Sixteen Tones

音律と音階・ヴァイブ・ジャズ・ガラス絵・ミステリ.....

オーケストラの指揮者は何を考えているか

2020-07-23 09:26:34 | 新音律
ジョン・マウチェリ, 松村 哲哉 訳「指揮者は何を考えているか : 解釈、テクニック、舞台裏の闘い」白水社 (2019/6).

内容(「BOOK」データベースより)*****
「指揮者がやっているのは一種の錬金術である。」レナード・バーンスタインと親交の深かった指揮者が、師から弟子へ受け継がれる「極意」、そして「指揮者という仕事」を、あらゆる角度から語る。著名な音楽家のエピソード満載!

目次
1 指揮をめぐるちょっとした歴史 / 2 指揮のテクニック / 3 オーケストラのスコアの読み方 / 4 指揮者になるための勉強法 / 5 指揮者によって演奏が違うのはなぜか / 6 さまざまな関係=音楽との関係/音楽家との関係/聴衆との関係/評論家との関係/オーナーおよびマネジメントとの関係 / 7 仕切っているのは誰か / 8 長距離指揮者の孤独 / 9 録音対生演奏(対ライブ録音) / 10 指揮をめぐるミステリー
*****

著者が伝記でも楽曲解説でも指揮法教本でもない本を書いてくれと注文された結果この本が生まれたと言う.とても面白い.

16とんが曲がりなりにもクラシック音楽に興味を持ったのは,30代までで,著者の名は知らなかった.ハリウッド・ボウル管弦楽団の音楽監督など,彼の主要な活躍の場はドイツ音楽中心の日本人が考えるクラシックの主流とは違うところにあるらしい.オペラやバレー音楽に関するページも多い.

個人の固有名詞が出てくると面白くなるが,登場回数が最も多いのはバーンスタインである.意外にも,ストコフスキーがしばしば登場する.著者の軸足が映画やミュージカルの音楽にあるから?

作曲家の意図を汲み取って演奏するか (これは楽譜通りに演奏することと,必ずしも同じではない),慣習に従って演奏するかについてもあちこちで論じられている.「ポーギーとベス」を原曲に近い形で録音したことが詳しく解説されていて,著者の思い入れの深さがわかる.この辺りを十八番と自負しているのだろう.

340ページ+アルファの大著.この手の本 (小説も,だが) 海外の訳本は本邦オリジナルと比べ重厚長大である.このことがニッポンの全般的な凋落を象徴しているように思う.
図書館から借用.
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