Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

心拍メトロノーム 予備実験 I

2015-09-03 11:51:10 | 科学


1年ほど前,音楽のテンポと心拍に関係があるのではないかと思った.そのときは心音をアンプしてメトロノームとして演奏することを考えたが,まず,ひとりでできることはないかと考え,外部から与えられるテンポに合わせビブラフォンを演奏し,そのときの心拍数の時間変化を測定してみた.

心拍の測定に karadafit Heart を購入した.大枚約 4000 円を投じた...とは言えウェブを漁った範囲ではいちばん安かったのだ.素肌の胸に2枚の電極をベルトで密着・固定する.電極間の微小電流を拾うのだと思うが,原理はどこにも書いてない.bluetooth 経由で iPhone で操作・表示する.

テンポは楽譜上では 4分音符=120 などと表示されるが「体感」されるのは,フォービートでは1拍目と3拍目 (あるいは2拍目4拍目), ワルツでは小節の頭であろう.とりあえずビートルズのワルツ Norwegian Wood を選び,4分音符=160, 200, 240 で演奏してみた.小節周波数はそれぞれ毎分 53, 67, 80 である.伴奏には Band-In-A-Box を用いた.

結果は冒頭の図だが, iPhone の画面に出るのは線で結んだ赤いグラフだけで,縦横軸・グリッド・目盛りは PC から書き込んだ.心拍数は5秒に1回の割合で書き換えられるらしい.両方向の矢印で示した区間で演奏した.slow, medium, fast が小節周波数 53, 67, 80 に対応する.平常時の心拍数も安定しない.これをそれなりにちゃんと測定しなかったのが失敗だが,73 くらいと思う *.

演奏の前後には緑の矢印で示したように心拍数にピークが現れる.これは個人的な特徴かもしれない.演奏のインターバルは1分で,ここで PC を座って操作したが,こうした動作も心拍に影響しているようだ.

ちゃんと計算するには,グラフを数値化しなければならないのだが,ざっと眺めたところではテンポ fast medium slow に対応した心拍数は前後のピークを除けば 77, 76, 75 というところだろう.テンポによる差は微妙だがとにかく有意な正の相関は認められる.またテンポが早いと心拍数自体の変化,静的な定義では「分散」も大きいようだ.
心拍数がテンポに「引き込まれる」という現象はこの実験では認められない.

以下は考察.
1) 自分すなわち 74 歳を被験者として採ったデータが標準的ではないかもしれない.感性が鈍くなってして,心理から生理への伝達がうまく行っていない可能性大である.最近は飲んでから酔うまでが長い!
2) 実際のバンド演奏と違い,Band-In-A-Box に合わせるのではイマイチ心が弾まない.自然界で観察される現象,蛍の一斉点滅や蛙の合唱などには群集心理 (のようなもの) が作用しているのかもしれないが,計算機相手はやはりつまらない.
3) もっと演奏時間もインターバルも長くしたほうが安定したデータが採れそうだ *.
4) 「テンポが早ければ肉体的に負担が大きいから心拍が早くなる」とは断言できない.この奏者の場合,手数すなわち演奏を楽譜化したときのオタマジャクシの数は,テンポが早ければ多いとは限らない.テンポが早ければ単純な演奏だが,遅いと余裕が生じていろいろなことをする傾向があるからだ.これをはっきりさせるには演奏自体を録音すればよいのだが,iPhone が一つしかない.
5) 心拍の測定結果を数値データとして残す方策が必要.PlotDigitizer というアプリを試みたが,PC 画面でいちいち測定点をぽちらなければならないので,嫌になった.Bluetooth の生データは数値だから,自分でアプリを作れればいいのだが...


追記
(* マーク箇所に関連して) インターバルを2分にして同じことをやってみた.何もしないと心拍数は slow のときに比べて 4-5 低くなる.ここに掲載したグラフのデータを採ったときは 70-71 と思う.
肉体的な負荷の小さい電子キーボードなどでは別かもしれないが,直感的には心拍より遅いテンポで演奏すると心拍が遅くなるということはありえないように思う.
コメント
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