Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

うしろめたさの人類学

2018-09-09 15:16:05 | 読書
松村圭一郎,ミシマ社 (2017/9).

Amazon の内容紹介(「BOOK」データベースより)*****
市場、国家、社会…断絶した世界が、「つながり」を取り戻す。その可能性を、「構築人類学」という新たな学問手法で追求。強固な制度のなかにスキマをつくる力は、「うしろめたさ」にある!*****

自分からは手を出さないジャンルだが,じつは拙著を進呈したお返しにいただいた本.「構築人類学」は新しい分野らしい.大学の教養課程でその年からできたという「文化人類学」を取ったことを思い出した.あの当時の感覚からいくと,この本は人類学ではなく社会学のように思える.

著者のエチオピアでの調査日誌という趣.
「うしろめたさ」は,物乞いに応じないときに感じること.われわれが属するのは厳然と交換が行われる,契約経済を前提とする社会だが,その一方でそれでは割り切れない「贈り・贈られる」人間関係も存在し,その比率はエチオピアでは大きく,現代日本では小さい...というようなことから,「うしろめたさの人類学」が展開する.

章立ては,経済・感情・関係・国家・市場・援助・公平.客観的な学問ではなく,著者が主観を表明した部分が魅力だった.人文科学・社会科学 (構築人類学はどちらに分類されるのだろうか) とは本来そういうものなんだろう.
はさみこみの手書きのパンフで,出版社にも魅力を感じた.
☆☆☆☆
コメント
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