Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

ピタゴラスのリディア音階とプラトン,ソクラテス

2018-03-29 08:20:41 | 新音律
ピタゴラス (582BC-496BC) は,Cとよく協和するのは5度上のG,Gとよく協和するのは5度上のD,Dとよく協和するのは5度上のA,...ということを繰り返した,これを12回やるとCにもどり,図の5度円ができる (ただし最後の弧FCは他より短いのだが,それはまた別なはなし).4回でやめるとCGDAEで,Cを主音とするとCDEGA,ドレミソラのペンタトニック,いわゆるヨナ抜き音階になる.

6回でやめるとドレミファソラシが揃う,と言いたいが,実はファでなくファ#が入る.Cを主音とすればCDEF#GABで,今風に言えばリディアンモードである.

ピタゴラスの死の約 120 年後に著されたプラトンの「国家」には6つの「調」が記されており (藤沢令夫 訳,「国家」上,第 3 巻第 10 章,岩波文庫 (1979)),黒沢隆朝「音楽起源論」音楽之友社(1978) によれば,この中の「高音リュディア調」が CDEF♯GAB 音階である.ちなみにプラトンはこの本の中でソクラテスに「悲しみや嘆きの歌は不必要で,こうしたテーマを担う高音リュディア調 (と,混合【ミクソ】リュディア調) は無用なもの」と言わしめている.このピタゴラス時代の F♯ が F に置き換えられ,今の CDEFGAB に変わったとされる. これにともなって5度円の短弧もFC間から別な場所に移動された,と言うことらしい.

「弁明」で,高校以来ソクラテスと付き合っているが,悲しい歌や嘆きの歌はいらない,という彼は間違っている...と思う.おまけにぼくは CDEF♯GAB 音階から悲しみも嘆きも連想しない.
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