百まで生きる覚悟

春日キスヨ「百まで生きる覚悟～超長寿時代の「身じまい」の作法」光文社新書(2018/11)．

著者は，ピンピンコロリ思想が長寿期への備えを阻害すると言う．ピンピンコロリなど夢のまた夢．ピンピンの次はヨロヨロ，ドタリである．しかしそこでコロリではなく，悪くすれば長い寝たきり期が待っているかもしれない．

自分にも覚えがあることだが，20代では，50年後の自分など想像がつかなかった．70代の自分は，ピンピン期とヨロヨロ期の端境期というのが実感である．しかしドタリ期以降のことは，かえって想像できるだけに考えたくない．
ちゃんと考えなければなりませんよ...という本．

「伝統的家族観による長寿者の下支えは今後は期待できない」ことは，もともと子供がいないのだからわかっているつもり．それだけに，
「老いの予測はあっても具体的行動は少ない」と言われれば，返す言葉は新年会はやめます...くらいしかない．
「80代で社会的手続きを進めることの難しさ」
「自宅で最後を迎えたい80代の７割が，ヘルパー利用料を知らない」
などの項が身にしみる．

ピンピン期世代には有用だが，その他の世代には縁がない本．
著者のキスヨさんは1943年のお生まれ．