Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

バイオリニストに花束を

2010-10-01 07:56:48 | 読書
鶴我 裕子著,中央公論新社 (2010/04).

大学図書館で借用.著者は N 響 (この本では N 狂あるいは,カイシャ) のバイオリニストだったが,3 年前に定年退職したらしい.いじわるばあさんが,サービスにすこし愛嬌をまじえて勝手なことを言うのだから,面白くないわけがない.

2-5 ページのエッセイ集だが,演奏家見ならい記(1),N 響というカイシャ(2),外国ツァー・アラモード(3),オーケストラのゲストたち(4),定年までのカウントダウン(5) と分かれている.

(2) で解るのは,著者がコンバスすなわちコントラバスが嫌いなこと (カイシャの楽器とは知らなかった!),バイオリニストは歯が駄目になること,コンマス (コンサートマスター) の隣は地獄であること,など.いちばん印象に残るのは N 狂とは無関係な老母の看護のことである.
(3) はびーた (旅) のこと.このような逆さ読みはジャズ屋のやることと思っていたが,クラシックのほうが先らしい.この項では比較的内容が辛辣でない.
(4) では名演奏家・名歌手-らしい人たち-が次々と登場するが,知らない人ばかり.むしろ一般人のワタクシには,前の章の「オーケストラのポピュラー仕事」に登場する,五木ひろし等のほうが理解出来た.
(5) 退職する「バイオリニストに 花束を」くれたのは,トイレ掃除のおばちゃんというのが,ちょっと良い話.著者も「N 響のトイレはどこよりもきれいな部屋だった」と感激している.コンサートで初めて客席に座り「ひじかけの攻防」というものがあることを知る...新幹線だって,ひじかけの攻防はあるのにね.

すぐに読めてしまった.
同じ著者の第一エッセイ集「バイオリニストは目が赤い」も,新潮文庫に入っている.でも 一冊読んだからもういいや.
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