Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

天使はモップを持って

2019-01-22 09:24:43 | 読書
近藤 史恵,「天使はモップを持って」 実業之日本社文庫 (2018/12).

カバーに不安を覚えたが,旅行の駅弁本のつもりでキオスクで購入した.意外な収穫.☆☆☆★

新装版のための著者あとがきによれば,著者20代の,自分が小説をプロとして描き続けられるかどうかわからなかった時代の作品と言う.1997年から「週刊小説」に連載開始.フロッピーが登場したりする.これまでの版 (ノベルズ,文春文庫)とはひとつ,結末を変えていると言うが,それがどれかはわからない,

8話連作.最初はぎこちないが,第4話あたりからは,社会のありよう,人間の心の闇などを感じさせる...と言ったら褒めすぎだろうか.セクハラ,介護,マルチ商法,ダイエット・摂食障害と,20年前のテーマが今でも通用する.
キュートな二十歳前の清掃作業員がヒロインでホームズ役.語り手のワトソン役は新米サラリーマン.ヒロインのチェスタートンみたいな台詞「掃除をやっていれば見えてくるものもあるのよ...だれも掃除をしている人なんて存在しないと思っているからね」が泣かせる.

舞台となる会社は魑魅魍魎の住処みたいでおぞましい.現実の会社の人間関係の実態は,もっと陰湿でわかりにくいだろう.
最終話は連載にけりをつけるためだけみたいで,つまらないが,このシリーズはここで終わらず,文庫本があと3冊.NHKのテレビドラマにもなったそうだ.
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