佐々木豊「画風泥棒 - 12人のアーティストの場合」芸術新聞社 (1999/12).
内容(「BOOK」データベースより)*****
天才画家なりとも、その画風は別の作家から“失敬”している。要は「いかに自分のものにするか」…。現代洋画界の異才・佐々木豊が、自らを含めた12人のアーティストの他から盗み、それを画風に生かしていった過程に迫る!佐々木流“泥棒のススメ”。*****
タイトルが面白いので古書で購入.前著「泥棒美術学校」芸術新聞社 (1993/12)が売れたので二匹目の泥鰌を狙ったらしい.
しかし取り上げられた 12 人はみな著者のお仲間らしい.多少からかい気味だが,全員を褒めまくっている.楽屋落ちといいたいが,知らないことがたくさん書いてあって,門外漢にはそれなりに面白い.職業画家が読んだら面白くないかも.
教わったのは中学の図工が最後で,絵というのは目の前の花瓶の花や風景を写すものと思っていた.でも J 子のやっていることを見ると,それは古いらしい.
この本のトップに登場する池田満寿夫は,高校生のとき,松本竣介から構図をとってコンクールに入選した.「ぼくは自然から授かったものはひとつもない.みんな先人の絵から」は池田の言だが,「上高地にイーゼルを立てて穂高を仰ぐ仲間たちがさぞや馬鹿に見えたことだろう」という著者=佐々木の文章が続く.
もちろん泥棒のやり方は画家によって異なり,池田は一方の旗頭というところ.
目次は.
池田満寿夫vsピカソ, 金子国義vsバルテュス,わたなべゆうvsラスコーの洞窟画,遠藤彰子vsボス,平賀敬vsデュビュッフェ,安達博文vsフンデルトワッサー, 絹谷幸二vsデ・キリコ―絹谷幸二,大沼映夫vsモンドリアン,小林裕児vsアフリカ・ニューギニア彫刻,渡辺恂三vsロマネスク絵画,開光市vs有元利夫,11人の仲間vs佐々木豊vsヴンダーリッヒ
こじつけ気味の vs もあるが,もとが雑誌連載だからだろう.第1ラウンド,第2ラウンド... などと章付けされている.泥棒と被害者を vs で並べるのはいかがなものか.もっとも絹谷ラウンドのサブタイトルには「絹谷...は天才だァ.デ・キリコを超えた」とある.
自分がこの中で名前と絵が一致するのは,池田,金子,遠藤,絹谷.最終ラウンドには著者自身も登場し,この人も画家だったのかと思った.
読んだだけで絵を見たことがないのに,わたなべゆうのファンになった,著者の文章がうまいことは確かである.
☆☆☆☆
内容(「BOOK」データベースより)*****
天才画家なりとも、その画風は別の作家から“失敬”している。要は「いかに自分のものにするか」…。現代洋画界の異才・佐々木豊が、自らを含めた12人のアーティストの他から盗み、それを画風に生かしていった過程に迫る!佐々木流“泥棒のススメ”。*****
タイトルが面白いので古書で購入.前著「泥棒美術学校」芸術新聞社 (1993/12)が売れたので二匹目の泥鰌を狙ったらしい.
しかし取り上げられた 12 人はみな著者のお仲間らしい.多少からかい気味だが,全員を褒めまくっている.楽屋落ちといいたいが,知らないことがたくさん書いてあって,門外漢にはそれなりに面白い.職業画家が読んだら面白くないかも.
教わったのは中学の図工が最後で,絵というのは目の前の花瓶の花や風景を写すものと思っていた.でも J 子のやっていることを見ると,それは古いらしい.
この本のトップに登場する池田満寿夫は,高校生のとき,松本竣介から構図をとってコンクールに入選した.「ぼくは自然から授かったものはひとつもない.みんな先人の絵から」は池田の言だが,「上高地にイーゼルを立てて穂高を仰ぐ仲間たちがさぞや馬鹿に見えたことだろう」という著者=佐々木の文章が続く.
もちろん泥棒のやり方は画家によって異なり,池田は一方の旗頭というところ.
目次は.
池田満寿夫vsピカソ, 金子国義vsバルテュス,わたなべゆうvsラスコーの洞窟画,遠藤彰子vsボス,平賀敬vsデュビュッフェ,安達博文vsフンデルトワッサー, 絹谷幸二vsデ・キリコ―絹谷幸二,大沼映夫vsモンドリアン,小林裕児vsアフリカ・ニューギニア彫刻,渡辺恂三vsロマネスク絵画,開光市vs有元利夫,11人の仲間vs佐々木豊vsヴンダーリッヒ
こじつけ気味の vs もあるが,もとが雑誌連載だからだろう.第1ラウンド,第2ラウンド... などと章付けされている.泥棒と被害者を vs で並べるのはいかがなものか.もっとも絹谷ラウンドのサブタイトルには「絹谷...は天才だァ.デ・キリコを超えた」とある.
自分がこの中で名前と絵が一致するのは,池田,金子,遠藤,絹谷.最終ラウンドには著者自身も登場し,この人も画家だったのかと思った.
読んだだけで絵を見たことがないのに,わたなべゆうのファンになった,著者の文章がうまいことは確かである.
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