Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

海と山のピアノ

2019-01-05 09:00:37 | 読書
いしいしんじ,新潮文庫(2019/1).

この著者は初体験.2000年の初の長編が坪田譲治文学賞とあったので,これも児童文学かなとも思った.カバーのイラスト (くまあやこ) 買い.

新潮社のホームページの紹介*****
「四国って土地だから行政からほっといてもらえるのかもしれない」二年に一度、村の全員で住む場所を移す「村うつり」。私は“足”を澄ませ、移った故郷を探す(「ふるさと」)。三崎の若い漁師達は遭難し、マグロになった。海に飛び込もうとする彼らを叱咤したのは船頭の大マグロ。励まされ、必死に漁を続けると──(「野島沖」)。生も死もほんとうも嘘も。物語の海が思考を飲みこむ、至高の九篇。
*****

大人向けのファンタジーあるいはメルヘン.芥川賞作品によくあるタイプを口当たりよくした感じ.

奇想天外な設定 = 幻想と現実の間が気になるところ.
四国だから「村うつり」が許されるというのは,幻想の現実化の説明らしいが,四国住人にとって,嬉しいことか・悲しいことか.
「ルル」「海賊のうた」「野島沖」などは幻想から覚めた後の現実の説明みたいな部分が余計だと思った.
「海と山のピアノ」で砂浜にグランドピアノが突如出現するのは幻想の現実化と解釈するとしても,現実社会でふたりがピアノを砂浜からごろごろ押して中学校まで運ぶと言うのはいただけない.著者はグランドピアノとそのキャスターについて,知識がないのだろうか.

小説には中学生/中学校がしばしば登場する.著者にとって中学時代がたいせつな時代だったのだろうか.

読後感は良い.
☆☆☆
コメント
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reading

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