皆川博子,文春文庫(2013/12).
Amazon の BOOKデータベースより*****
戦前の日本。大きな庭のある裕福な家庭に育った久緒は、あるとき怪我を負って苦悶する植木職人・葉次の姿を見て、自分が苦しみや傷に惹かれる「外道」であることを知る―。特異な感覚を抱きながら昭和を生きた女性の生涯を描いた表題作など、彼岸と此岸、過去と未来を自在に往還する傑作短編全七編を収録。*****
皆川さんは自分より十歳も年上だが,すごい創作エネルギーだ.長編は重厚長大で上等だけれど,読んで明るく楽しいわけではないと知っているので,なかなか手が出ない.そこへ行くと短編は敷居が低い.今度もある種の「嫌な感じ」が気軽に楽しめた.
30 年前の「愛と髑髏と」はショートショートと言いたいくらい短いのもあったが,こちらは普通に長い短編集.初出はすべてオール讀物だが,純文学っぽい感じもする.
設定はすべて戦中戦後で,登場する少年少女は当時の著者と重なるようだ.たいていの場合,年頃の男性は戦争に行って帰ってこないのだが,時代劇の「お約束」のようにで悲劇性は感じない.
表題作の表題の「外道」に違和感を感じたが,言葉の意味をはっきり理解していなかったのかもしれない.
別の短編で,登場しない登場人物を「巻鶴トサカ」と命名するあたりも何とも言えない.ただしトサカは本名ではない.
関係ないが,著者のデビュー作は児童文学「海と十字架」.図書館で借用して読んだみたことは覚えているのだが (大人になってからです) ,内容は忘れてしまった.
Amazon の BOOKデータベースより*****
戦前の日本。大きな庭のある裕福な家庭に育った久緒は、あるとき怪我を負って苦悶する植木職人・葉次の姿を見て、自分が苦しみや傷に惹かれる「外道」であることを知る―。特異な感覚を抱きながら昭和を生きた女性の生涯を描いた表題作など、彼岸と此岸、過去と未来を自在に往還する傑作短編全七編を収録。*****
皆川さんは自分より十歳も年上だが,すごい創作エネルギーだ.長編は重厚長大で上等だけれど,読んで明るく楽しいわけではないと知っているので,なかなか手が出ない.そこへ行くと短編は敷居が低い.今度もある種の「嫌な感じ」が気軽に楽しめた.
30 年前の「愛と髑髏と」はショートショートと言いたいくらい短いのもあったが,こちらは普通に長い短編集.初出はすべてオール讀物だが,純文学っぽい感じもする.
設定はすべて戦中戦後で,登場する少年少女は当時の著者と重なるようだ.たいていの場合,年頃の男性は戦争に行って帰ってこないのだが,時代劇の「お約束」のようにで悲劇性は感じない.
表題作の表題の「外道」に違和感を感じたが,言葉の意味をはっきり理解していなかったのかもしれない.
別の短編で,登場しない登場人物を「巻鶴トサカ」と命名するあたりも何とも言えない.ただしトサカは本名ではない.
関係ないが,著者のデビュー作は児童文学「海と十字架」.図書館で借用して読んだみたことは覚えているのだが (大人になってからです) ,内容は忘れてしまった.