Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

調性音楽を読む本

2015-09-28 07:52:12 | 新音律
アンリ・ゴナール,藤田茂 訳「理論・方法・分析から 調性音楽を読む本」音楽之友社 (2015/8).

出版社による内容紹介
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フランスの学問的伝統に立ち、「調性音楽とは何か」を読者とともに見つめ直す思索の書。これから調性音楽の思索に入ろうとする者が、是非、知っておくべき基本的事項(音程と協和、長調と短調等々)が綿密に再検討され、そうした知識を踏まえ、ベートーヴェン、ショパン、シューマンの楽曲について、論理的・分析的探求がスリリングに展開される。読者は本書を通じて、感覚的理解と知的理解が橋渡しされる特権的な場所としての音楽、そしてそれを可能にする音楽の理論的・分析的考察の重要性を再認識するであろう。かのデカルトを生んだ国の著者ならではの、「数字付け」の規則の明晰な説明、反行短調から見た「ナポリの六」の斬新な解釈など、読みどころ満載。わたしたちにとって最もありふれた音楽でもある調性音楽を正面から取り上げた本として、音楽に関心のあるすべてのかたに自信をもってお勧めする。
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ラモー以前は理論が先行していたが,ラモー以降は理論が実践を追いかけた,とか...
調性の存在自体が問題視されるに至ってはじめて理論も活性化した,とか...
シェーンベルクの無調音楽は調性を破壊したと見ることができるが,調性を拡大・拡張したものと見ることができる,とか...

こうした指摘が「ご高説」にとどまらず,(ある程度だが) 楽譜とともに説明されている.名曲も登場するので,Youtube で楽再生しながら,行きつ戻りつして読める.

あとがきにも書いてあるように,原題 Introduction a la musique tonale を直訳すれば「調性音楽入門」だが「...を読む本」は名訳だ.

ジャズの人はこういう理屈が好きだ.しかし感じるのは,ジャズと正統音楽との言葉の違い.ちゃんと音楽を勉強してからジャズに入った人には問題ないが,そうでない人のためにジャズ語に本書を「翻案」し,ついでに楽譜もスタンダードで置き換えたら,読者層が広がるのに.
コメント
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