Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

江戸時代のロビンソン

2009-10-22 08:39:02 | 読書
岩尾 龍太郎 「江戸時代のロビンソン―七つの漂流譚 」新潮文庫 (2009/09)

*****内容(「BOOK」データベースより)*****
大黒屋光太夫、土佐の長平、尾張の重吉―鎖国下の江戸時代に不慮の海難事故に遭って漂流しながら、旺盛な生命力で、奇跡の生還を果たした船乗りたちがいる。『ロビンソン・クルーソー』研究で知られる著者が、彼らの肉声をもとにした詳細な記録を読み解き、それら漂流譚から七人を選んで、江戸時代の漂流者たちの壮絶なサバイバル物語と異文化体験を紹介する。付・江戸時代漂流年表。
**********

江戸時代の和船は頑丈だったが,航行技術は世界にはるかに遅れていた.最悪の場合は帆柱を切り倒すので,転覆をまぬがれたとしても後は波の行くままである.その結果幾多の漂流譚があったのに,鎖国政策に隠れてしまったという.

本書は二部に分かれていて,第1は孤島に流れ着いて孤独な生活を余儀なくされる「ロビンソン型」.特に13年間鳥島に暮らし,ついには漂着した木材を組み立てた舟で日本に帰るという,土佐の長平の話がすごい.鳥島は漂流のターミナルらしく,20年生活した例もあり,ロビンソンなんか目じゃないのだ.
第2は異国に流れ着いて異文化との接触を余儀なくされる「ガリバー型」.「船長(ふなおさ)日記」のように,太平洋を横断してしまった例さえある.

記述は格調高く,現代の基準からすれば美文調.漂民に対する著者の深い共感が感じられる.

原資料からの引用が迫力を増しているが,正直言って読みづらい.高校の古文に比べれば平易なのだが,悲しいかな 英語よりハードルが高くなってしまった
...などと言うと,著者に怒られそうな,まじめな本.
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

reading

/Users/ogataatsushi/Desktop/d291abed711d558e554bf7af66ee57d7.jpg