Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

13 世紀インドのフルート 試作の顛末

2007-06-16 11:19:26 | 新音律
O崎先生の図面から復元した13 世紀インドの笛.図は大中小と3本作ったうちの小だが,素人では3本のどれも鳴らない.
図面では,笛の両端がオープン.こんな笛は見たことがないと,O崎先生は吹き口側に粘土を詰めたり,いろいろ試されたが要領を得ない.

そこでジャズ研OBのフルート奏者K・O田氏に吹いていただいた.すんなりとは行かなかったが,いちばん小さいのは鳴りました.両端が開いていても鳴るのは物理の予測通り.塞いだときと音程が変わるが,その計算法は分からない.

指穴が大きすぎて,指先で押さえたのでは完全にふさがらない.O田氏の推測で指の途中で押さえるのだろうということになった.
吹き口が横に長すぎる.これを塞いで短くすると良く鳴る.O崎先生曰く,文献では長さの単位が「麦腹」となっており,1 麦腹を4mmとしたのが長すぎたかもしれない,太田氏曰く,でも4mmを3.3mmにしてもやっぱり長すぎる.

O崎先生の予想では大中小は5度間隔とのことだが,大きい方の 2本 は鳴らない.そもそも操作が困難.笛に大中小があっても指穴・吹き口の大きさは同じはずとO田氏はおっしゃる.しかし文献では大きい笛では穴も大きいから,試作もそうなっているのだ.また,O田氏は音を出すには笛の管自体も振動することが必要であり,材質が良くないのではと指摘された.安直にアクリルで作ったのはまずかったか!

図のように指穴は等間隔.とにかくこれで小さい笛の音階の周波数をはかった.
一番下のはこのときのソノグラムで,これからいちばん強い線スペクトルの周波数を読み取ると,左から
2290(以下,単位はHz),1981,1731,1524,1352,1223.
となった.低い方の 2 音は出なかった.

データを放物線に回帰すると第7音は 1144Hz となるはず.これの4度上は1525Hz,5度上は1716Hzとなり,測定データ中の1524,1731Hz とまあまあ合う! とO崎先生はお喜び.ほとんどの民族音楽の音階は4度と5度を含むのです.

ところで,これを大学の図書館のベランダで議論していたら,そばで聞いていたのが偶然フルートを吹く学生さん(?)で,輪に加わって,ああだこうだといって下さつた,楽しかった.
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