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人は原子、世界は物理法則で動く

2010-04-01 08:42:10 | 読書
マーク ブキャナン, 阪本 芳久 訳「人は原子、世界は物理法則で動く - 社会物理学で読み解く人間行動」白揚社 (2009/06)

出版社/著者からの内容紹介*****
人間を原子と考えると、世界はこんなにわかりやすい!
金融市場の推移を予測できる経済学者はひとりもいなかったが、物理学者であれば、それがある程度まで可能になるかもしれない、と本書の著者、マーク・ブキャナンは言います。
つまり、社会を物理学的な視点で眺め、人間を「原子」と見立てるのならば、そのような社会的な難問の解決の糸口が見つかるかもしれない、というのです。

本書ではまた、人種差別や少子化の原因、金持ちがますます豊かになる理由など、さまざまな問題に隠された驚くべき事実も明らかにします。

大ヒット作『複雑な世界、単純な法則』(草思社)の著者が贈る,世界観が変わること間違いなしの話題の書です。
*****

肉体は原子分子からできているのだから,人間も,人間が構成する人間社会すなわち世界も,物理法則に従って動くのは当然だ.しかし著者の主張はそうではない.人間イコール原子と見なし,原子の集合に物理法則を適用しようと言うのだ.原題 The Social Atom が内容を的確に表している.

著者の提唱するのは「社会物理学」というものだが,著者のいう物理法則とは,純粋物理とは異なり,情報工学や制御工学と心理学をミックスさせて導く行動パターンの法則のことらしい.全9章のうち,3-7章で語られるのは,人間は理性ではなく直感に従い(3章),学習し(4章),模倣し(5章),強調し(6章),集団としては排他的(7章)ということである.これらの特性のあるものは矛盾するから,一筋縄では行かない.
要するに「こういう見方も出来る」ということかな.

現代の経済学は,人間は理性に従うというぜんていに立っているから役に立たないのだそうだ.
アメリカの本の例にもれず,例証が豊富なのは良いが,夾雑記述が多いとも言える.日本の新書本は内容分量とも貧弱だが,すっきりしていると言えるかも.
コメント
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