける日本の威信、この日本のアドバーンテッジが消えて無くなってしまうのだから。バーレーン戦の終盤2失点も、日本の威信を随分落としたはずなのだ。
監督就任後ほぼ1年経ったこんな今にして、オシムが作りかけていた「日本型集団点取りの形」(10月6日の拙稿参照)を崩してしまったそのうえに、FWの固定すらないのは、監督の確信の無さ、無能が示されていると断定するしかないのではないか。岡田のやり方が救世主FWを求め、待っているようにしか見えないのは僕だけだろうか。フランスワールドカップのアジア予選で、20歳の中田英寿が突如として現れて岡田ジャパンの救世主になったが、あれと同じ事を心待ちにでもしているように。あんなのはめったにあることではなく、中田英寿は特別な人間だ。例えば、今俊輔が騒がれているが、中田がいなかったら今の俊輔は絶対に存在し得ないと、僕は考える。
自分が預かっているチーム、メンバーは、オシム最後の時の世界30位とほぼ変わらず、10月現在32位のチームだ。そういう自覚が、一体この監督にあるのだろうか。これだけ強いチームに、昨日のあの点取り技術。この監督、選手たちに申し訳ないと言わなければならないはずだ。

点取りの主要な形がない。つまり無原則なのか、選手たちに合わない架空の点取り術を押しつけているのか、どちらかとしか思えない。こんなに無原則では、Jリーグのどこか日本人FWコンビをそのまま持ってきた方がましだ。例えば清水とか。また、名古屋のヨンセンの代わりに巻誠一郎を持ってきて、玉田と組ませ、小川(と中村俊輔)を左右MFに入れて、両サイドバックもオーバーラップする名古屋の「あの形」とか。とにかく、もうとっくにこういう点取りの形を作っていてしかるべき時なのである。そんな「形」でも、あんなUAE相手ならば3点は取るだろう。ピクシーにしても、オリベイラにしても1年も経たずにどころか、就任後間もなく「自分の点取り術」を作って見せたではないか。ちなみに、Jリーグ上位チームを見ても、日本人監督はいない。まだまだ歴史的経験の蓄積が足らないということではないか(拙稿「その3」参照)。
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何をそんなに焦るのか、民主党!!          天木ブログより

2008年10月09日 22時50分19秒 | Weblog
★ネット虫さん紹介の毎日の社説正解ですね。我が「天木ブログ」はもう少し踏み込んだ見解です。
                     (天木ファン)
*************************

・・・民主党が「早く結論を」といい、与党が「じっくり議論を」という。普段とは逆になっている・・・

 これは10月9日の読売新聞の政治記事が、解散圧力をかけている民主党を冷やかしているくだりである。

 たしかに民主党は麻生政権に解散を迫っている。

 補正予算もテロ特措法も早く片付け、麻生首相に解散先送りの口実を与えないという戦略らしい。

 なぜそんなに民主党は解散・総選挙を急いでいるのか。

 なぜ堂々と受けて立てないのか。

 解散が遠のけば選挙に不利になるというのか。そんなに自信がないのか。

 今選挙すれば勝てるからだというのか。それは本当か。

 いいだろう。今度の選挙は負けたほうが壊滅する。生き残りをかけた天下分け目の戦いだ。

 あらゆる戦略を弄するがいい。

 しかし、10月9日の読売新聞の次のくだりを読んで、私は心底失望した。

 ・・・輿石参院議員会長は8日夜、甲府市での会合で、(新テロ対策特措法改正案の)参院審議について、「一日でも一時間でも結論を出せる」と述べ、早期解散に応じる考えを強調した。「衆院選は11月中にあるだろう。補正とテロを片付け、解散させるように追い込む」とも語った・・・

 補正予算の早期成立に反対しないのは理解できる。

 経済危機に迅速に対応しなければならない。補正予算の成立を遅らせて国民の批判を買う愚をおかすべきではない。

 しかし新テロ特措法の審議はまったく別だ。急ぐ事は何もない。真剣に議論をつくし、国民の前で新テロ特措法成立を急ぐ麻生首相、公明党の誤りを追及しなければならない。

 今アフガンで何が起きているか。

 ハリリ・アフガン副大統領は、「(米国は)戦え、戦え、というが、受け入れられない。戦闘だけでは永遠に勝てない」と述べ、タリバンとの和解交渉を行なっている事を明らかにしたという(10月8日毎日)。

 米国、NATOに何が起きているか。

 マレン米統合参謀本部議長が「(アフガンとの戦いで)勝っているとの確信が持てない」と9月10日の下院公聴会ではじめて証言し(10月5日読売、「政なび」もうひとつの悪夢、飯塚恵子政治部次長)、これに呼応するかのように駐アフガン英軍司令官も、「この戦いには勝てない」と発言した。国連のアフガン支援ミッション代表が6日、「結果を出すには対話以外にない」と語り(8日毎日)、ゲーツ米国防長官も同じ日の6日に、「問題解決のカギはアフガンの人々の和解にある」と述べ始めた(同毎日)。

 アフガンのテロを追ってパキスタン領内に侵入して攻撃した米軍とパキスタン軍との間で戦闘が行なわれるまでに至っているのだ。

 そんな中でテロ給油は国際貢献だと叫び続ける麻生政権の愚を国会で徹底的に追及すべきではないのか。

 一時間で結論が出せる、と言い放った輿石民主党代表代行は何を考えているのか。

 民主党よ、何をそんなに焦っているのか。

 堂々と構えよ。堂々と構えて麻生政権を迎え撃てばいいのだ。

 そんな事で、政権を取った後、どうして日本を正しく導いていけるというのか。

 

