近藤史恵「ヴァン・ショーをあなたに」東京創元社 (2008/06).
誰も借りたことがないのか,汚れていないという理由で,ぼくは図書館で借りたのだが,収穫だった.ビストロのやとわれシェフが探偵役.「創元クライム・クラブ」の一冊だが,クライム=犯罪らしきものは起こらず,もっぱら「日常の謎」がテーマ.謎の鍵はもっぱら料理に関連している.タイトルにも「ヴァン・ショー」「スキレット」「ピストゥ」...とそれらしいカタカナが並んでいる.
シリーズ2作目らしいが,よくまあネタがつきないものだ.このように謎が解けるのかどうか,ほんとうのところは専門のシェフにでも聞かないと分からないが,読者が納得すれば小説としてはOKだ.
ただし「スキレット」の話はちょっと無理.「天空の泉」が一番良いが料理そのものを扱ってはいない.
もっぱら一人称で語られるが,語り手は一定していない...と書いてしまうのは良くないかな.
カットは表紙ではなく扉のイラスト.テーブル掛けを広げているところを紹介したかった.目次はメニューみたい.ブックデザインは緒方修一,カバーイラスト・デザインは谷山彩子・本山木犀とある.
作家・近藤史恵のデビュー作「凍える島」は好印象であったが,中身は全然覚えていない.
ヴァン・ショーはホットワインのこと.寝る前に飲んでみようか.