Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ジム・ホールの不協和音

2008-12-01 10:36:57 | 新音律
(この項は思いつきの域にありますので,後から書きなおすかもしれません)

JazzLife を立ち読みしたらジム・ホールのことがたくさん書いてあった.以下は彼の独特な音色に関する考察.

このふたつのグラフの上のほうは,彼のアルバムThree中のSkylarkの最初のA音のスペクトル.
下のグラフはピアノのC音のスペクトルを2オクターブ毎に示したもので,C4が中央のCである.横軸は1000Hz毎に字がふってあり,縦軸の目盛は20dB.
両者を比べると,上では2番目のピークは最大ピークに比べ40dB近く低い.音量でいえば1/100位しかない.ジム・ホーム音は単一ピーク,音叉の音に近いのだ.この音はハーモニクス奏法かとも思ったが,この曲では単音はどれも似たようなスペクトルである.
いっぽうこれと音高が近いピアノのC4音のスペクトルを下の図で見ると,最大音の音量の数十%にせまるピークが林立している.

ビアノ.ギターなどの音源は弦の振動であって,弾いた音の他に2倍音3倍音...が豊富に発生する.ドミソが響くのはドの3倍音,5倍音がそれぞれソ・ミの倍音と一致するからである.
では,倍音を含まない音を重ねたら何の感興も生じないだろうか.倍音がない音.単一スペクトルの音をいくつか組み合わせたらどう感じられるかという問題である.上記理論から類推すると,協和音も不協和音もないのではないか?

この答がジム・ホールの和音だ...といいたいのだが,どうだろう.ジム・ホールの弾く和音(コード)は上のような単一スペクトル音の組み合わせだ.彼の和音は,純粋に,とびとびの音を一緒にならして,われわれに聞かせてくれているのだ.

こう書いてしまうと,ジム・ホールも電子音も同じということになってしまう.しかしジム・ホールの演奏は電子音とは違う暖かさを感じさせる.これはなぜかというのは,もっと高度な問題だ.
高調波を殺した音色作りは彼のテクニックだろう.さらに彼は,単一スペクトル音だけでなく,いろいろな音色を駆使している.
コメント
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