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マトモナ毎日の社説「給油延長問題 解散の駆け引きに使うな」       ネット虫

2008年10月09日 21時53分59秒 | Weblog
 来年1月に期限が切れる海上自衛隊のインド洋での米艦船などに対する給油活動を1年間延長するための新テロ対策特措法改正案が今国会で成立する見通しが強まった。法案に反対している民主党が、早期の採決を容認する考えを明確にしたためである。野党が多数を占める参院では否決されるが、自民、公明両党が衆院の「3分の2」による再可決に踏み切るとみられている。

 民主党は8日、本会議の趣旨説明と質疑を省略してテロ対策特別委員会に付託するよう主張した。早期の成立を認める姿勢である。自民党に「特別委の審議は1日でいい」と伝える場面もあったという。

 麻生太郎首相や自民党が審議に時間を費やし、衆院解散を先延ばしする口実にするのを避けたいという考えなのだろう。早期解散の環境整備が狙いである。

 私たちは麻生政権に早期の解散を求めている。しかし、これでは、法案の内容より政局対応を優先する本末転倒の態度ではないか。民主党は昨年来、給油活動に反対し、対案としてアフガニスタン本土での支援活動を中心とする「テロ根絶法案」を国会提出して今国会に引き継がれている。

 政府の法案の成立を事実上、容認するのではなく、政府案と対案の論点を国民に提示し、有権者の信を問うよう求めるのが筋だ。

 アフガン本土の治安が悪化し、民主党の主張する本土での活動には現実性がないとの指摘がある。今、アフガン支援策の論争をするのは得策でない--早期採決の主張の背景にはそんな判断があるのでは、とみられても仕方ないだろう。

 一方、自民党は総選挙をにらみ、アフガン支援策を民主党攻撃の材料の一つにする考えで、こちらも「テロとの戦い」を政局の材料にする姿勢と言えよう。総選挙前の「3分の2」による再可決に反対姿勢だった公明党が再可決賛成の立場に変わったとされる経緯も国民にはわかりにくい。

 衆参両院の意思が食い違い、与野党が鋭く対立してきた給油活動を延長する法案が、解散時期をめぐる政局に翻弄(ほんろう)されるのは本来の姿ではない。総選挙で国民の信任を得た新政権の下で、新たな与野党が政局的な対応抜きに合意を追求すべきである。与野党に、テロ対策を解散の駆け引きの材料とする姿勢を改め、総選挙で決着をつける争点の一つにするよう求めたい。

 また、政府の法案に注文しておきたい。私たちは、自衛隊の海外派遣のための法案には、シビリアンコントロールの確立を実現するため、「国会承認」は不可欠であると繰り返し求めてきた。ところが、法案は新テロ対策特措法の内容をそのまま引き継ぎ、国会承認が盛り込まれていない。これは重大な欠陥である。旧テロ対策特措法にあった国会承認を復活すべきである。

毎日新聞 2008年10月9日 0時05分

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ノーベル物理学賞:反戦語る気骨の平和主義者…益川さん          まもる

2008年10月09日 17時18分48秒 | 国内政治・経済・社会問題
★今回のノーベル賞受賞者の報道の中で色々な事を考えさせられたが、毎日新聞の奥野敦史記者の記事が目を引いたので紹介したい。

***********************************

★ ノーベル物理学賞を受賞した益川敏英・京都産業大教授(68)。穏やかでちゃめっ気のある益川さんだが、「反戦」を語る気骨の平和主義者でもある。

 作家の大江健三郎さんらが作った「九条の会」に連動し、05年3月、「『九条の会』のアピールを広げる科学者・研究者の会」が発足した。益川さんは呼びかけ人の1人だ。同時期に誕生したNPO法人「京都自由大学」では初代学長に就任し、市民の中に飛び込んで平和を語った。

 原点は幼少期の体験にある。益川さんは名古屋市に生まれた。小学校入学前、第二次世界大戦を体験し、焼夷(しょうい)弾が自宅の屋根を突き抜けた。「不発だったが、周囲はみな燃えた。両親はリヤカーに荷物を積んで逃げまどった。あの思いを子孫にさせたくない」と言う。

 05年、自民党が憲法改正に向けた要綱をまとめた。中国で反日デモが相次ぎ、JR福知山線事故が発生した。平和と命の重みが揺らいだ。当時、益川さんは「小中学生は憲法9条を読んで自衛隊を海外に派遣できるなんて考えない。だが、政府は自衛隊をイラクに派遣し、更に自衛隊の活動範囲を広げるために改憲を目指す。日本を戦争のできる国にしたいわけだ。僕はそんな流れを許容できない」と猛然と語った。

 1955年、アインシュタインら科学者11人が核兵器廃絶を求め「ラッセル・アインシュタイン宣言」に署名した。その1人が益川さんが尊敬する日本人初のノーベル賞受賞者、湯川秀樹博士だ。「湯川先生の原動力は核で人類が滅ぶ恐怖だったと思う。僕はより身近に、一人一人の今の生活を守りたい。その実現に、戦争はプラスですかと問いたい。殺されたって戦争は嫌だ。もっと嫌なのは自分が殺す側に回ることだ」と強調する。

 受賞から一夜明け、「専門外の社会的問題も考えなければいい科学者になれない。僕たちはそう学んできた」と力を込めた。【奥野敦史】

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