Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

レオポルド・ストコフスキ

2007-06-20 17:48:40 | 新音律
なにかのはずみで,演奏に多少人工的に「ゆらぎ」を加えれば,オーケストラのバイオリンセクションは2-3人でよいはずという話題になった.しかしこのアイデアはストコフスキが企画したが,組合の反対であえなくつぶれたのではなかったか.

ストコフスキ(1882-1977)という指揮者はほとんど忘れ去られた感がある.生まれるのが50から100年は早すぎたのだろう.
亡くなった叔父が酔っぱらうと,オーケストラの少女という映画の中の,「すっとこ」のまねをしたのを思い出す.
アメリカにいたころ,カーネギーホールでアメリカ交響楽団というのを指揮すると言うので見に行った.聞きに行ったとは言い難い.演奏そのものはあまり記憶にないが,聴衆の熱狂ぶりは覚えている.アメリカでは少なくとも日本より評価されていた (いる?) らしい.

ストコフスキのショーマン的な側面はカラヤンにうけつがれた.
現代の指揮者たちがまねできないのは (まねすると発想する指揮者がいるとも思えないが),スコアをいじくることだ.ストコフスキはもともとはオルガン奏者で,バッハのオルガン曲を管弦楽に編曲している.これはジャック・ルーシェやMJQとおなじノリだったのではないか.
バッハにとどまらず,ロマン派以降の交響曲でもなんでも,管弦楽でやれば効果が上がるように編曲しちゃう.このために批評家や音楽学者にくそみそにいわれた.でも,ストコフスキはジャズを演奏するようにクラシックを指揮したのではないか.ジャズのばあい作曲者の意向など演る方も聴く方も気にしない.曲は題材にすぎない.それはストコフスキにとってもおなじこと,とまでは行かないとしても,似たようなことだろう.

一流交響楽団の指揮者だったから,ベートーベンも指揮したが,あまり熱心ではなかったようで,もっぱらいじくりがいのある曲を好んで指揮したらしい.そう思わないとディスコグラフィに一貫性がない.

彼はテクノロジーも先取りしていた.ディズニー映画「ファンタジア」のサントラは初めてのステレオ録音だったという.晩年は録音をリミックスすることもあったらしい.ビートルズが好きと言ったと新聞で読んだ記憶もある.
今生きていれば,電気楽器も使用しているかもしれない.

現在のオーケストラの楽器配置は彼が始めたものだし,ストコフスキによって初演された現代音楽も多いと聞いている.彼が再評価されることを望みたい.
参考 ポール・ロビンソン 横山一雄訳「音の魔術師 ストコフスキー」音楽之友社 (1978).

コメント (2)
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