Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

にわか産婆・漱石

2009-12-03 08:12:15 | 読書
二人展では,初日とジャズをやった日以外は閑古鳥が鳴いた.もっぱら iPod を聞きながら文庫本を読んでいた.

篠田達明「にわか産婆・漱石」新人物文庫 (2009/11) は計5編の短編集.解説 (斉藤磐根) の言うように「部位こそ異なるがどれも身体を扱っていて」「いずれも医学またはそれに関わる行為や人材を題材にしている」ことである.著者は医者でもあるらしい.しかしこのようにくくると,最後の森鴎外が主人公の作品はやや異質,

表題作は漱石が赤ん坊をとりあげたという有名なエピソードが題材.部分的に胎児の視点で描かれる.漱石と夫人の会話が良い.作者すなわち男性による記述がどの程度的を射ているか,女性の感想が聞きたくなる小説.
歴史文学賞受賞作だそうだが,ちょっと「歴史文学」なるものを矮小化しているんじゃないの? イグ歴史文学賞が適当かと.

ぼく的評価ではこの表題作がいちばん良い.他の作品では入れ歯,義足などがテーマとなる.少々悪趣味と感じる向きもあるかも.筆致も大衆小説的で,一気に一冊読むのはちょっと辛い.直木賞 4 回落選もむべなるかな?
コメント
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