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吉永 南央「名もなき花の 紅雲町珈琲屋こよみ」 文春文庫 (2014/7/10).
シリーズ第1作「萩を揺らす雨」を読んだことをテレビ化されたときに思い出した.つい先日読んだ「青い翅」も悪くなかった.そこで「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズからもう一冊を図書館で借用.
近頃流行りの,一話完結とは言いかねるがいちおうは連作のような形式.なんとなく最後まで読んでしまった.長月・霜月・睦月...がタイトルに含まれて一年分.お草さん (探偵役のおばあさん) もひとつ歳を取ってしまったわけだ.
年寄りはいろいろ思い出すが,それはたいてい思い出したくないことばかり...ということを,よくわかっているな,と思う.著者は 50 際くらいらしい.
後半になってから,三十過ぎのカップルの訳ありの恋愛模様にお草さんがやきもきし,それに絡まって過去の,円空仏に関連する論文不正事件にストーリーが収束する.著者は部美学美術史学科卒業だそうだ.しかし現実の理工系の不正事件のようにわかりやすくない.
ちょっとミステリの味がする小説という読後感.
コーヒーの入れ方を伝授する場面があった.まず手動ミルの汚れをチェックするのだが,挽き方の細かさの設定 (チェック) はいいのかな?